中国で「冷やし中華」を作って中国人の友人に食べてもらった

先回の記事で、中国では「夏に冷たい飲み物はNG」ということを紹介しましたが、今日はその「食べ物編」をお届けします。
■当然冷たい食べ物もNG
中国では飲み物であろうと食べ物であろうと、とにかく「冷えた物」を体に取り入れることで体を冷やす行為は御法度です。
これは東洋医学に基づく考えです。中国では生活の中にこの東洋医学が密接に関わっていて、体を冷やす必要がある時は「実際の冷たいもの」を入れて冷やすのではなく、「冷やす効能のあるもの」を取り入れることで冷やします。若い人でも体を冷やす食べ物、温める食べ物を良く知っていて、必要と場面に応じて食べ分けています。
ある時、友人が好きなはずの果物もあまり食べていなかったので「もっと食べなよ」と勧めたら、「これは熱を発する。今食べたら夜寝れなくなるから」と言っていました。
もう1つ、こちらの人は基本的に野菜を生で食べることはしません。「凉拌」と呼ばれる和え物はありますが、レタスやトマトなど日本なら生で食べるものも、こちらでは炒めて食べることが多いのです。
ですから冷やし「中華」と名乗ってはいますが、「冷えた食べ物」であること「具に生野菜が乗っていること」などから、これは確実に中国の食べ物ではないと思います。
■冷やし中華、作ってみた
具は豚肉と卵、キュウリ、トマト。ガスではなく電熱の調理器具なので錦糸卵が難しく、スクランブルエッグ状態です。
で、日本の夏料理の代表「冷やし中華」を実際に中国で作り、友人に食べてもらいました。「美味しい」と言ってくれましたが、やはり「こんな麺初めて見た」とも言っていました。
その写真を見た別の友人は「麺って言うけど麺はどこにあるの?」とか「どうやって食べるの?」という反応でした。みな初めて見る麺に興味津々だったようです。
ちなみにこちらの伝統的料理「拌麺」は冷やし中華と似ていますが、見た目は麺しかないシンプルな料理で、冷やし中華を見て「麺はどこ?」という反応も頷けます。
下にはピーナッツベースのたれが仕込んであって、良くかき混ぜてから食べます。食べ方は冷やし中華と似ていますね。麺がタレとよく絡んでとても美味しいです。これで3元(60円)、スープと合わせても10元(200円)で食べられる、こちらのお昼の定番料理です。
ただ、この麺も決して冷えてはいません。釜揚げというか、湯がいてそのままタレの上に乗せますので、温かい麺です。
とは言え最近では徐々に冷えた飲み物が売られ、クーラーが普及し、いわゆる「近代的」な暮らしが浸透してきています。同時に伝統的な良いものが失われているような気がして少し寂しい気持ちにもなります。(執筆者:高山 翔 提供:中国ビジネスヘッドライン)
先回の記事で、中国では「夏に冷たい飲み物はNG」ということを紹介しましたが、今日はその「食べ物編」をお届けします。
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2015-07-15 09:45