梅雨明け目前にイオングループが「イオンの涼味」本格展開開始、地域密着の「つゆ」に新味

　沖縄地方が梅雨明けし、いよいよ九州、四国、中国地方へと梅雨明けの時期が近づいてきた。このタイミングに合わせ、総合スーパー「イオン」などでは２０１５年７月１０日、夏に需要の高まる豆腐、そば、ビール類の「涼味」商品の拡大展開を本州四国の店舗で開始した。同日、イオン品川シーサイド店で「イオンの涼味」本格展開開始の記者会見を開催。今年４月２８日にリニューアルしたトップバリュの新ジャンル「バーリアル」や、５月に新発売した「豆乳入り寄せ豆腐」、「五割蕎麦」など、期待の涼味商品を紹介した。写真はイオン品川シーサイド店にて。 　イオンリテール食品商品企画本部デイリー商品部長の宇治知英氏は、「トップバリュ　豆乳入り寄せ豆腐」について「甘みが強く、寄せ豆腐に適している北海道産大豆『ゆきほまれ』を１００％使用し、手盛り製法で仕上げました。天然にがりを使うなど素材にこだわり抜き、豆腐のおいしさを引き出すために寄せ豆腐にしました。『ゆきほまれ』で作った濃厚な豆乳と一緒に召し上がると一層風味が増します」と出来栄えに自信を示した。 　また、添付する「たれ」は東日本と西日本で味付けを変更。東日本では焼津産かつお節を使用した濃口醤油ベース。西日本では北海道産真昆布から抽出した出汁ベースの「たれ」をつけ、地域で好まれる味付けにしている。発売開始から売れ行きは好調で、「年間１００万個で大人気商品といわれる豆腐商品にあって、年間１５０万個以上の販売をめざす」（宇治氏）と強気の目標設定をしている。 　この地域特性に合わせた味付けは「トップバリュ　五割蕎麦」は一段と徹底。そば粉の風味を出すため石臼挽きそば粉を使用した五割蕎麦に付ける「つゆ」を全国６エリアごとに開発。「地域の店舗に勤めるコミュニティ社員（パート）に試食をお願いし、ＯＫをもらうまで何度も作り直した」（宇治氏）という労作。 　「北海道版」は、宗田かつお節・うるめいわし節・さば節・いわし節・むろあじ節に利尻昆布をあわせたそばつゆ。「東北版」は、かつお節・さば節に道南産昆布をあわせたそばつゆ。「関東版」はかつお節の旨みに利尻昆布をあわせたそばつゆ。関東以北では、だしをしっかりきかせた濃口醤油ベースのつゆにしている。「東海版」は、複数の削り節に利尻昆布を加えた、まろやかな甘みのあるつゆ。「近畿版」は、うるめ節・いわし節・さば節等複数の削り節に昆布を加えたつゆ。「中四国版」は、複数の削り節に昆布・椎茸の旨みを加えたつゆ。東海から西ではまろやかな出汁ベースの味付けにするなど、それぞれの地域の味を実現した。 　宇治氏は、「地域の味に合わせるというのは、（全国展開する総合スーパーとして）不得意な分野でしたが、地域に密着した展開を強化する取り組みの中、地域のコミュニティ社員の協力を得て実現しました」と胸を張った。発売以来、売上は３倍増となり、「これから暑くなると、一段とご利用いただける」と期待を込めた。 　一方、「トップバリュ　バーリアル」は、イオングループのプライベートブランド新ジャンルのビール類として、ビール類全体の販売数量の２０％程度を占める大きなブランドに育った。イオンリカーの取締役商品企画本部長の佐藤日昭氏は、「消費増税を挟んで、この１年間はその前３年平均の２倍程度の販売になっている」という。アルコール分５％の「バーリアル」、アルコール分４％の「バーリアル　糖質５０％オフ」、そして、アルコール分６％の「バーリアル　リッチテイスト」の３品種が、共通価格の３５０ｍｌ缶で１本８８円（税込９５円）。 　「消費増税後に消費の二極化が進み、ビール類ではナショナルブランド（ＮＢ）が積極的に提供しているプレミアムタイプやクラフトビールが人気化する一方で、価格を抑えた『バーリアル』の売上も好調です」（佐藤氏）と、イオングループのビール類の太い柱に育ってきた「バーリアル」ブランドを一段と磨くと語っている。 　４月に行ったリニューアルは、「味わい・香り・のどごし」を強化。従来は１種類の麦芽を使っていたが、新たに、クリスタル麦芽とロースト麦芽を加え３種類の麦芽を使うことでコクのある味わいを実現。ホップも、従来は１回投入していたものを、製造の前段階で半分、最後の仕上げに半分加えるようにして香りを引き出した。そして、のどごしのキレを良くするために、４日間熟成だったものを、マイナス１度～マイナス３度で１週間熟成に低温熟成の期間を延長したという。 　「ＮＢのビール各社は数カ月に１回はリニューアルや季節商品の投入などの販売促進活動を行って各ブランドの活性化に余念がない。『バーリアル』も常に進化して、ビール類の嗜好の変化をフォローし、ご愛飲いただいている皆さまの期待に応え続けたい」と、ビール類の需要が盛り上がる夏商戦に向けた意気込みを語っていた。（編集担当：風間浩）