【為替本日の注目点】ギリシャ合意でドル円上昇、株高で上値試すか
NY市場
ユーロ圏首脳会議で、ギリシャ支援への協議を行うことで合意との報道に、ドル円は123円台を回復。NY市場では123円54銭までドルが買われたものの、その後は終始もみ合いで上値も重かった。ユーロドルは合意報道を受け1.2台目前まで買われたが、そこを頂点として反落。1.10割れまでユーロ安が進むなど、ユーロの上値も重い印象。
株式市場はギリシャ情勢の好転に大幅続伸。ダウは217ドル上昇し、先週末に続いて2日連続で200ドルを超える上昇を見せる。債券相場は3日続落。ギリシャ支援への明るい材料に、安全資産の債券に売りものが集まった。長期金利は2.45%台まで続伸。金、原油はドル高の影響もあり続落。
6月財政収支 → 518.8億ドルの黒字
ドル/円 123.32 ~ 123.53
ユーロ/ドル 1.0996 ~ 1.1070
ユーロ/円 135.74 ~ 136.57
NYダウ +217.27 → 17,977.68ドル
GOLD -2.50 → 1,155.40ドル
WTI ー0.54 → 52.20ドル
米10年国債 +0.055 → 2.455%
本日の注目イベント
独 独6月消費者物価指数(改定値)
独 独7月ZEW景況感指数
欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
英 英6月消費者物価指数
英 英6月生産者物価指数
米 6月小売売上高
米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
米 企業決算 →JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、ジョンソン&ジョンソン
昨日の夕方4時前、「ユーロ圏首脳、ギリシャ支援への協議で合意」との一報が伝えられると、ドル円は直ぐに123円台を回復し、その後も堅調に推移しています。122円台半ばでの取引でしたが、日経平均株価が底堅く推移し、前日比300円を超えると、引っ張られるようにドルが買われる展開でしたが、これで先週の底値から3円以上ドルが買い戻されたことになります。
17時間かかった会議では、イタリアなどギリシャに理解を示す国と、ドイツなど強硬派との隔たりもあったようですが、条件つきでギリシャへの金融支援の再開について協議することで合意しました。ただ、ギリシャにとって条件をクリアするのはそう簡単でもなく、これまでユーロ圏が要請してきた付加価値税の引き上げや、年金受給開始年齢の引き上げなどを15日までに議会で承認することが必要です。
先の国民投票では緊縮財政に、国民が「ノー」と判断を下した後だけに、国民だけではなく、議会でも与党内からの反発も予想されます。事実昨日は、緊縮財政反対派のデモもあったようです。チプラス首相としては、何とか破綻を避ける道筋はつけたものの、今度は国内での信認を大きく失うことになり、政治的な混乱に飛び火しそうな気配です。
ギリシャが最後の最後に破綻を回避することができるのかどうかはまだ予断を許さない状況ですが、先ずは議会を説得する必要があり、ここが難問です。またユーロ圏の中でもドイツなどでは、金融支援について自国の議会に諮らなければなりません。さらに、仮に破綻が回避できたとしても、今後財政的にやっていけるのかどうかの疑問も残ります。観光立国のギリシャでは、観光客の減少も続いており、税収の増加も見込みにくいと思われます。
昨日の合意で、15日にまでは時間を稼ぐことができたことで、金融市場はこれを好感しています。ドル高が進み、リスク資産の株価は日米欧で大きく上昇しました。反対に、安全資産の債券はドイツでも米国でも売られ、金利が上昇しています。リスクオンの流れが加速した結果ですが、まだまだ注意は必要です。
ギリシャ問題が落ち着きを見せれば、残るリスクは米国の利上げと中国株です。明日にはイエレン議長の議会証言があり、秋以降の利上げに関して何かメッセージがあるかもしれません。先日の講演では、年内に最初の利上げを行うことが適切であると述べると同時に、想定外の事態があれば利上げを遅らせることもあり得ると、強調していました。
また明日には中国の4-6月期GDPが発表されます。中国政府が目標としている「7%成長」が危ういと見られている状況の中、この数字を大きく下回るようだと、上海株の下落要因になることも考えられます。
本日も、日経平均株価は上昇するでしょう。前日比300円を大きく超える上昇を見せるようだと、ドル円も昨日のNY市場の高値を抜くことも十分ありえます。「日足」のMACDでは、「マックディ」と「シグナル」が交差し、もう一段上昇すると「ゴールデンクロス」も点灯します。予想レンジは123円~124円20銭程度と見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ユーロ圏首脳会議で、ギリシャ支援への協議を行うことで合意との報道に、ドル円は123円台を回復。NY市場では123円54銭までドルが買われたものの、その後は終始もみ合いで上値も重かった。ユーロドルは合意報道を受け1.2台目前まで買われたが、そこを頂点として反落。1.10割れまでユーロ安が進むなど、ユーロの上値も重い印象。
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2015-07-14 09:30