【為替本日の注目点】ボールは再びギリシャ側に、不安定な動き続く

 NY市場  ドル円はギリシャへの支援で合意が近いとの観測や、イエレン議長が年内利上げが適切と発言したことが材料となり、122円88銭までドルが買われる。株高や長期金利の上昇もドル高につながった。ギリシャ支援で合意が近いとの見方にユーロドルも上昇。1.10台前半から1.12台に乗せる場面も。  株式市場は大幅高。アジア株が総じて堅調だったことに加え、ギリシャ情勢の改善見通しに、ダウは211ドル上昇。債券相場は続落。株高とギリシャ情勢に終始売りが優勢な展開。長期金利は2.40%台まで上昇。金は小幅に続落し、原油は反落。  新規失業保険申請件数 → 29.7万件  ドル/円 122.28 ~ 122.88  ユーロ/ドル 1.1120 ~ 1.1208  ユーロ/円 136.55 ~ 137.24  NYダウ +211.79 → 17,760.41ドル  GOLD -1.30 → 1,157.41ドル  WTI ー0.04 → 52.74ドル  米10年国債 +0.081 → 2.40%  本日の注目イベント  中   中国 6月貿易収支   欧   ユーロ圏財務相会合   欧   ギリシャ銀行休業期間最終日   米   6月財政収支   先週末のNY市場では、ギリシャへの支援問題が土曜日のユーロ圏財務相会合と、日曜日のEU首脳会議を経て、何とか合意に達するのではないかとの見方が広がり、ドル高が進みました。また、イエレンFRB議長が講演で、年内利上げ開始が適切だと、改めて述べたこともドル押し上げ要因でした。  ギリシャが改めて提示した改革案が明らかになるにつれ、債権国側との主張とは依然として隔たりはあるものの、受け入れられるのでないかとの観測が広がり、市場のリスクがやや後退したとの感触が広がっていました。週末には、ギリシャ議会でもこの改革案が承認され、チプラス首相個人の信認は低下しているものの、議会が承認したことで、合意に向け一歩前進した格好になっていました。このため欧州では、ドイツ国債が売られ、ギリシャ国債が買われるなど、合意を織り込んだ動きになっていました。  ところが、今朝は状況が一変し、再び暗雲が立ち込めています。昨日のEU首脳会議は中止となり、債権国側は、まずギリシャが経済改革法を成立させることを条件として、ギリシャに3日間の猶予を与えました。報道によれば、ドイツがさきの新しい提案には難色を示しているとありますが、先週の国民投票でチプラス首相が「反対」を勝ち取った際に、ユーロ圏首脳を名指しで批判したことが尾を引いているとの見方もあるようです。  昨日12日でギリシャ問題に関する白黒が出て、どちらにせよ決着するのではないかと見ていましたが、ボールは再びギリシャ側に投げ返されています。このため、週明けの今朝のオセアニアではドルが3週連続で「窓開け」して取引が始まっています。円が買われ、ユーロが売られる展開になっていますが、この不安定な動きはこの先、まだ少なくとも3日は続くことになりそうです。  イエレン議長は講演で年内の利上げ開始が適切であるとの認識を示しながら、同時にギリシャや中国などの外部環境に注視していることも強調しています。議長は「金融政策の正常化を始めるのが年内のいつかの時点で適切になるだろうと考える。しかしながら強調しておきたいのは、想定外の展開によっては最初の一歩を先送り、あるいは早めることもあり得るということだ」と述べています。  ギリシャ情勢がまだ不透明なことと、上海株が再び不安定な動きを見せるようだと、直接米国への影響は限られると見られるものの、FRBの金融政策に影響を与える可能性も出てくるということのようです。特に15日の水曜日は、中国のGDP発表、ギリシャの猶予期限、さらにイエレン議長の議会証言など重要イベントが重なる「スーパー・ウェンズデー」になっています。ボラティリティーが高まることが予想されます。本日のレンジは121円50銭~123円50銭と、ややワイドに予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はギリシャへの支援で合意が近いとの観測や、イエレン議長が年内利上げが適切と発言したことが材料となり、122円88銭までドルが買われる。株高や長期金利の上昇もドル高につながった。ギリシャ支援で合意が近いとの見方にユーロドルも上昇。1.10台前半から1.12台に乗せる場面も。
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2015-07-13 10:30