人類の知恵、縦割りの地域と横割りの仕事

日本経営管理教育協会が見る中国 第361回--坂本晃(日本経営管理教育協会特別顧問) ● 新人類の誕生から20万年   アフリカで誕生したといわれる新人類は、2015年現在地球上の人類が経済的に生活できる場所に分布し、72億人と推計されている。いつごろから人種とか民族といわれる区分ができ始めたかは諸説があろうが、大変大まかに言って、白色、黄色、黒色などと肌の色で区分され、人種や民族という区分、言語や宗教による区分など、さらには何国人という区分が一般的に通用する。   医学的には多少に差異はあろうが、人類は原則として2足歩行し、目は2つ、手足や胴体があり、大きさも成人ではせいぜい2倍程度の違い、男女の性別があり、誕生から死亡まで心臓はごく例外を除き動き続けている。不思議なことである。 ● 国家という制度   簡単にいえば一定の区画された領域があり、そこに人民・国民が恒久的に属し、権力ないしは主権が存在していることとされている。     そこで生活する、あるいは生きていくためには、属さざるを得ない仕組みといえる。物理的に区画された地域でもある。他の地域や国家と境を別にする必要から国境という制度が設けられ、運用されている。その国境は時代により、国家間などの抗争により、変化している。未承認国家といえる組織が活動していることも記憶に新しい。   日本、イギリス、インドネシア、フィリピン、キューバ、マダガスカルや太平洋の島々の独立国は四面海に囲まれて、海が天然の要塞となっており、地続きの国境をもつ諸国家に比べて国家防衛上は有利であり、他民族や国家との交流の面では不利である。   これらの国々では、地続きの国境を越えた交流ができる国々に比べて交流が難しい。日本が265年も続いた天下太平の江戸時代は世界的にも珍しいと思えるが、四面海にかこまれたていたから可能だったと言えよう。   河や山脈などで国境が明確にできない地域では、国境は人為的な存在で、国境を越えた交流が容易であり、住まいはドイツやアメリカ、仕事はオランダやメキシコで、デトロイトのようにアメリカの工場で働いて昼食は対岸のカナダでとり、恋愛も国境を越えたお隣の家へ行く感覚は、日本ではなかなか得られない。これらの国や地域は縦割りの仕組みといえよう。 ● 仕事の中味は世界共通、横割りで見よう   人類が生きて行くためには、過去は自給自足であったが、分業という仕組みが考案され、貨幣で生活に必要な商品やサービスを購入できる仕組みを導入し、貨幣を得るために何らかの経済的な仕事をするのが人類の基本的な生涯である。   今日の仕事を大きく分けると、人間の基本的な欲望である食欲を満足させるための食べ物の生産と流通、生活の根拠となる住宅の建設、日常的な生活用品の製造販売、鉄道や自動車などの移動手段、電力などのエネルギー、各種情報の製作伝達、医療や介護、国などの運営に必要な政治や行政の仕事、安全を守るための警察や国防など分業で成立している。   これらの事は全世界共通で、それに従事する人も、その個人の資質や能力に応じて分業している。どのような仕事を一生のなかで選ぶか選べるか、時代とともに変化もし、本人の希望とは異なることもあろうが、人類の基本的な運命なのであろう。   ひとつの例として民間航空機のパイロットを例にしてみよう。とくに国際線を担当すると日常的に国境を越える仕事であり、それは先進国でも発展途上国でも世界的に決められた同様の規則やマニュアルに従う必要がある。同一労働同一賃金の理想が一番実現しやすい仕事といえようが、異なっているのが現実である。(執筆者:坂本晃・日本経営管理教育協会特別顧問 編集担当:水野陽子)   
アフリカで誕生したといわれる新人類は、2015年現在地球上の人類が経済的に生活できる場所に分布し、72億人と推計されている。いつごろから人種とか民族といわれる区分ができ始めたかは諸説があろうが、大変大まかに言って、白色、黄色、黒色などと肌の色で区分され、人種や民族という区分、言語や宗教による区分など、さらには何国人という区分が一般的に通用する。
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2015-06-03 11:30