医療保険制度改正でメタボ対策にインセンティブ、野菜ジュースの活用などで無理なく長続きするダイエット

5月27日に参議院で可決され成立した「新医療保険制度」には「健康増進・予防に向けたインセンティブ方策」が盛り込まれ、国を挙げた“肥満対策”が始まる。ところが、昨年から検討が続いてきた案件であるにも関わらず、ネオマーケティングが5月29日から6月1日に実施した調査では、「新医療保険制度」の認知率はわずか9.1%。ただ、「インセンティブがあれば肥満対策を強化したい」と考える肥満の人は71.2%と、「インセンティブ方策」への高い関心が寄せられた。もっとも、肥満対策は運動と食事の2択では「食事派」が55.4%を占め、肥満の人の多くは、野菜の摂取を増やすなど無理のないメタボ対策をしたいと考えていることがわかった。画像は肥満に関する意識調査より「Q1. 2015年5月27日に参議院において可決された新医療保険制度を知っていますか」の問いに対する解答。
「新医療保険制度」(持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案)は、年間約40兆円にものぼる医療費の抑制を目的に、従来の制度を改正した。その中で「インセンティブ方策」が盛り込まれ、健康増進に努力した国民には保険料減額や健康器具の交付などといったインセンティブを付与し、国民の健康意識を高めることによって医療費の抑制につなげることになった。
健康増進対策の中で、「肥満対策」は目玉のひとつ。平成25年国民健康・栄養調査によると、成人男性の28.6%、成人女性の20.3%が肥満であり、平成20年4月に始まった特定健康診査(腹囲が男性85cm、女性90cm以上、かつ、血糖・血圧・脂質の検査値が基準に当てはまる人に対する健診)実施でも、特に男性の肥満の増加傾向に改善の兆しが見えないなど、日本でも深刻な問題として意識されているためだ。
総合マーケティング支援を行うネオマーケティングでは、全国の20歳~69歳の男女合計1000名(各性別・世代、肥満の人=BMI数値25超と肥満でない人=BMI25以下、各50人)を対象に「肥満に関する調査」を行った。
まず、「新医療制度」について「知っている」9.1%の人に、改正点について知っている内容を聞いたところ、「予防・健康づくりにおける保険料減額、健康器具の交付といったインセンティブ付与」が新設されることを知っているのは19.8%と、「入院時の食事代の引き上げ」(54.9%)、「紹介状なしでの大病院受診時における負担増」(42.9%)、「月収121万円以上の会社員の保険料引き上げ」(40.7%)などと比べて低い結果になった。
そこで、BMI値が25を超えている肥満の人に、「保険料減額や健康器具の交付などのインセンティブがあれば、肥満対策を強化したいですか」と聞くと、71.2%の人が肥満対策を行いたいと回答。インセンティブ方策には一定の効果があることがうかがえた。
また、肥満の人に「肥満改善に取り組んだことはありますか」と聞くと、70.0%が結果を関わらず肥満改善に取り組んだことがあると回答。ただ、結果が出なかった人が94.0%もいた。肥満が改善しなかった理由は、「意志が続かなかった」(37.0%)、「なかなか体重が落ちず、途中で挫折してしまった」(35.6%)、「面倒になってしまった」(34.0%)が上位で、多くの人がダイエット挫折者となってしまっていることがわかった。
そして、肥満・健康対策として「食事」と「運動」のどちらで対策したいですかと1000人に聞くと、「どちらかといえば食事」という回答が55.4%と多かった。食事で対策する場合、もっとも摂りたい食品は、「トマトやレタス等の野菜」(45.3%)がトップで、「タンパク質が豊富な大豆や肉類」(13.5%)、「野菜ジュース」(9.9%)という結果だった。運動で対策する場合は、「ウォーキング」(49.3%)、「水泳」(11.7%)、「筋トレ」(10.1%)だった。
一方、「野菜を食前に摂取すると、食後の血糖値の上昇とインシュリンの急激な分泌が抑制され、太りにくい体になるということを知っていますか」と聞くと、55.3%が知っていると回答。「食前の野菜摂取の効果を聞いて、実践してみたいと思いますか」と確認すると、「実践している」(29.9%)、「実践したい」(52.8%)と82.7%が前向きな回答をした。また、「ダイエットする際に、もっとも飲みたい飲み物は何ですか」という質問には「野菜ジュース」(23.7%)、「コーヒー」(21.3%)、「緑茶」(20.7%)となり、肥満対策として野菜を多めに摂りたいという意識が強いこともわかった。
このような調査結果について、ネオマーケティングではフードコーディネーターとして食と健康のアドバイスを行っている南恵子氏に取材している。南氏は、新医療保険制度のインセンティブ方策によって肥満の人たちが肥満改善への意欲を高めたという結果に、「たいへん有意義なことだと思います」と高く評価。そして、「肥満改善の基本は、運動と食事、規則正しい生活リズムなどが挙げられますが、厳しい制限食や激しい運動は継続が難しく、リバウンドにつながることも多く、無理なく続けられる方法が長続きします」とアドバイス。
近年では、肥満対策としてカロリーや脂肪の摂り過ぎに注意すべきことと併せて、食後血糖値の急上昇とインシュリンの急激な分泌もメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)の要因のひとつとみられていることから、食後血糖値の急上昇を抑える働きがあるとされている野菜を意識的に摂りたいという人が増えていることは良い傾向とした。
具体的な肥満対策として「初めは、食事のコントロールで体重を減らし、活動しやすい体型にしてから運動量を増やすと挫折しにくいのではないかと思います。まずは『野菜を意識的に多く』と『食事のはじめに野菜を食べる』というような、手軽に無理なくできるところから肥満改善に取り組むのは実践的で良い方法だと思います」と語っている。
加えて、ダイエット時に飲みたい飲料として「野菜ジュース」がトップにランキングされたことについて、「実は野菜ジュースも、食事の30分前に飲むことで、野菜と同様に食後血糖値の上昇を抑えるという研究報告があります。忙しくて自分で料理をしにくい人、また、外食が多い人なども、野菜ジュースなら手軽に食事前に飲むことができます」と、野菜ジュースを上手に取り入れたいとアドバイスしている。
そして最後に「野菜や野菜ジュースの摂取だけで肥満が改善するというような過度な期待はせずに、肥満改善のきっかけとして取り組み、バランスのとれた食事や運動、生活リズムなども見直していきましょう」と呼びかけている。(編集担当:風間浩)
5月27日に参議院で可決され成立した「新医療保険制度」には「健康増進・予防に向けたインセンティブ方策」が盛り込まれ、国を挙げた“肥満対策”が始まる。ところが、昨年から検討が続いてきた案件であるにも関わらず、「新医療保険制度」の認知率はわずか9.1%。ただ、「インセンティブがあれば肥満対策を強化したい」と考える肥満の人は71.2%と、「インセンティブ方策」への高い関心が寄せられた。
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2015-06-09 16:15