【ETF2013】世界経済の回復で、日米をはじめ世界株高に期待

  モーニングスターは2013年12月8日、東京国際フォーラムで「モーニングスター ETFカンファレンス2013」を開催した。クロージングセッションは、SBI証券、マネックス証券、楽天証券のストラテジストによる「ETF投資戦略~ETFではじめるNISA~」をテーマにした討論会。事前打ち合わせをせずに、モデレーターを務めたモーニングスターの代表取締役、朝倉智也氏が投資家目線に立った質問をぶつけ、時宜にかなった議論を引き出した。   まず、議題にあがったのは、値上がりが続く米国株式市場の行方と、日本株式市場の見通し。マネックス証券のチーフ・ストラテジストの広木隆氏は、「米国の雇用統計が事前の市場予想を上回る好結果になり、米国の景気回復が確認できた。今後は、米国企業の業績を問う相場に転じていくだろう。これまで、米国企業業績は5%程度の伸びだったにも関わらず、金融緩和の影響で米国株は2ケタ上昇の株高になっていた。今後、金融緩和が縮小に向かうことになれば、緩和の影響で値上がりした部分は調整される。ただ、中国経済も最悪期を脱しつつあり、世界全体の景気が良くなれば、米国企業の業績も上向き、今年よりも、来年の方が企業業績は良くなる方向にあると考える」と自説を披露した。   SBI証券投資調査部の藤本誠之氏は、「日本株は来年もIPO(新規株式公開)を中心に堅調な展開を予想する」と全体感を語った後、「NISAで株主優待銘柄が人気化する可能性がある。NISAによる投資が始まるのは来年からなので、年内に株主優待が手厚い企業の株式を買っていくことも、一つの方法」と語った。   マネックス証券の広木氏は、日本株の現状について「割高でも割安でもないフェアバリューの水準にある。これは過去に見られなかったほど、適正な価格水準といえる。今後、日本企業の業績を反映した相場展開が期待できる。ただ、日銀には異次元緩和という現在の金融緩和から、さらに一段と緩和しようとすると手段に困る状況だ。4月の消費増税の影響を考えると、夏場には、株価が調整する可能性がある」との見方を示した。   また、世界の投資家の資金の流れについて、楽天証券のマーケティング本部副本部長の新井党氏は、「世界的にETFへの資金流入が進む中、日本のETFは出遅れている。日本株の世界の株式市場にしめる時価総額のシェアは7%程度だが、ETFの市場シェアは3.5%程度に過ぎず、今後、日本のETFについても、これまで以上に資金流入が起こる可能性がある」と解説した。   一方、日米の株価の上昇に比べ低迷している新興国市場については、マネックス証券の広木氏は、「今の時代、グローバル経済はリンクしているので、タイムラグはあっても、先進国の株価上昇は、新興国へも波及する。ただ、アフリカ諸国などフロンティア市場には、これまでのBRICsに代表された新興国を彷彿とさせるような活気があり、フロンティア市場など、直接投資することが難しい国々の株式にはETFを使って投資することが有効」と指摘。   SBI証券の藤本氏は、「SBI証券では、インドやタイなど9カ国の外国株式を取り扱っているが、今年は、アベノミクスの影響で日本と米国に買いが集中している。このような状態がいつまでも続くとは思わないので、下落しているアジアの新興国の株式には注目できる」と語った。   楽天証券の新井氏も、「外国株や海外ETFの売れ筋を見ていると。投資家の方々は、先回り買いを意識されていることがわかる。現在は、いかにミャンマーに投資するかということを一部の投資家の方々が考えておられるが、シンガポールにはミャンマーで活躍する企業が少なからず上場している。今後を展望すると、アセアン市場の成長余力は大きく、ETFや個別株でも注目できる存在」と紹介していた。   最後に、2014年への注目ポイントについて問われると、SBI証券の藤本氏は、「2013年にも公募価格から2倍-3倍になったIPO銘柄が注目されたが、2014年には70-80銘柄のIPOが予想され、NISAの投資先としても有望」と語った。また、楽天証券の新井氏は、「2006年に海外ETFの取り扱いを始め、当初は市場規模が小さかったものの、現在では海外からもETFに関する問い合わせが増えている。NISAによってETFの活用も進むことが考えられ、これまでにない特徴のあるETFを紹介していきたい」と、一段とETFの取引が活性化すると見通していた。(編集担当:徳永浩)
モーニングスターは2013年12月8日、東京国際フォーラムで「モーニングスター ETFカンファレンス2013」を開催した。クロージングセッションは、SBI証券、マネックス証券、楽天証券のストラテジストによる「ETF投資戦略~ETFではじめるNISA~」をテーマにした討論会。事前打ち合わせをせずに、モデレーターを務めたモーニングスターの代表取締役、朝倉智也氏が投資家目線に立った質問をぶつけ、時宜にかなった議論を引き出した。
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2013-12-09 11:15