カカオ豆の厳選から「大人向けの機能性チョコレート」を強化=明治が名古屋で報告会

明治は、「チョコレートについて、大人の嗜好に耐えられるプレミアムタイプの育成を強化し、市場拡大をけん引する」(取締役常務執行役員菓子営業本部長の田上康孝氏=写真)と、チョコレート市場に一段と注力する。2015年7月17日、ヒルトン名古屋で「明治のチョコレートに関する取り組み説明会」及び「カカオポリフェノール研究成果報告会」を開催した。今年5月19日に東京で開催された「チョコレートの摂取による健康効果に関する実証実験 最終報告会」においてチョコレートの持つ大きな可能性を発表したが、「チョコレートの機能性について、さらに深く積極的に研究を進め、メーカーとして新しい価値を提供しながら、市場の拡大に取り組んでいきたい」(田上氏)と、チョコレート市場の成長に、改めて強い意欲を示した。
明治の菓子営業本部菓子商品開発部長の伊田覚氏は、2004年ごろから徐々に伸び始めたチョコレート市場が、2014年から一気に伸びて5000億円規模までに拡大した背景を、「機能性チョコレートが市場の注目を集め、今までチョコレートを食べていなかった年齢の高い方々の消費が伸びた」と分析。機能性チョコレートは、この3年間で2.5倍の規模に拡大している。
「日本人は1年間に1人が約2kgのチョコレートを食べているが、アメリカの5kg、ドイツの11.7kgなどと比較しても、日本の1人当たりのチョコレート消費量は、さらに拡大する可能性が高い」と、日本におけるチョコレート市場更なる拡大の可能性を語った。
また、明治では、チョコレート製造において「Bean to Bar」の考え方を積極的に取り入れている。西アフリカ、東南アジア、中南米などの産地でカカオ豆を選定し指名買いすることから、その豆にあった発酵やローストを行って特性を引き出すことで、商品の「機能性」「プレミアム」を可能にしている。たとえば、ポリフェノールが高いにもかかわらず苦くないチョコレートなどに仕上げているという。
一方、明治の食機能科学研究所機能性評価研究一・二部長の山地健人氏は、「カカオは昔、神様の食べ物といわれ、大変貴重で、通貨や薬として使われていた」とし、カカオ豆に含まれるポリフェノールの研究の近年の状況について解説した。カカオポリフェノールの研究分野は、血管、歯、胃、心臓、筋肉、肝臓、脂肪、脳、脾臓など、様々な分野におよび、毎年100本を超える論文が提出されていると語った。
チョコレート摂取量の多いヨーロッパにはノーベル賞の受賞が多いことに言及し、「ノーベル賞の受賞を促すような“神秘的な力”がチョコレートには宿っているのではないか」と、引き続きチョコレートの研究を進めたいと語った。
また本会では、愛知県蒲郡市における「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」について、愛知学院大学心身科学部健康栄養学科教授の大澤俊彦氏が研究報告を行われ、蒲郡市の約350名の住民の協力を得て進めた大規模実証研究において、「チョコレートの継続的な摂取によってBDNF(脳由来神経栄養因子)が増えていくことを発見した。この結果、チョコレートの継続摂取によって認知症予防の可能性がみえてきた」と報告した。
BDNFとは、脳の海馬といわれる部分に多く存在し、脳の神経細胞の生成・再生などを促進するたんぱく質の一種で、“脳の栄養”。BDNFは、記憶力やうつ病・認知症との関連も多く報告されている。「これまでは、定期的な運動や脳ゲームによる増加が報告されていたが、今回、チョコレートの摂取によっても増加することが初めて確認された」と、実証研究の画期的な成果を強調するとともに、「今後もカカオポリフェノールの新たな可能性が発見されることに期待したい」と意気込んだ。
明治の執行役員中部支社長の片桐裕之氏は、「2025年には65歳以上の約700万人が認知症患者になり、高齢者の5人に1人が認知症になるという見通しもある。チョコレートのチカラが、認知症の発症率を低下させることにつながれば、それは画期的なこと。今後もさらなる研究を続けたい」と意欲を示した。(編集担当:風間浩)
明治は、「チョコレートについて、大人の嗜好に耐えられるプレミアムタイプの育成を強化し、市場拡大をけん引する」(取締役常務執行役員菓子営業本部長の田上康孝氏=写真)と、チョコレート市場に一段と注力する。
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2015-07-28 16:15