今こそ好機!協力を増やし対立を減らして日中関係の改善を図ろう!

日本経営管理教育協会が見る中国 第367回--水野隆張(日本経営管理教育協会営業部長)           ● 上海株の暴落と米国制服組が中国の位置づけ   急落していた上海株が政府のテコいれによって9日、いったん下げ留まったが、中国メディアによると、9日時点で上海、深センの両取引所で売買停止なっている銘柄は約1600に達しており、売買停止の解除と同時に大量の売りが噴出するリスクを秘めており、下値不安はなお消えてはいない。   一方、これまで対中融和策を採っていた米国が南シナ海での岩礁埋め立てなどに言及し、その振る舞いは「不安定要因だ」と警告。中国をロシアに次ぐ米国に対する安全保障上の脅威と位置付けている。 ● 日中関係を取り巻く情勢に変化の兆しが見える   中国はこれまで低賃金労働を武器に世界の工場として外資を呼び込み急成長を遂げてきたが、このところ労働者の賃金は上昇し、撤退する工場が相継ぎ7%の経済成長もままならぬ状況にある。株式投資に関しては、最近では富裕層だけではなく掃除のオバチャンのような庶民層までが株式投資に熱中しており、今後株暴落が続くようであれば庶民はパニックに陥り社会不安を巻き起こす懸念すらありそうだ。   安全保障の面では、これまで中国は、米国が過激派組織「イスラム国」掃討に手を焼いており、アジアの安全保障までには手が回らないとみて南進策を推し進めてきたが、このところ米国は、「中国の能力と米国が太平洋に有する権益を比較して検討すれば、中国を安全保障面の懸念領域と考える必要がある」とみなし始めている。   2015年9月には習近平主席の訪米が予定されており、中米関係の動向が注目されるところである。このように日中間系をめぐる情勢は日々一刻と変化しており、安倍総理が訪米して日米同盟の確固たる関係を再確認して以来領土問題に対する中国の対応も変化しており、日本のAIIBへの参加を期待する中国の姿勢から対日関係が軟化の兆しを見せている。このような情勢は日中関係改善の好機と捉えるべきであろう。 ● 協力を増やし、相対的に対立を減らす方針   この際、協力を増やして、相対的に対立を減らす方向で日中関係を改善して行くことを目指していくべきではないだろうか。日中関係にはお互いに補完できる分野が数多く存在しており、この方面で協力関係を深めていく一方で、領土問題など社会的・心理的なソフト分野では両国民に紛争・対立から目をそらしてもらい、協力に集中してもらうことである。   例えば東京都の舛添知事が「日本は北京オリンピックのノウハウを学び、中国は日本の環境保護技術を借りるといった協力ができる」と発言している。また国土開発に関しても東京は設計・街つくりのノウハウが高度であるのに対して、北京は投資の潜在力が大きいにも拘わらず、まだ日本に学ぶべき分野が数多く残されているように思うのである。   私共は北京市のシンクタンク組織と長年にわたり交流を続けてきたが、その過程で北京オリンピックでの庶民の道徳意識の改善や北京の空気汚染・水不足問題などについて東京都の諸政策を紹介して交流を続けてきた。   日中両国にはまだまだお互いに補完協力する分野が多数存在しており、今後も草の根交流として日中間の協力を推進していくつもりである。当面今年(2015年)9月に北京でシンポジウム開催を予定しており、10月には北京市関係団体の幹部と北海道での交流を予定している。   写真はどんよりした空模様の上海浦東。(執筆者:水野隆張・日本経営管理教育協会営業部長 編集担当:水野陽子) 
急落していた上海株が政府のテコいれによって9日、いったん下げ留まったが、中国メディアによると、9日時点で上海、深センの両取引所で売買停止なっている銘柄は約1600に達しており、売買停止の解除と同時に大量の売りが噴出するリスクを秘めており、下値不安はなお消えてはいない。
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2015-07-15 19:45