中国で「コンサルティング営業」は流行するか

日本経営管理教育協会が見る中国 第365回--大森啓司(日本経営管理教育協会会員)
筆者はこの度単著で『法人営業で成功するにはコンサルティング力を磨け!売れる営業部になる為の処方箋』というビジネス書を出版した。先日この本に対する感想も含めて、中国人の「売る」という感覚について、著者の中国語の先生である中国人にいろいろと話を聞いた。その会話をもとに最近の中国でのマーケティング事情について考察してみたい。
1.マーケティングやコンサルティングという言葉が実務面で存在しない中国
私とその中国人教師とは3年以上にわたって懇親を深めており、HSK3級に合格ができたのも彼のお蔭である。彼の表現は非常に単刀直入なので、中国の実情がよくわかる。彼に拙著の扱う分野への中国人経営者や営業マンの関心度はどうだろうかと聞いてみたところ、「皆無である」との厳しい答えであった。中国はまだまだ経済成長期にあるので、「売る」ことへの意識が高まれば需要はあるのであろうが、現状では「マーケティング」や「コンサルティング」という概念は存在しないとの意見であり、正直がっかりした。
2.学問を越えるタイミングを模索する中国
では「学問としてはどうか」という質問に対して、それは経営学部や経済学部を有する大学では体系立てて学ぶ環境はあるとのことであった。例えば今の流行は、マッカーシーのマーケティングの4Pやコトラーが積極的に議論されているそうだ。
ただ、それはあくまでも先進国の事例や学問として学ぶという意味であって、成長期の中国では「どうにかして売る」という考えしかない。それも日本人感覚では多少「だましてでも」という発想が根底にあるとのことだ。確かに私が初めて中国に行った際にはタクシーでは多額の金額を請求され、観光客と見えれば商品の押し売りをするのが当たり前であり、今でもその実態は変わっていないと思われる。
そうはいうものの、人口構造が日本と異なる中国では今後は成熟期が訪れ、マーケティングやコンサルティング的な要素を取り入れながら顧客への営業アプローチが求められ、学問の枠を超える時期がやってくると筆者は確信している。
3.中国でもコンサルティング営業が求められる時代をめざして
経済成長率が7%に減速したとはいえ、まだまだ高額商品や高級サービスには需要のある中国である。流通段階で短絡的なビジネスモデルが多いのは理解する。しかし、中国もやがて成熟期を迎え、顧客の潜在的ニーズを探り、それに答える新たな付加価値をつけた商品開発が求められる時代がくると確認している。そして、その時にはこの本が中国語にも翻訳されてベストセラーになることを夢みたい。(執筆者:大森啓司・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
筆者はこの度単著で『法人営業で成功するにはコンサルティング力を磨け!売れる営業部になる為の処方箋』というビジネス書を出版した。先日この本に対する感想も含めて、中国人の「売る」という感覚について、著者の中国語の先生である中国人にいろいろと話を聞いた。その会話をもとに最近の中国でのマーケティング事情について考察してみたい。
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2015-07-01 16:15