中国人にとってマイホームを持たない結婚はありえない

 前回ご紹介した通り、中国では今でも多くの人が不動産市場に興味を持っていまいす。中国人を不動産購入に突き動かしているのは、彼らの人生観です。  中国でマイホームを持たない男性は、結婚することができないという話を、聞かれたことがある方は少なくないと思います。それはどうしてなのでしょうか。 ■中国人にとって家とは  まず中国の人にとって家は、家庭を意味しています。つまり、自分たちのものではない借家で家庭を築くことは、安定していない、他人の状況や意見に影響を受けることを意味し、それは彼らには受け入れられないものなのです。  実際、わたしが中国に来た時、日本からわたしより前に来ていた先輩方に言われたのが、「引越して一人前」という言葉です。つまり、中国では部屋を借りても追い出されることが多々あるため、中国に来て生活をスタートしただけでは半人前、引越しを経験して一人前ということなのです。  突然、家を売ったから出て行って欲しいと、大家さんに言われることもあります。そのような背景があるため、中国の人は借家での新婚生活を望みません。  また、女性の観点から見ると、相手の男性が結婚する前に家を購入できる経済力があるということは、仕事ができる、家族を養う能力のある男性である、ということを意味します。安心して、共に家庭を築いていくことができるのです。 ■どこで家を購入するの?  では結婚を考える人たちは、どこで家を購入するのでしょうか。それは、誰と結婚するか、どんな人生設計をしているかによります。  もし、同郷の人と結婚するなら、自分たちの故郷で家を購入することも可能です。いずれ子供が大きくなった時、またある程度の貯金ができたら故郷に帰る計画の人は、先に家を建てておいても損はありません。では、もし都市部で故郷の違う人と出会い、結婚した場合はどうでしょうか。その場合は都市部で家を購入しなければなりません。  去年、わたしが出会った女性は、自分とは違う地方出身の恋人がいました。ある時から、会社で泣きながら、時には怒りながら電話をするようになったのです。実は彼女のお腹の中には、恋人との子供がいたのです。  しかし、彼女の恋人には大都市で家が購入できるような経済力はなく、彼女のご両親に結婚を反対されてしまいました。最終的に、彼女は恋人と結婚できないなら、お腹の子供も養えないと考えたようで、恋人と子供を同時に失うことになってしまいました。  このように、中国の人の考え方では、マイホームを持たない結婚はありえません。当人や家族だけでなく、世間も受け入れてくれないのです。(執筆者:大西 秀明 提供:中国ビジネスヘッドライン)
前回ご紹介した通り、不動産価格が高騰する中、今でも多くの人が不動産市場に興味を持っていまいす。中国人を不動産購入に突き動かしているのは、彼らの人生観です。
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2015-06-08 10:30