レアアース市場、「価格決定権」を取り戻せ=中国メディア

中国メディアの和訊網は19日、中国政府が打ち出した製造業の高度化を目指す戦略「中国製造2025」について、中国が失ったレアアース市場における価格決定権を取り戻すチャンスだと主張した。
記事は、レアアースが軍事や航空宇宙産業などをはじめ、ハイテク製品に必要不可欠な物質であることを指摘する一方、中国では長期にわたって生産から輸出まで「供給過剰」にあり、国際市場での発言権および価格決定権を失った状態にあると伝えた。
さらに、中国の2005年から11年にかけてのレアアース生産量は10万トンを超え、世界のレアアースの97%を占めていたと伝え、日本や米国、EUは中国からのレアアース輸入に依存していたと指摘。
また、中国の輸出については07年から輸出制限を実施しているとし、11年の輸出量は1万9000トンにとどまったとしながらも、「1986年から2006年にかけての価格は平均して1トンあたり10ドル(約1233円)前後」と主張し、04年には1トンあたり6ドル(約740円)未満まで下落したこともあったと論じた。
また記事は、中国ではレアアース産業に対して、政府主導によるさまざまな調整が行われているとしながらも、目立った効果は挙げられていないと指摘。一方で、これまで中国政府が行ってきた輸出割当制度の背後では多くの密輸出が存在し、暴利をむさぼる業者が存在したことを紹介する一方、輸出割当制度の撤廃によって密輸出は大幅に減少したと論じた。
続けて、輸出割当制度を撤廃し、業界内の組織再編や資源税の徴収といった方針へ中国政府がレアアース産業に対する政策を変更したことを紹介、「政策の調整と新エネルギー車産業などの台頭によってレアアース価格は今後、上昇することが見込まれる」と期待を示した。さらに、中国政府が製造業の高度化を目指すべく「中国製造2025」戦略を発表したことで、レアアースが必要不可欠なハイテク製品の生産が増加する見込みであることを指摘し、「中国のレアアース産業は中国製造2025を機に、健全な産業構造を実現し、競争力を高めることで、世界のレアアース市場での価格決定権を奪い返すべきだ」と論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
中国メディアの和訊網は19日、中国政府が打ち出した製造業の高度化を目指す戦略「中国製造2025」について、中国が失ったレアアース市場における価格決定権を取り戻すチャンスだと主張した。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-06-23 09:00