イスラーム世界を垣間見る

日本経営管理教育協会が見る中国 第369回--坂本晃(日本経営管理教育協会特別顧問)
● イスラームとムスリム
2001年9月11日は、アメリカを始めとする先進諸国にとって悪夢の一日となった。ニューヨーク貿易センタービルがイスラム原理主義者による同時多発テロのひとつで破壊され、約1700人の死者が出た。このことは、石油資源の多くを中東諸国に依存する日本でも改めて中東への関心を高めるきっかけとなった。
イスラームは、イスラム教とも呼ばれるひとつの宗教であり、その信者をムスリムと呼んでいる。
● 世界三大宗教のひとつ
人間が生きて行くためには、食欲、睡眠欲、性欲を満たすことが必要とされているが、心身の健康が求められると言われるように心の拠り所も欲しい。
心の拠り所のひとつとして宗教があり、古くから色々と試されてきた。その心の拠り所を人々の集団的な活動に活用し、政治にも利用されてきている。
古くは自然現象に対する畏敬の念から、太陽や高い山を信仰の対象にしてきたと思われる。
その後、キリストによるキリスト教や、唯一絶対の神を信仰し、最後の預言者であるムハンマドの教えによるイスラームなど神はひとつであるとする宗教と、八百万の神を崇め神は複数いるとする宗教がそれぞれ発展してきた。
現在、世界三大宗教はその信者数の順に、キリスト教(33.4%)、イスラーム(21.2%)、ヒンズー教(13.5%)といわれている。ヒンズー教が多いのは、インドに信者が多く、インドの人口が世界第2位の12億人強のためである。
ムスリム人口が多いのはアジア系でインドネシア2億人、インド1.7億人、パキスタン1.6億人、バングラデシュ1.3億人、中東アフリカ系はナイジェリア、エジプト、イラン、トルコ各7000万人、ドイツ、フランスが各500万人、アメリカ、イギリスが各300万人程度と推測されている。
この人数比は、今後、これらの国々との経済交流にとり、市場をどのように構成できるかの大事な指標であろう。
● イスラームの特徴
ムスリムには「六信五行」という信条と義務がある。コーランと呼ばれる114章のアラビア語で音読される経典を信じ、1日に5回サウジアラビア・メッカにあるカアバ神殿に向かって礼拝する、1年に1カ月はラマダーンと呼ばれる断食月で日中は飲食をしない、メッカへの巡礼などの義務が課せられたる。
世界的には政治と宗教を切り離す政教分離が先進国で行われているが、政治・法律と宗教は切り離せられないとするイスラームの国があり、イスラームでは牧師、神父、僧侶、神官などのような聖職者は存在しない。
経済的な活動では、製造業ではなく、商業が中心で、地中海から中国までの貿易で稼ぎ、為替のような商業の基盤システムを開発、都市化を進め、礼拝場であるモスクを各地に建設、その芸術性は優れたものである。
コーランはアラビア語で書かれており、アラビア語は国際連合の公用語(英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、アラビア語)6つのうちの1つとなっている。民族間の抗争が絶えないことで一部危険視されているが、現在は低い水準にある一人あたりのGDPを先進国なみに引き揚げられれば、金持ち喧嘩せずになろう。
写真は東京代々木にあるモスク、東京ジャーミー。(執筆者:坂本晃・日本経営管理教育協会特別顧問 編集担当:水野陽子)
2001年9月11日は、アメリカを始めとする先進諸国にとって悪夢の一日となった。ニューヨーク貿易センタービルがイスラム原理主義者による同時多発テロのひとつで破壊され、約1700人の死者が出た。このことは、石油資源の多くを中東諸国に依存する日本でも改めて中東への関心を高めるきっかけとなった。
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2015-07-29 12:45