中国内陸都市 湖北省武漢市の現場実況中継~コンビニ編~

 筆者が中国の湖北省武漢市にある中国企業に赴任してから間もなく3カ月が経とうとしています。中国人のオーナー企業との合弁企業で唯一の日本人として働いています。  中国各地、東西南北色々な場所を訪れてきましたが、定住という意味では、筆者にとっては湖北省武漢市が北京市に続き2カ所目となります。今後、本コラムでは、湖北省武漢市の今を通じて、発展する中国内陸都市の現状を随時紹介していきたいと思います。 ■ 武漢市の空気は白い  湖北省武漢市は現在、かつての栄光を取り戻すべく、「大復興、武漢」キャンペーンを展開しています。2013年10月末に赴任した際、筆者が気づいたのは、「武漢の空気は白い」というものでした。  あちらでもこちらでも地下鉄工事をしています。地下鉄はさらに15の路線が計画されており、順次工事をしている状況です。武漢各地でマンションや建物を豪快に幕を張ることもなく取り壊しています。白い埃が舞っており、青空が見えることはほとんどないにもかかわらず、北京市や上海市のような報道価値がないとされているのか、武漢市の大気汚染が紹介される機会はあまりありません。  現在武漢市で行われている一連の地下鉄工事、ビル・マンション等の立替工事が一段落する5年ほど後には、武漢市は今とは全く異なる様相を見せると想定されます。筆者が見てきた中では、武漢市の現状は、単車の多さ、これから発展するという雰囲気が、ベトナムのホーチミン市に似ていると感じました。 ■ 武漢市では日本食がブーム   武漢市では日本食レストランが大変繁盛しています。地場系の日本食ファミレスには中国人客が溢(あふ)れていますし、武漢市の中では比較的日本人の味付けに近い日本食料理屋も中国人客で賑わっています。筆者が、中国人ばかりの忘年会に日本人1人で参加したときにも、筆者に気を使ってくれたのかも知れませんが、日本料理屋での開催でした。皆が興味津々で日本式のすき焼きの食べ方を聞いていました。  中国人は独立心の強い民族です。筆者の友人の中にも、日本人が増えてきたにもかかわらず、日本人向けの店がないような内陸地域での飲食店の開業を虎視眈(こしたんたん)々と計画している人がいます。 ■ 武漢市には外資系のコンビニエンスストアがない  武漢市には、中国の沿岸部都市など、大都市に見られる、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、サークルケイなどが見られず、すべてが地場系のコンビニばかりです。どちらか言えば、コンビニという便利さを追求した店というよりもミニ売店といった趣きの店が多いのが特徴です。  中国チェーン経営協会と野村総研(上海)が2014年1月17日に発表した中国のコンビニエンスストア業界に関するレポートによると、中国では2012年、コンビニの売上高は前年比で17%増となり、成長率は百貨店やスーパーなどの大規模店を大きく上回ったとのことです。  ただ、1店舗当たりの売上高は日本の7分の1にとどまり、効率の悪さが目立つようです。報道によると、中国のコンビニの1店舗当たりの1日平均売上高は5785元(約10万円)で、日本の約72万円の7分の1以下にとどまります。   中国のコンビニは1店舗当たりの営業面積が平均82平方メートルと比較的小型であり、米国の268平方メートル、日本の113平方メートルを大幅に下回ります。1日当たりの来店者数も米国、日本の半分程度です。店舗ごとにみると営業の効率が悪く、1平米当たりで日本の5分の1程度とされています。  今後、武漢市を含む中国の内陸都市の急速な発展を想定した場合、日本のコンビニ、レストラン等でも、中国地場それぞれの様式に合わせたものであれば、大きく発展展開できる可能性があるように筆者には思われるのも、現在進行形の発展都市、武漢市の特徴です。(執筆者:奥北秀嗣 提供:中国ビジネスヘッドライン)
 筆者が中国の湖北省武漢市にある中国企業に赴任してから間もなく3カ月が経とうとしています。中国人のオーナー企業との合弁企業で唯一の日本人として働いています。
奥北秀嗣
2014-02-07 06:45