大塚倉庫、陽進堂と日本初「医薬品共同物流」開始で医薬品の安定供給を強化

 大塚グループの医薬品等の物流を担う大塚倉庫(大阪市港区、代表取締役社長:浜長一彦)と、医療用医薬品メーカーの陽進堂(富山県富山市、代表取締役社長:下村健三)は2015年7月6日、物流における業務提携を発表し、国内で初めて医薬品の「共同物流」を開始した。同日、大塚倉庫の浦安配送センターで「大塚倉庫・陽進堂 共同物流開始 記者発表会」を開催し、大塚倉庫社長の浜長一彦氏は、「医薬品メーカーが共同物流に取り組む意義は大きい。売上高物流コスト比率が低い医薬品こそ、メーカーが協働して物流の共同化に取り組む時代になっている」と、提携の意義を強調。今回の提携で、国内医薬品物流の4分の1を占める国内最大の物流網になる。(写真は、大塚倉庫の浜長一彦氏<左>と陽進堂の田村仁一氏)  大塚製薬、大塚製薬工場、大鵬薬品のグループ製薬3社の医薬品物流を請け負う大塚倉庫は、グループの食品飲料、日用雑貨品の運送について共通プラットフォームの構築を進めている。「オロナミンC」、「ボンカレー」、「ポカリスエット」など、大塚グループの製品群である食品飲料、日用雑貨品の共同化は先行し、大塚倉庫の売上に占める外販比率(グループ会社以外からの受注)は50%を超えている。今回、医薬品分野での共同物流も開始したことによって、同社の共同物流戦略は一段と進展する。  陽進堂は、医薬品原料から医療用医薬品の製造販売を行うジェネリック医薬品メーカー。今回、大塚倉庫とは「輸液・透析液」の分野で提携する。輸液・透析液は医薬品の分野で容積が大きく、物流コストが大きな分野。しかも、「輸液・透析液の物流が途絶えることは、人命にも直接かかわるような重大事であるため、BCP(事業継続計画)の側面からも2年ほど前から物流網の整備について検討を重ねてきた」(陽進堂取締役営業本部長の田村仁一氏)という。  大塚グループも輸液・透析液分野でのシェアが大きく、大塚倉庫では「東日本大震災で浦安配送センターも被災した影響もあって、医薬品在庫の分散を進めてきた。2012年に東日本と西日本の在庫拠点を開設するなど、九州から札幌まで全国7拠点を整備した。陽進堂様が輸液・透析液に関する物流提案を広く社外に求められた際に、当社も応募し、在庫分散によるリスク分散と、納品先が一致することによる物流の効率化を評価していただいた」と、業務提携にいたった背景を語った。また、9月に稼働する兵庫県の西日本ロジセンターは、稼働当初から大塚グループと陽進堂の共同物流拠点として運営することも明らかにした。  輸液・透析液分野は容量が大きいこと、また、大塚グループと陽進堂のシェアが高いこともあって、今回の業務提携によって、国内医薬品物量の4分の1(OTCおよび医療機器等を省く)を占める物流の全国ネットワークを構築することができるという。大塚倉庫では、今後、医薬品メーカーと連携交渉を進め、「売上高物流コスト比率が高い食品や建設資材、紙・パルプ業界などでは当たり前になっている共同化の流れを、物流コスト比率が低い医薬品にも拡大したい」(浜長社長)としている。  大塚倉庫が共同物流について積極的に提携先の拡大を続けているのは、物流業界が抱える慢性的な人手不足・ドライバー不足という厳しい環境への対応策。同社は、タブレット端末とスマートフォンを活用した「物流のID(Important Data)化」を推進。経験の浅い倉庫スタッフやドライバーでも、タブレットが倉庫スタッフやドライバーをナビゲートする仕組みを構築し、ベテランと同等の作業量がこなせる体制を構築した。  すでに稼働している「ID運輸」の仕組みは、関東圏で運用しているが、「ID運輸は仮説と検証を繰り返し、データが蓄積するほど効率がアップする仕組み。今年中に全国展開を実施し、より一層効率的な物流管理を実現したい」(浜長社長)と、共同化による物流の効率化と安定供給の仕組みを不断に進化させると語っている。(編集担当:風間浩)
大塚グループの医薬品等の物流を担う大塚倉庫(大阪市港区、代表取締役社長:浜長一彦)と、医療用医薬品メーカーの陽進堂(富山県富山市、代表取締役社長:下村健三)は2015年7月6日、物流における業務提携を発表し、国内で初めて医薬品の「共同物流」を開始した。
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2015-07-06 17:15