モーニングスターの第1四半期決算は30%増益で過去最高の四半期利益計上

 モーニングスター <4765> が2015年7月23日に発表した2016年3月期第1四半期決算は、連結業績で30%を超える大幅な増益となり、四半期利益では営業・経常利益ともに過去最高の利益水準になった。連結売上高12億8000万円(前年同期比21.7%増)、営業利益4億3600万円(同33.8%増)、経常利益4億3800万円(同30.6%増)だった。同日、決算発表会を開催し同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「証券市場の上昇、また、NISA(少額投資非課税制度)の浸透などによって、金融機関や個人の意識の変化が感じられ、事業環境の追い風になっている」と、好調な決算の背景を語った。  サービス別の売上高で目立って伸びたのは、タブレットを通じたファンドデータの提供で前年同期比で約2倍増。また、完全子会社のイー・アドバイザーが提供している「マネールック」関係も2倍以上の増収となった。さらに、サーチナウェブ広告が前年同期比72.9%増、ゴメスWebコンサルティングが同60.5%増、完全子会社のSBIアセットマネジメントの運用受託報酬が同40.4%増と総じて好調な部門が多かった。  連結営業利益では、モーニングスター単体が前年同期比24.1%増益、SBIアセットマネジメントが同70.3%増益となった。  売り上げが倍増したタブレットアプリでのファンドデータ提供事業は、タブレット提供台数が2014年6月末1万2224台が、15年6月末には3万1355台と2.6倍に拡大。提供台数の増加に比例して売上高が増大している。提供社数も49社になった。この大幅なタブレット提供台数の増加について、朝倉氏は「今年7月に金融庁が発表した金融モニタリングレポートによって、投信の販売姿勢で顧客の求めるリスクの商品を提供すべき、あるいは、手数料に見合ったサービスをしているか改めて確認する必要があるなどといった指摘があったことも含め、投信販売の現場に意識変化が起こっているところがある」と指摘した。  また、「営業スタイルとして、長期の視点でポートフォリオ営業を進める金融機関が増えている。当社が提供しているタブレットアプリでは、現在の保有投信に、新しい投信を追加した場合のリスク・リターンの変化をシミュレーションで見せる機能があり、複数の投信を組み合わせて提案するツールとして活用が広がっている」(朝倉氏)という。さらに、タブレットの導入は、当初は試験的に少台数から導入され、導入効果を見極めた上で、台数を増やすことが一般的であり、導入効果を確認した金融機関からの台数増加依頼が重なっているとして、今後も成長が続くという見通しを示した。  さらに、「マネールック」については、「NISA導入、子どもNISAの創設などによって、個人の方々の意識も変わってきている。『マネールック』は家計管理とアカウントアグリゲーション(銀行・証券・ECポイント等口座の一括管理)を提供するサービスだが、利用者の60%は証券口座を持たない方々。これまで投資経験のない方々も、資産の全体を把握することによって、その中で、NISAの活用など投資を検討されるような動きが出始めていることを感じる」と、個人の意識の中で「貯蓄から投資へ」という大きなうねりが起きつつあるとの手応えを語った。  「マネールック」については「投信アプリ」との統合も視野に入れ、「総合的なマネーアドバイスツール」としてバージョンアップする考えも示した。  一方、SBIアセットマネジメントの運用ファンドの純資産額が2015年6月末に1621億円(前年同月末比43.6%増)に拡大し、安定的な運用受託報酬につながっている。朝倉氏は、「昨年12月に設定した『SBIグローバル・ラップファンド(My-ラップ)』は、世界の投資商品から優れた運用成績のファンドを厳選し、最適なポートフォリオを構築するという考えで商品開発し、残高100億円を超える商品に成長した。モーニングスターのグローバルデータベースには、世界中の投信や株式、ETF、ヘッジファンド、年金勘定や保険勘定など約55万の商品データが蓄積されている。これらグローバルな商品群の分析・評価に基づく新たなファンドの開発など、グローバルデータベースを活用した新たなサービス開発にも積極的に取り組みたい」と語っていた。(取材・編集担当:徳永浩)
モーニングスターが2015年7月23日に発表した2016年3月期第1四半期決算は、連結業績で30%を超える大幅な増益となり、四半期利益では営業・経常利益ともに過去最高の利益水準になった。(写真は決算説明会を行うモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)
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2015-07-23 19:30