中国進出する日本企業は「撤退が非常に難しい会社組織」になっている

上海に滞在する日本人が減少し続けている、ここ2年で1万人以上が帰国したとの説もある。それと合わせて、ずいぶん前から中国進出企業関係者の間では、如何に撤退するかが話題になっている。各種撤退セミナーも花盛りだ。
中国は進出するよりも、撤退が何倍も難しい国だと言われている。現実に撤退を決める瞬間は、進出時に約束された税制の優遇の扱いや職員と労働契約を解除するに当たってのトラブルなど様々な問題が噴き出す瞬間でもある。最悪の場合、会社組織自体を清算できないケースもある。
例えば合弁で政府系の資本が入っている場合は、そもそも会社を解散させること自体が難しい。理由は簡単で、政府系の出資者が了解しないからだ。ところで、進出する時は政府系の後押しが強い為、手続きも早く、垂直立ち上げに成功したと報告された方もいるのではないだろうか。
進出時にスムーズに行った部分が撤退時に反対になる。全て足を引っ張る抵抗力に替わり、時間をどんどん取られて行く……。進出時の本社サイドの判断基準が甘かったと言わざるを得ないケースがほとんどである。
1つの明確な対策としては、進出時に撤退する基準を確定させ、出来れば会社定款など会社の根幹に撤退基準を入れる事が望ましい。撤退基準が明確に会社の定款に織り込まれていれば、それを基準に当局との折衝が進められる可能性があるからだ。
残念ながら私の知る限り、多くの日本企業が撤退するのは非常に難しい会社組織となっているのが現実である。撤退する日本企業のほとんどが、中国現地法人での累積収益以上のコストをかけて撤退しているのが現実である。
しかし、多くの日本企業は進出する時の思考は、とかくバラ色だ。ネガティブな思考を持っていない。事業を拡大する時に、ネガティブな内容を企画書に織り込んでは会社内でのコンセンサスが取れないという日本的な考えが大きな理由ではないだろうか。
中国は日本ではない。まして世界中を見回しても特殊な部類に入る国である。理想だけを描くのではなく、ある種の覚悟をもって中国と向き合い、最悪のシナリオもリスクとして描きつつ事業展開する事が重要だ。様々なケースを想定する事は当然のことでもある。今後、日本企業にはこう言ったリスク正面から向き合う事業展開が増々求められてゆくのではないだろうか。(執筆者:武田 康夫 提供:中国ビジネスヘッドライン)
上海に滞在する日本人が減少し続けている、ここ2年で1万人以上が帰国したとの説もある。それと合わせて、ずいぶん前から中国進出企業関係者の間では、如何に撤退するかが話題になっている。各種撤退セミナーも花盛りだ。
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2015-06-29 11:30