カネはあるが頭脳が不足・・・中国映画業界の危機感

 中国では改革開放に伴う経済体制の変革が始まった1980年代から「人材の必要性」が叫ばれるようになった。その後、優秀な人材が輩出し成功事例にもことかかなくなったが、現在もさまざまな分野で「人材不足」が存在する。映画産業もそのひとつという。  ヒット小説の映画化は、世界的に見ても珍しくない。中国でも、人気小説は映画制作側から引っ張りだこになる。問題点はその背景にオリジナル脚本を書く人材が深刻な不足状態ということという。  山東省メディアの青島日報が同問題を取り上げた。中国では最近「図書IP」の用語が注目されるようになった。「図書」は「文字作品」、「IP」は「Intellectual Property(知的財産権)」を意味する。映画を始めとする映像作品のクレジットに、「図書IP」として原作が表示されることが、極めて多くあったのだ。  「図書IP」争奪戦の対象は「売れっ子作家」の作品だけでない。「まずまず」程度の評価の作家でも、映画化の際に支払われる対価はうなぎのぼりだ。  高校生を中心に人気を集めた「草様年華」の映画化著作権料は560万元(約1億1100万円)、数千部しか売れなかった小説でも、「30万元(約595万円)で売れる」という。ちなみに中国における「数千部」は、日本では「1000冊に満たない販売数」の感覚だ。  書籍出版された小説に続いて、ネット小説が引っ張りだこになった。映画監督の何平さんによると、根本的な原因は「われわれの創作力が低下してしまったからだ」という。書籍として出版された小説に映画に適したものが少なくなり、「ネット小説を探すしかない」との状況になったという。  何さんは「中国の映画業界は、資金だけは豊富。人材分野はすべて、飢饉状態」と表現した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国では改革開放に伴う経済体制の変革が始まった1980年代から「人材の必要性」が叫ばれるようになった。その後、優秀な人材が輩出し成功事例にもことかかなくなったが、現在もさまざまな分野で「人材不足」が存在する。映画産業もそのひとつという。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-07-03 15:30