【為替本日の注目点】イエレン証言サプライズなしもドル高ユーロ安
NY市場
イエレン議長の議会証言では、特にサプライズはなかったものの引き続き年内の利上げ開始が適切との発言に、ドル円は123円97銭まで買われた。長期金利は低下したものの、発表された経済指標が概ね良好でドルを下支えした。ドル高が進んだことから、ユーロドルも大きく下落。1.0930までユーロ安が進み、安値圏で取り引きを終える。
株式市場は5日ぶりに反落。ギリシャ議会で審議が始まったことや、緊縮策に反対するデモが拡大したことを嫌気して、3主要株価指数は揃って小幅に下落。債券市場は反発。イエレン議長が利上げペースは緩やかになるとの認識を示したことから債券は買われた。長期金利は2.35%台まで低下。ドル高が進んだことで金は続落し、年初来安値を更新。原油も大きく売られ51ドル台に。
6月生産者物価指数 → +0.4%
7月NY連銀製造業景気指数 → 3.86
6月鉱工業生産 → +0.3%
ドル/円 123.41 ~ 123.97
ユーロ/ドル 1.0930 ~ 1.1016
ユーロ/円 135.36 ~ 135.97
NYダウ -3.41 → 18,050.17ドル
GOLD -6.10 → 1,147.40ドル
WTI -1.63 → 51.41ドル
米10年国債 -0.046 → 2.355%
本日の注目イベント
欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値)
欧 ユーロ圏5月貿易収支
欧 ECB金融政策発表
欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
米 新規失業保険申請件数
米 7月NAHB住宅市場指数
米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
米 イエレン議長、上院で議会証言
米 企業決算 →ゴールドマン・サックス、シティーグループ、グーグル、ブラック・ストーン
注目されたイエレンFRB議長の議会証言では、これまでの内容を繰り返しただけで、特にサプライズはありませんでした。それでも市場では年内の利上げを意識されてドルが買われ、円やユーロが売られています。この日発表されたNY連銀製造業景況指数などの済指標が良好だったこともドル高を支えた形でした。
イエレン議長は公聴会で「経済が予想通り前進していけば、年内いずれかの時点でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標引き上げが適切になる可能性が高い」と指摘しました。議長は、ギリシャ問題や中国のリスクはあるとしながらも、米景気は年後半には成長が加速するとの認識も示し、失業率は緩やかに低下すると述べました。
事実、米GDPは第一四半期が最も低調で、年の後半にかけて伸びていくことが多く、議長はこの点を意識して発言したものと思われます。ただ同時に年内の利上げ見通しはあくまでも予想であり、「ある特定の時期に利上げするとの意図を示したステートメントではない」とも語っています。(ブルームバーグ)
さらに、利上げを遅らせた場合の弊害にも触れ、仮に利上げを遅らせた場合、その後の利上げのペースが急激になる可能性があることも指摘しています。市場の見方は9月利上げを意識したコメントはなかったことから、現時点では12月利上げがコンセンサスになりつつあります。
今月28-29日にもFOMCが開催されますが、今回はイエレン議長の会見はなく、声明文が公表されるだけです。従って、今後9月のFOMCまでにイエレン議長の利上げに関するメッセージを聞くことは、基本的はありません。焦点は、8月と9月の初めに発表される雇用統計次第ということになりそうです。
ギリシャ議会ではユーロ圏側から要求された緊縮策につての審議が始まりましたが、アテネでは反対派のデモ隊が警察と衝突し、一部が暴動化しています。議会では、ツァカロトス財務相が、議員らに対して「私の仲間であるあなた方に言っておきたい。13日の午前9時半が私の人生で最も難しい瞬間だった。生涯重荷になるような決断だった。われわれが正しいことをしたかどうかは分からないが、これをする以外に選択肢はなかったことは確かだ」と、債権国側の条件をのんだのは、苦渋の決断だったことを説明しました。(ブルームバーグ)議会では15日までに緊縮策を承認し法制化する必要がありますが、大差で可決されると見られています。
ドル円は昨日のNY市場で123円97銭と、6月26日以来のドル高水準を記録していますが、この時も結局124円台は覗かずに折り返しています。従って、今日も124円台に乗せて安定できるかどうかがポイントになります。
ギリシャ・リスクが後退し、中国株も政府の懸命のサポートが今のところ功を奏していることで、リスクオンが強まっていますが、まだ125円を抜けてドルが上昇していくイメージは描きにくい状況です。レンジブレイクにはさらに材料が必要かと思います。本日のレンジは123円40銭~124円40銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
イエレン議長の議会証言では、特にサプライズはなかったものの引き続き年内の利上げ開始が適切との発言に、ドル円は123円97銭まで買われた。長期金利は低下したものの、発表された経済指標が概ね良好でドルを下支えした。ドル高が進んだことから、ユーロドルも大きく下落。1.0930までユーロ安が進み、安値圏で取り引きを終える。
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2015-07-16 09:30