中国の共働き、子育てに対する価値観(2) 尻割れズボンでトイレフリー

 一人っ子政策を取り続けて来た中国では、大切な子どもをどのように育てているのでしょうか?  先回に引き続き、中国(福建省)の子育てに対する見方や価値観をご紹介したいと思います。 ●基本放任 → 結果「王様」  先回もお伝えしましたが、ここら辺りの子育ては基本「放任」です。「まだ小さいのに言ってもわからないでしょ」という理屈なのだそうですが、本音は「めんどくさい」。これに尽きると思います。  ここら辺りの中国人はよく「麻煩」(面倒くさいの意味)と言い、すぐに「沒弁法」(仕方ない、方法が何もないの意味)とさじを投げますが、とにかくちょっとしたことでも面倒なことを嫌います。そんな彼らにとって、時間と辛抱が求められる子育ては「麻煩」の最たるものなんでしょうね。「とにかく大きくなったら道理は自然にわかるのだから、ご飯さえ食べさせていればいい」ぐらいの感じで子育てをしています。  しかもこの価値観には「大事なのは、しっかり勉強して、いい会社に就職して、将来自分たちを養ってもらうこと」という続きがあるため、礼儀作法などのしつけは二の次、とにかく勉強さえしてくれたら他はどうでもいい(放任)、そのためならいくらでも犠牲を払う(甘やかし)になるのです。結果、どんな子どもになるかというと… ・「ありがとう」を言わない(言えない) ・バスではわれ先に座り、座席を譲ることはまずない。(むしろ譲られるのが当たり前) ・特に小さな子供の場合はトイレフリー(つまりしたくなったらどこでもOK)  という王様みたいな子どもたちが出来上がるわけです。まあ「人様の迷惑にならないように…」なんてことはないお国柄ですので、この3番目はなかなかものすごいものがあります。  店から出てきてそのまま歩道で…なんてのは当たり前、過去実際に見た中で特に唖然としたのは… 第3位:バスの昇降口(ステップ) 第2位:スーパーの中 第1位:新幹線の洗面台(手洗い場)  でしょうか。写真を撮っていなかったのが実に残念です(笑)。そう言えばこちらの子供はみなおなじみの「尻割れズボン」をはいているのですが、あれって「いつでも、どこでも、すぐに出せるように」ということなんですかね? どうしてもの時は…  そんな子供たちですが、やはりどうしても駄々をこねたり、言うことを聞かない時がありますよね。そんな時、親がどうするかというと、ズバリ「キレる」です。突如大声で「うるさい!」とか「叩くわよ!!」とか怒鳴りつけるわけです。  もともと声が太く大きい中国人ですから、本気で(しかも突然)大声を出して切れられるとなかなかの迫力です。まあ子供も慣れていてそんなにこたえていませんけど。唯一しつけと言える場面はこの時くらいですかね。  そんな環境で育てられる子どもたちですが、それでも彼らの言う通り、年ごろになるとそれなりに分別がついてくるので不思議です。席を譲ることとかいったいどこで学んでくるのでしょうか? まあ世界中どこでも子供は宝、親としても子供にはしっかりと良い大人に成長してほしい、プロセスは違えど、その土地その地方に合った育て方があるんでしょうね。(執筆者:高山 翔 提供:中国ビジネスヘッドライン)
一人っ子政策を取り続けて来た中国では、大切な子どもをどのように育てているのでしょうか?
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2015-06-29 11:30