猛暑で気になる電気代の節約術、主婦の7割が実感する「電気料金の値上げ」に節約アドバイザー和田由貴さんが助言

 93%の主婦が「電気代をもっと安くしたいと感じている」――。生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研が20歳~59歳の主婦500名(20・30・40・50代で各125名)を対象に行った「電気料金に関する意識・実態調査」で、「この数年で家庭の電気代が上がった」という人が65%と3分の2を占めることがわかった。ところが、多くの主婦は、電気料金値上がりの要因の一つである「再エネ賦課金」など値上がりの理由までは理解していなかった。その中で、「省エネ家電」などへの買い替えが一巡し、省エネ余地が小さくなっている現在でも可能な“節約術”について、節約アドバイザー・消費生活アドバイザーとして活躍する和田由貴さんに、アドバイスを求めた。写真は節約アドバイザー・消費生活アドバイザーとして活躍する和田由貴さん。  東日本大震災以降、電気料金の値上げが続いている。7月14日に資源エネルギー庁が公表した「エネルギー白書2015」では、2014年度の電気の平均単価は25.51円/kWhとなり、2010年度からの値上がり幅は25.2%になっていることが報告されている。トレンド総研では2015年7月10日~7月14日に、主婦500名を対象とした調査を行って、電気料金の値上げに関する意識を調べた。  まず、「1カ月間当たりの平均的な電気料金」を聞いたところ、平均値は「7273.9円」。もっとも多かったのは「5000円以上、6000円未満」で17%。およそ7割の家庭が毎月5000円以上の電気料金を支払い、「毎月10000円以上」という人も18%を占めた。  この電気料金については、89%の人が「電気代の明細を、毎月必ず確認している」というほど、家計を預かる主婦の重要な役割と意識されている。そして、93%の主婦が「電気代をもっと安くしたい」と答え、現在の電気代が家計にとって大きな負担になっていると感じていることもわかった。  そこで、多くの家庭において電気代が上がっている理由について聞くと、「電気の使用量が増えているから」(72%)と「電気料金自体が上がっているから」(59%)が過半数を占めた。「電気の使用量」については、「エアコンの利用が増えた」(42%)、「家電製品の数・種類が増えた」(25%)、「夜型の生活で照明の利用が増えた」(24%)、「スマートフォンやパソコンなどIT機器の利用が増えた」(24%)など。「子どもたちが大きくなり各部屋で電気を使用するから」(埼玉県・44歳)、「深夜に起きていることが多くなったから」(愛知県・46歳)など、ライフスタイルの変化に伴い、電気の使用量が大きく変わったという回答が目立った。  一方、「電気料金の値上げ」については、「エネルギー白書2015」によると「火力発電所の稼働率上昇に伴う火力燃料費の増大」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の拡大」の2つがあげられている。2015年の再エネ賦課金は「1.58円/kWh」で2014年の0.75円/kWhの2倍以上。東京電力の試算によると、一般家庭の負担は1カ月当たり458円にのぼるとされている。  主婦に対して「なぜ電気料金は値上げされていると思いますか?」と聞くと、「原子力発電の代替手段として火力発電の利用が増え、発電コストが増大したため」については38%があげたものの、「再エネ賦課金の負担が増えているから」という回答は19%にとどまった。  そもそも「『再エネ賦課金』という制度があることを知っていましたか?」と聞くと、72%が「知らなかった」と回答。その負担額を伝えたところ、81%が「高すぎる」と答えた。また、「『再エネ賦課金』による電気料金の値上げは仕方がないものだと思う」という回答は4割で、過半数の人が再生可能エネルギーの普及拡大のために電気料金を上げることはNGだと感じていることもわかった。  ただ、資源エネルギー庁の試算によると「これまでに認定された太陽光発電設備に限っても、その全てが発電を開始したとすれば、再エネ賦課金は843円になる」とされ、一段と負担が大きくなっていく見通しだ。そこで、「再生可能エネルギーの利用率の向上のために許容できる電気料金の値上げ幅」を聞いたところ、「1カ月間当たり800円以上でも許容できる」という人は、わずか7%に過ぎなかった。今後の再エネ賦課金の値上げに対しては、人々の十分な理解を得ることが極めて困難だと言えそうだ。  このような調査結果に対し、消費生活アドバイザーの和田由貴さんは、「『エネルギー白書2015』にもあるが、電気料金の値上がりは、世帯年収が低い家庭ほど、その影響が大きいという問題点がある。電気代は各家庭で毎月必ずかかるコストで、値上がりの影響は非常に大きいので、しっかりと対策を練ることが重要」と指摘。  ところが、家庭での電気代の節約は難しくなってきている。「数年前までは、最新の電化製品を導入したり、待機電力をカットしたりすることで、消費電力を大きく減らすことができた。しかし、東日本大震災以降、多くの家庭で節電に一生懸命取り組んできた結果、こうした節電の余地はだいぶ小さくなった」(和田さん)という。  そこで、和田さんは「電気料金のメニューを変更する」という手段で電気料金の節約が可能になる場合があるとアドバイスしている。「各社の電気料金には様々なメニューがあり、時間や曜日に応じて電気代が変わるため、自身のライフスタイルに合わせて適切なメニューを選ぶことで電気代を抑えることが可能」という。  一般的に多くの家庭で利用されているのは「従量電灯」というメニューで、時間帯による料金変動がない。昼間は仕事で家に誰もいなかったり、夜中に電気を多く使ったりする家庭では、料金メニューを変更することで1カ月当たり1000円ほどの節約も可能になるという。和田さんは、「人々のライフスタイルが大きく広がっているため、それぞれのライフスタイルに合った電力料金メニューを選ぶことが重要」とアドバイスしている。  レポートをまとめたトレンド総研では、「2015年6月に発表した『日本の気候変動や地球温暖化対策への意識に関するレポート』で明らかにしたとおり、温室効果ガスの排出量を抑制するためには再生可能エネルギーの活用は欠かせない。しかし、今回の調査で、再エネ賦課金の認知度の低さや、その負担額に対する受容性の低さが明らかになった」と指摘。そして、電気料金の値上がりのもう一つの要因である、火力発電の依存度の上昇に対して対策の必要があるとしている。「安全性の確保が課題になるが、原子力発電所の再稼働により、発電コストを抑制することが可能で、電気料金も抑制することができる」ためだ。  そして、「電気代は、人々の生活に大きな影響を与える。再生可能エネルギーのコスト、原子力発電の安全性確保など、その課題は少なくないが、生活者への十分な説明と理解が求められているといえる」と結んでいる。(編集担当:風間浩)
93%の主婦が「電気代をもっと安くしたいと感じている」――。生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研が20歳~59歳の主婦500名(20・30・40・50代で各125名)を対象に行った「電気料金に関する意識・実態調査」で、「この数年で家庭の電気代が上がった」という人が65%と3分の2を占めることがわかった。
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2015-08-03 17:00