「ドラえもん」映画の大ヒットに思う

日本経営管理教育協会が見る中国 第363回--宮本邦夫(日本経営管理教育協会名誉会長)
5月末に中国で封切られた『STAND BY ME ドラえもん』が大ヒットをしたと報じられた。何しろ、1日の興行収入が過去最高の8800万元(日本円で約17億3000万円)に達したという。従来の最高額は、米国映画『カンフーパンダ2』の6700万元というから、ドラえもん映画のヒットの凄さが分かる。この大ヒットから、われわれは、何を受け取り、今後どうすればよいかを考えてみたい。
1.中国の人たちの日本アニメの関心の高さを改めて認識
この映画の大ヒットからまず感じたことは、中国の人たちの日本アニメに対する関心の高さである。30歳代の中国人の友人から、子どもの頃、『一休さん』のアニメを見るのが楽しみだったという話を聞いていたので、日本アニメへの関心があることは、ある程度知ってはいたが、今回のドラえもん映画の大ヒットで再認識させられた。
2.感情の側面で共有化できることの理解
アニメは、言うまでもなく人間の感情、感性に訴えものである。アニメだけではなく、絵画、音楽、演劇などの芸術・芸能は、国境を越えて人間の心理に働きかけ、喜怒哀楽の感情に直接訴えるものである。ドラえもん映画も、当然中国の人たち、とりわけ子どもたちに共感を与えたといえよう。このことは、日中間で感情の側面で共有化できるものがあったと理解してよいだろう。この理解も、きわめて重要な意味を持っていると思われる。
3.次に発信するものを真剣に選択
感情の側面で共有化できるものがあることが分かったのだから、次に何をなすべきかは明らかである。すなわち、更に共有化できるものはないか考え、最良と思うものを選んで発信することである。換言すれば、日本のことを更に理解してもらうために、感情の側面に新たに共有化できるものを探り出し発信するということである。共有化できる部分が広がれば広がるほど、両国間の相互理解が深まり、相互信頼がもたらされるはずである。
4.中国の芸術・芸能への興味・関心を
中国に向けて日本の芸術・芸能を発信すると同時に、われわれは、中国の芸術・芸能に接して理解することを忘れてはならない。中国からは、京劇などの芸術・芸能が上演されることも少なくない。京劇を観ると、日本の歌舞伎と共通するものを見出すことができ、親しみを覚えるものである。芸術・芸能を通しての相互理解を、もっと真剣に考えるべきであろう。(執筆者:宮本邦夫・日本経営管理教育協会名誉会長 編集担当:水野陽子)
5月末に中国で封切られた『STAND BY ME ドラえもん』が大ヒットをしたと報じられた。何しろ、1日の興行収入が過去最高の8800万元(日本円で約17億3000万円)に達したという。従来の最高額は、米国映画『カンフーパンダ2』の6700万元というから、ドラえもん映画のヒットの凄さが分かる。
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2015-06-15 14:00