【為替本日の注目点】最大の「調整幅」、株高がドル下落をサポート
NY市場
ドル円は昨日の東京時間午後1時前に、黒田日銀総裁の発言で急落。124円台半ばから122円台後半まで円が買い戻される。NYでは123円まで反発する場面もあったが122円台半ばまで押し戻され、株価の大幅反発の割には上値の重い展開だった。ユーロドルはドイツ国債の利回りが上昇したことを受けて続伸。1.12台後半から1.1350台までユーロ高が進行。
株式市場は大幅に反発。ギリシャの債務協議が進展しているとの楽観的な見方が広がり、ハイテク、金融株が相場を牽引。ダウは5日ぶりに大きく上昇し、一気に1万8000ドルを回復。債券相場は続落。ドイツ国債が売られるなど、世界的な債券売りから米国債にも下落圧力。長期金利は2.48%台まで上昇し、2.5%の節目も目前に。金、原油は続伸。
5月財政収支 → -824億ドル
ドル/円 122.55 ~ 123.00
ユーロ/ドル 1.1275 ~ 1.1353
ユーロ/円 138.43 ~ 139.28
NYダウ +239.36 → 18,000.40ドル
GOLD +9.00 → 1,186.60ドル
WTI +1.29 → 61.43ドル
米10年国債 +0.047 → 2.485%
本日の注目イベント
豪 豪 5月雇用統計
中 中国 5月小売売上高
中 中国 5月工業生産
米 5月小売売上高
米 新規失業保険申請件数
ここからさらに円安はありそうにない」、黒田日銀総裁が昨日の午後の衆院財務金融委員会で、こう発言した途端に、円買いドル売りが加速し、ドル円は一気に2円ほど下落しました。ちょうど、午後のセミナーが始まる直前だったことから、セミナー参加者も「何が起きた?」と不安を隠せない様子でした。
直ぐにブルームバーグのニュースを調べ、上記発言が理由だったことが分かりましたが。逆になぜこのタイミングなのか、また単なる失言なのか、あるいはこれ以上の円安をけん制する意図的な発言なのか、様々な見方が飛び交っています。おそらく真意は、来週19日の金融政策決定会合後の記者会見の席で明らかになろうかと思います。
本来、為替は「財務大臣」の専管事項で、日銀総裁が為替の水準に言及することは極めて稀なことです。国会での発言は、一般論で言えば円が安すぎるという意味合いかと思われますが、昨日はドル円も日経平均株価の上昇と相まって、124円台後半から125円を試そうかという地合いの中での発言だったことから、利益確定のドル売りを誘発したようです。
122円台半ばまでドル売りが進みましたが、NY市場ではそれ以下のドル下落は見られませんでしたが、株価の急騰が、ドル下落をサポートした格好になっています。ダウが239ドルと大幅に反発し、1万8000ドルの大台を回復した割には、ドルの反発が限られていたのは、黒田発言が効いていたからだと見られます。
先週末の雇用統計をきっかけに125円台後半までドル高が進みましたが、そこから約3円40銭ほどドルが売られました。今年に入って最大の「調整幅」となっています。昨日も書きましたが、先週と今週では市場のセンチメントが大きく異なっています。昨日の発言でさらに影響を受け、ドルは上値が重い展開が予想されます。しばらくは、ドルの底値を確認する動きが続くことも考えられますが、基本は米国の利上げの可能性がなくならない限り、ドル高トレンドは変わらないと思います。
今後、ドルが再び上昇し、125円に近づく局面もあろうかと思いますが、もう一段のドル高を予想していた市場関係者は今回のドルの急落で、ドルを売りそびれていることになります。125円を試す局面では、当然ながらそのような人たちからのドル売り注文も増えてくることが予想されますが、それらをこなして再び上昇できるかがポイントになります。125円を超えてドルを買い進むほどインパクトのある材料が不可欠になります。
NY株式市場が大幅反発で取引を終えていることから、今日の日本株も上昇が予想されます。昨日の円高がなければ、300円程度の上昇も見込めるところですが、やや円高が進んだことで、NY株の上昇分は、幾分相殺されそうです。それでも昨日の引け値よりは上昇すると見られることから、本日の予想レレンジは122円40銭~123円40銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は昨日の東京時間午後1時前に、黒田日銀総裁の発言で急落。124円台半ばから122円台後半まで円が買い戻される。NYでは123円まで反発する場面もあったが122円台半ばまで押し戻され、株価の大幅反発の割には上値の重い展開だった。ユーロドルはドイツ国債の利回りが上昇したことを受けて続伸。1.12台後半から1.1350台までユーロ高が進行。
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2015-06-11 09:45