Dmetホールディングス、起業インキュベーターとして様々なアイデアの事業化を推進

 特殊鋼商社である阪神メタリックス(神戸市長田区、代表取締役社長:河合敏彦)を母体に設立されたDmet Holdingsが立ち上げたWEBサービスが約1年半の雌伏期間を経て、いよいよ芽吹きの時期を迎えた。Dmetでは世界の市場を対象とした様々な起業の機会を与えている。社内外からアイデアや出資者を募るプラットフォーム「Dmet idea(ディーメットアイデア)」、消費者の目利きによってブランドを世に送り出す「LABEL(レーベル)」、また、クラウドファンディング「Wannabee(ワナビー)」など、芽生え始めた事業の展望についてDmet Holdingsの代表取締役/CEOの河合敏彦氏に聞いた。 ――鉄鋼の商社である阪神メタリックスから、相次いでWEBをベースにしたサービスが生まれてくるというのは、大変ユニークに感じられます。Dmetを立ち上げた狙いは?  母体の阪神メタリックスは創業から50年以上の歴史があり、お取引先にも恵まれ、安定した事業を展開しています。特殊鋼では業界No.1クラスの品揃えと、一部は加工して製品メーカーに卸すワンストップ・ソリューションが特長です。ただ、鉄鋼関係の設備投資は投資金額が大きく、年率5%~10%程度の成長が居心地良いという限度があります。  着実な成長は大事な資産ですが、会社のDNAとして「進化せよ」を掲げ、夢を持てと社員を鼓舞する意味で、情熱を傾けて精一杯に働ける場を用意したいと考えたのがきっかけです。新規事業は、成長の天井を取り払いたいという思いで取り組みました。  2013年7月に新規事業のインキュベーターとしてDmet Holdingsを設立しました。DNAの「D」と、メタル(Metal=金属)からとった「met」を組み合わせた社名です。阪神メタリックスのDNAとして掲げている「正しい道を歩め」「出来るまで考え抜け」「オンリーワンを目指せ」「夢を持ち実現せよ」「進化せよ」という5つの精神を徹底的に追求する場にしたいという考えからです。  Dmetは自立した社員を育てる場をめざしています。新規事業のアイデアを社員から募り、本気度が伝わり、事業の計画に納得ができれば、運営を発案者に任せます。新規事業を生み出すことに参画することで、開発意欲や働く楽しさをグループ全体に広めたい。そして、優秀な社員を迎え入れ、グループの成長を加速させたいという思いがあります。 ――最初に取り組んだ「Dmet idea」とは?  新規事業のアイデアを、一般からも募って、様々な可能性にチャレンジしたいと考えました。商社として多くの事業会社と取引をしていると、各社で優秀な社員に出会います。様々な事業のアイデアを持っていても、日常の業務もあり、また事業化のための資金作りや人集めなどクリアすべき課題も少なくありません。そこで、アイデアのある人、そのアイデアの事業化に出資したい人、製造ができる人、販売を請け負う人など、さまざまな力がある人たちを結び付けるプラットフォーム「Dmet idea」を作りました。  ひとつのアイデアを世に出したいという意欲のある人が集まれば、一人ではでき得なかったことも実現できます。「Dmet idea」では、ひとつのプロジェクトに関係した人が、その貢献度に応じて売り上げを比例配分します。配分の仕組みをクリアにして、プロジェクトに参加した人が納得感の高い成果配分を受けられるようにしています。  この10月に第1号商品が誕生する見込みです。試行錯誤の末、製品化に至る道筋がついたので、これから、様々な取り組みの進捗に勢いがついてくると思います。 ――「LABEL」はSNSなどでの情報共有を通じて、これまで埋もれていたブランドを拡散・販売するサイトですが、開設の狙いは?  「LABEL」は、“ものづくり”を盛り上げるプラットフォームというコンセプトで2014年9月に立ち上げました。「Dmet idea」は“ものづくり”、そして、出来上がったものを流通させるためにECサイトが「LABEL」という位置づけで考えました。ただ、実際に運営を開始してみるとアパレル業界から多く出品していただいています。  「LABEL」では本当に良いものを厳選して紹介しています。ECサイトは数多く存在しますが、ブランドに焦点をあて、ファンと一緒になってブランドを育てていこうというサイトは珍しいと思います。現在は海外ブランドも含め約200ブランドを取り扱っています。それぞれのブランドが持つストーリーを紹介し、愛用者の声によってブランドの認知度を高めていきます。また、購入前に実物を見て判断したいという声も強くなったので、神戸・三宮にリアルな店舗「LABEL Salon」を開設しました。  ブランドを育てるというのは簡単なことではないのですが、ブランド・クリエイターとユーザーとの交流会、また、東京でポップアップストアを設けるなどの取り組みを重ねながら、ブランド認知の向上に努めているところです。 ――2015年4月にサブカルチャー分野に特化したクラウドファンディング・プラットフォーム「Wannabee」を立ち上げていますが、この狙いは?  「Wannabee」については、このようなサービスを始めたいという発案者からの強い要望があって立ち上げたサービスです。オタクのコミュニティを作り、映画やマンガの制作、アイドルに会えるイベントなどを、クラウドファンディングの仕組みを使って企画・実行していこうというものです。  現在Wannabeeサイト内では、新規会員登録者の中から抽選で30名様に、Wannabeeが主催するアイドルフェスイベント「やみつきアイドルビーチフェスティバル2015」の招待券が当たるキャンペーンを実施しています。このイベントは8月5日(水)須磨海浜公園内海の家エリア スマハマナツイチで開催され、NMB48やPASSPO☆などを含む、全13グループが登場します。  このアイドルフェスを皮切りに、様々なイベントを立ち上げて、日本にクラウドファンディングを根付かせる役割を担っていきたいと考えています。 ――今後の展望は?  Dmetは、まだ種蒔きのステージだと感じています。WEBベースのサービスの他に、Dmet LABELが2014年12月にスペインのアクセサリーブランドである「UNO de 50(ウノ・デ・シンクエンタ)」の日本進出の旗艦店を東京・表参道にオープンするなど、リアル店舗展開を行うサービスも始めています。  また、インドネシアで酪農、あるいは、プロの建築家とジョイント企画など、さまざまな事業化プロジェクトが進行しています。誰もが一度きりの人生ですから、その人生をより楽しく、精一杯に生きたいという気持ちがあると思います。その夢を、夢に終わらせないためにDmetは、発想豊かな人が自由に提案し、事業化への道筋をつけ、次々に会社が生まれる仕組みを提供したいと考えています。  将来は社長が100人くらいいるグループをつくり上げ、それぞれの会社が出したアイデアが融合することで、さらに新しい事業を生み出すといった企業体をめざして進めていきます。(編集担当:風間浩)
特殊鋼商社である阪神メタリックス(神戸市長田区、代表取締役社長:河合敏彦)を母体に設立されたDmet Holdingsが立ち上げたWEBサービスが約1年半の雌伏期間を経て、いよいよ芽吹きの時期を迎えた。
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2015-08-03 16:15