【為替本日の注目点】ドル全面高の展開、市場は米利上げを意識

 NY市場  ギリシャ議会で緊縮策が承認されたことでドル円は底堅く推移。欧州市場で124円台に乗せたドル円は、NY市場では一段高にはならなかったものの、堅調に推移し124円台をキープ。ユーロドルでもドル高が鮮明となり、1.0855までユーロ安が進む。対ドルでのユーロ安がユーロ円にも波及し、ユーロ円は134円台まで下落。  株式市場は反発。企業決算やギリシャ情勢の好転を材料にダウは70ドル上昇し、ナスダックは最高値を更新。債券相場はほぼ横ばい。利上げに対するポジション調整が進んだものの、引け値では変わらず。金は続落し、約8ヶ月ぶりに1143ドル台に。原油価格も続落し、3ヶ月ぶりに50ドル台まで売られる。  新規失業保険申請件数       → 28.1万件  7月NAHB住宅市場指数     → 60  7月フィラデルフィア連銀景況指数 → 5.7  ドル/円 123.87 ~ 124.18  ユーロ/ドル 1.0855 ~ 1.0926  ユーロ/円 134.75 ~ 135.34  NYダウ +70.08 → 18,120.25ドル  GOLD -3.50 → 1,143.90ドル  WTI -0.50 → 50.91ドル  米10年国債 -0.001 → 2.354%  本日の注目イベント  米   6月消費者物価指数   米   6月住宅着工件数   米   6月建設許可件数   米   7月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)   米   フィッシャー・FRB副議長講演   加   カナダ6月消費者物価指数   ドル高の流れが鮮明になってきました。昨日この欄でも、ドル円は124円台に乗せ安定するかどうかがポイントと書きましたが、NY市場では124円台に乗せ、そこから大幅に続伸することはなかったものの、124円台を維持して戻ってきました。ドル高の流れは、ユーロドルではさらに鮮明になっており、ユーロドルは1ヶ月半ぶりに1.08台後半までユーロ安が進行しました。  イエレン議長の議会証言で9月の利上げの可能性は排除されなかったことや、ギリシャ問題にようやく明かりが見えてきたことなどから、リスクオンが進み、資金がドルに戻ってきたようです。ドルが全面高になっていることは、金価格を見ても明らかです。金価格は昨日のNYコメックスで、一時8ヶ月ぶりとなる安値をつけ、原油価格も3ヶ月ぶりに50ドル台まで売られるなど、市場は徐々に米利上げを意識したポジションメイクに傾斜してきました。  イエレン議長は前日に引き続き、昨日は上院で議会証言を行い、利上げは急ぎすぎても遅すぎても「どちらの場合もリスクがある」と証言し、「私自身は慎重かつ斬新的なやり方で進めるのが好ましいと考える」と述べています。  またインフレ率については、インフレ率2%の達成を待たずに利上げを実施することになろうと述べ、今後賃金が上昇してくると見込んでいることが背景であるとの認識も示しています。市場ではつい昨日までは12月の利上げの可能性がコンセンサスになりつつありましが、ドル全面高の動きを見る限り、再び9月利上げも復活してきた印象です。  ドル円は日足では、6月の雇用統計直後に記録した125円86銭からのレジスタンスラインを上抜けしたばかりか、一目均衡表の「雲」も明確に上抜けしています。さらに「MACD」でも既に「ゴールデンクロス」が点灯しており、一部はプラス圏に入ってきました。  問題はここからです。目先は先月2度テストした124円45銭近辺の直近高値を抜けるかどうかです。6月10日の「黒田ショック」以来ドルの上値が重くなり、市場関係者の一部には当面のドルの天井を確認したので117円程度までドルが下落するといった見方も出てました。「米利上げ」というメインシナリオが崩れない限り、ドル高の流れは変わらないと予想してきましたが、市場のセンチメントも再びその方向に傾いてきたようです。  長い間振り回されたギリシャ問題も、ECBがつなぎ融資を行うことで、ESMが実行されるまでの資金繰りのメドがついたようです。市場は急速にリスクオンに傾いてきましたが、まだ中国発の株価の暴落リスクがなくなったわけではありません。  従って、ドル円も上記高値を抜いていくにはまだ時間が掛かると予想されます。ドル円もある程度利益が取れるものは取っていく必要があろうかと思います。その上で、もし125円台の高値が抜けたら、その時は「順張り」で対応していけばいいいのです。  本日のドル円は123円60銭~124円60銭程度を予想しますが、ユーロドルの動きにも目配りが必要です。ユーロドルが1.07台を目指すようなら、ドル円も124円台半ばをクリアする可能性もありそうです。  イエレン議長は今回の議会証言でも「年内の利上げが適切である」と認識を示しました。一方IMFは、年内の利上げは見送るべきだと異例の忠告を行っています。FRBもIMFも、ともに首都ワシントンにあり、歩いていける距離にあります。  いわばご近所であり、ともに家主は世界で最も影響力のある女性の中に挙げられているイエレン女史とラガルド女史です。ファッションではフランス人であるラガルド女史に分がありそうですが、専門分野では果たして、どちらが勝つのでしょうか?良い週末を・・・・・。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ギリシャ議会で緊縮策が承認されたことでドル円は底堅く推移。欧州市場で124円台に乗せたドル円は、NY市場では一段高にはならなかったものの、堅調に推移し124円台をキープ。ユーロドルでもドル高が鮮明となり、1.0855までユーロ安が進む。対ドルでのユーロ安がユーロ円にも波及し、ユーロ円は134円台まで下落。
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2015-07-17 10:00