【為替本日の注目点】雇用統計受けドル高進行、株次第で円一段安も
NY市場
5月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回る28万人だったことで、ドル円は一段と上昇。一時は125円86銭までドルが買われ、9月の利上げ観測がさらに高まり、ドル高、株安、債券安が連鎖的に起きた。ユーロドルでもドル高ユーロ安が進んだが、ギリシャ問題が依然として不透明なことから、円に比べると値動きは小幅。1.12台前半から1.10台半ばまで売られる。
株式市場は良好な雇用統計を受け、利上げ観測が強まったことから続落。ダウは56ドル下落し、1万7840ドル台に。利上げ観測の高まりを受けて、債券相場も続落。長期金利は約8ヶ月ぶりとなる2.4%台まで上昇。金は続落。原油は3日ぶりに反発。
5月失業率 → 5.5%
5月非農業部門雇用者数 → 28.0万人
4月消費者信用残高 → 205.4億ドル
ドル/円 124.65 ~ 125.86
ユーロ/ドル 1.1049 ~ 1.1280
ユーロ/円 139.02 ~ 140.16
NYダウ -56.12 → 17,849.46ドル
GOLD -7.10 → 1,168.10ドル
WTI +1.13 → 59.13ドル
米10年国債 +0.092 → 2.40%
本日の注目イベント
日 1-3月GDP(改定値)
日 4月国際収支
中 中国5月貿易収支
独 独4月鉱工業生産
独 独4月貿易収支
独 独4経常収支
独 先進国首脳会議(独、バイエルン州)
米 5月労働市場情勢指数(LMCI)
加 カナダ5月住宅着工件数
125円台に乗せてきたドル円は、先週末の雇用統計で非農業部門雇用者数が、市場予想の22万人に対して、28万人の増加だったことからさらにドル高が進み、一時は125円86銭まで上昇しました。雇用が再び拡大傾向を見せたことに加え、平均時給や労働参加率も予想を上回り、全体的にも「良好な内容」でした。
同時に発表された4月の雇用者数は、22.3万人から22.1万人に下方修正されましたが、3月分が8.5万人から11.9万人に上昇修正され、直近3ヶ月では平均20.6万人と、景気拡大のメドとされる20万人を上回っています。これで「3月の雇用統計ショック」も一時的な現象だったと見られ、さらに速報値ゆえのブレの大きさにも驚かされました。
ドル円はこれで、125円台を確保し、足元では125円台を固める動きを見せています。NY株式市場が続落してはいますが、円安が進んだことで週明け日経平均株価も上昇しそうな気配です。株価の動き次第では126円近辺へのテストもありそうな気がします。
9月の利上げを織り込み、米長期金利が約8ヶ月ぶりに2.43%まで上昇(価格は下落)しました。これまで、122円から124円台までドルが買われた際には「ドル買い材料がない中でのドル高」と見てきましたが、これで金利が上昇傾向を見せてきたことで、明確なドルサポート材料が出てきたと考えられます。
また、一段の円安が進んだことで、自動車などの輸出企業が2016年3月期も収益が上振れする可能性がさらに高まったことで、株価が上昇し「リスクオン」の流れが加速することも予想されます。株価の上昇がドル円をさらに押し上げる「好循環」が見られるかもしれません。
市場では「ドル円は130円を試す」という見方が強まって来ました。上述のように雇用の安定的な増加に加え、雇用情勢も改善傾向を見せていることが背景です。ただドル円が、119-120円半ばのレンジを上抜けして上昇して来たのは、主に投機筋などのドル買いが主因でした。かれらが130円を見据えたポジションを作っているのか、あるいは125-130円のどこかで利益確定に動くのかはわかりませんが、126円より上値では、ドルロングにも注意が必要ではないかと思います。
本日も株価の動向を見ながら押し目を拾っていく展開が有効かと思いますが、短期的な動きを示す「1時間足」では既に「MACD」がデッドクロスを見せ、「マイナス圏」に入っていることも意識する必要がありそうです。予想レンジは125円ー126円20銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
5月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回る28万人だったことで、ドル円は一段と上昇。一時は125円86銭までドルが買われ、9月の利上げ観測がさらに高まり、ドル高、株安、債券安が連鎖的に起きた。ユーロドルでもドル高ユーロ安が進んだが、ギリシャ問題が依然として不透明なことから、円に比べると値動きは小幅。1.12台前半から1.10台半ばまで売られる。
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2015-06-08 09:45