【為替本日の注目点】ドラギ発言でユーロ続伸、ドル買い意欲も強い

 NY市場  ドル円は底堅く推移し、124円台での取引に終始する。ADP雇用者数が市場予想を若干上回ったことや、米金利の上昇でドル円は124円台半ばを超えたものの、上値も限定的だった。ドラギECB総裁がユーロ圏の景気回復兆候に言及したことで、ユーロが買い戻され1.1285までユーロ高が進む。ドイツなど、欧州債の金利が急上昇したこともユーロ買いにつながり、ユーロ円も約5ヶ月ぶりに140円台まで買われる。  株式市場は反発。ギリシャが債権者と合意に達するとの見方が広がり、銀行株などを中心に上昇。ダウは前日比64ドル上昇したが、株式市場は依然としてもみ合いが続く。債券市場は続落。欧州で金利が上昇した影響もあり、債券が売られ長期金利は昨年11月以来となる2.36%台まで上昇。金、原油は共に反落。  5月ADP雇用者数     → 20.1万人  4月貿易収支        → -409億ドル  5月ISM非製造業景況指数 → 55.7  ドル/円 124.00 ~ 124.68  ユーロ/ドル 1.1079 ~ 1.1285  ユーロ/円 138.12 ~ 140.12  NYダウ +64.33 → 18,076.27ドル  GOLD -9.50 → 1,184.90ドル  WTI -1.62 → 59.64ドル  米10年国債 +0.1 → 2.364%  本日の注目イベント  豪   豪4月小売売上高   豪   豪4月貿易収支   英   BOE金融政策発表   米   新規失業保険申請件数   米   タルーロ・FRB理事講演   ドル円は123円台まで下落したものの、底堅く推移しています。125円台まで上昇した後の123円台ということもあり、ドル買い意欲は強いようです。「122円台まで下がれば、ドルを買いたい」という声も聞かれましたが、この春先には「押し目」を待ってもドルが下がらず、結局買えなかった苦い経験もあることから、早めのドル買いに出たといった見方もあるようです。  昨日はADP雇用者数が発表になり、ほぼ市場予想通りの結果でした。貿易収支の赤字幅が大きく改善していましたが、こちらは輸出が順調に伸びた影響です。ややサプライズは、長期金利の上昇です。昨日は前日比10bp(ベーシスポイント)上昇し、2.36%台まで金利が上昇(価格は下落)しました。この水準は、昨年11月以来の高水準です。  この欄でも何度か、「ドル支援材料がない中でのドル高はやや行きすぎ」といった意味のコメントをしましたが、昨日は金利上昇という強い味方の出現です。これは、ECBのドラギ総裁が、「ボラティリティの高い局面に市場は順応する必要がある」と発言したことで、ドイツをはじめ欧州債が売られ、金利が上昇したことの影響と見られます。  同総裁はまた、景気についても「景気回復は裾野を広げ、内需は金融政策措置によってさらに支えられるはずだ。回復はわれわれの予想通りに進展している」と述べ、ユーロ圏の景気回復に強い自信を見せました。  この発言を受けて、ユーロは主要通貨に対して急伸し、対ドルでは1.1285まで上昇し、対円でも約5ヶ月ぶりとなる140円台までユーロ高が進行しました。確かにユーロ圏の経済指標を見ると、景気が底入れしつつあることは窺えますが、まだ回復という言葉を使うほどではないと思われます。  長い期間にわたって、低金利とユーロ安が続いてきたことで、ようやく前方に明かりが見えてきた状況です。ただ、ここからユーロがさらに上昇するようだと、景気回復シナリオに水を差すことにもなりかねません。5月にユーロが急騰した時のように、ECB要人からの「口先介入」の可能性には注意が必要です。  ドル円は、上昇トレンドを維持しながら足踏みをしているところです。明日の雇用統計がどう出るかが、今後の相場展開にとって重要なことは言うまでもありませんが、上述のように長期金利がじわじわと上昇して来ました。  9月の利上げを徐々に織り込んだ動きと見られますが、まだ米経済指標には力強さを感じるほどの好調さは見られません。FRBは年後半の景気回復には自信を持っているようですが、明日の雇用時計の結果を皮切りに、今後の経済指標の内容が予想通り良好なものであれば、ドル円は再び125円台に乗せ、127円程度まではドル高が進むと予想しています。  125円を上回る円安局面では、政府内からは円安を懸念する発言も出そうですが、重要なのは米国からそのような発言がでるかどうかです。国内からの円安懸念発言だけでは、トレンドを変えることはできないからです。本日のドル円は123円80銭~124円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は底堅く推移し、124円台での取引に終始する。ADP雇用者数が市場予想を若干上回ったことや、米金利の上昇でドル円は124円台半ばを超えたものの、上値も限定的だった。ドラギECB総裁がユーロ圏の景気回復兆候に言及したことで、ユーロが買い戻され1.1285までユーロ高が進む。ドイツなど、欧州債の金利が急上昇したこともユーロ買いにつながり、ユーロ円も約5ヶ月ぶりに140円台まで買われる。
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2015-06-04 09:30