国に和せざれば、以て軍を出すべからず(呉子)

日本経営管理教育協会が見る中国 第370回--水野隆張(日本経営管理教育協会営業部長)
● 上海株式市場の株価暴落で一時はパニック状態に
ここ一年で2.5倍にも高騰していた上海株式市場の株価が、2015年6月中旬以降のわずか3週間で30%も下落して一時はパニック状態に陥った。その後は政府の財政出動で株価は戻しているが、先行き不安定な状況は今も続いている。中国の個人投資家は9000万人とも言われており、その中には信用取引で借金してまで一攫千金を狙って投資に手を染めた一般庶民も数多く含まれ、「跳楼」とよばれる飛び降り自殺者が出るなど事態は予断を許されない深刻な状況のようである。
一方で、習近平主席が主導する汚職撲滅キャンペーンが最終段階を迎えており、江沢民氏や故錦涛氏などの高官の側近までもが槍玉に挙っているという背後には権力闘争の激しさが窺がえる。
● 対外強硬姿勢を崩さぬ中国政府
このように国内情勢が不安定な状況にあっても、対外的には強気の姿勢を崩すこともなく南シナ海での埋め立てや施設建設を強行している。また東シナ海では中国はガス田を16基も増やしていることが最近明らかとなった。
ガス田建設の目的は軍事利用であることが明らかとなっている。ガス田にレーダーを設置すれば沖縄を飛び交う無線をすべて傍受できるということになる。実際には海上自衛隊が毎日哨戒機を飛ばして中国の傍若無人な行動を把握していたのだが、中国に遠慮する外務省の抵抗でこれまで発表が遅れていたようだ。
最近の安倍内閣の支持率低下から、写真を公表したほうが中国の脅威が迫っていることを国民に示せるという意見が主流となり、発表に踏み切ったということである。
● 中国古来の兵法の教え・・・国内の安定が第一
中国の兵法家「呉子」は「国に和せざれば、以て軍を出すべからず」と言っている。その意味するところは文字通り「国全体の統一なくして、戦争してはならない」というものである。
それにしても今回の中国を刺激してはいけないという外務省の消極的な姿勢には疑問を感じざるを得ない。内政事情から傍若無人な態度をとる中国政府の攻勢に対して毅然として抗議をすることこそ、世界平和への貢献に繋がるのではないだろうか。(執筆者:水野隆張・日本経営管理教育協会営業部長 編集担当:水野陽子)
ここ一年で2.5倍にも高騰していた上海株式市場の株価が、2015年6月中旬以降のわずか3週間で30%も下落して一時はパニック状態に陥った。その後は政府の財政出動で株価は戻しているが、先行き不安定な状況は今も続いている。
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2015-08-05 10:30