【為替本日の注目点】2ヵ月ぶり125円乗せ、再びドル買い強まる

 NY市場  ドル円はADP雇用者数が予想に届かなかったことで、124円02銭まで下落したが、その後に発表されたISM非製造業景況指数が大きく上振れたことでドル買いが強まり、2ヵ月ぶりに125円台を記録。ユーロドルもドル買いに押され、1.08台半ばまで下落したが、その後はユーロ買い戻しが活発となり1.09台に戻す。  株式市場はまちまち。ダウは5日続落したが、ナスダックはIT企業の決算内容が良かったことで反発し、34ポイント高。債券相場は続落。利上げ観測が強まり、2年債を中心に売りが優勢に。長期金利も2.27%近辺まで上昇。金、原油は続落。原油は在庫が膨らんでいたことが重石に。  7月ADP雇用者数     → +18.5万人  6月貿易収支        → -438億ドル  7月ISM非製造業景況指数 → 60.3  ドル/円 124.02 ~ 125.01  ユーロ/ドル 1.0850 ~ 1.0940  ユーロ/円 135.22 ~ 136.20  NYダウ -10.22 → 17,540.47ドル  GOLD -5.10 → 1,085.60ドル  WTI -0.59 → 45.15ドル  米10年国債 +0.046 → 2.269%  本日の注目イベント  豪  豪10月雇用統計   日  6月景気動向指数   英  英6月鉱工業生産   英  BOE金融政策発表   英  BOEインフレ報告   米  新規失業保険申請件数   加  カナダ7月失業率   堅調に推移していたドル円は、ついに昨日のNY市場で125円台に乗せました。125円台はそう遠くないタイミングであるだろうとは予想していましたが、明日の雇用統計を前に記録するとは予想外の展開でした。経済指標が良好だったことがきっかけでしたが、124円台後半から125円の重要なレベルは、以外にあっさり抜けてしまった印象です。  昨日のドル円は124円40銭近辺からはなかなか活発な動きを見せず、NYではADP雇用者数が予想より悪かったことで、一旦124円02銭までドルが売られる場面がありました。しかし、そこからの反発はかなり急激で、ISM非製造業景況指数が「60.3」と、約10年ぶりの高水準だったことからドル買いが強まり125円に乗せました。  ただ125円台に乗せたといっても、ワンタッチ程度であったことから、まだ125円台回復ということでもありません。ここからは、やはり明日の雇用統計に頼るしかありませんが、これで6月10日の黒田日銀総裁が国会で発言し、ドルが急落した「黒田ライン」は突破したことになります。  この間、ちょうど2ヵ月ほど要しましたが、結局元の水準を回復してきました。ギリシャ・ショックや、中国株の暴落、あるいは原油価格の下落などで、リスクオフの円買いも何度か見られました。専門家の中には、ドル高傾向はもう終わったといった極端な意見も散見されました。しかし先週後半あたりから、再びドル高傾向が強まり昨日の125円につながっています。  この背景は、日米の金融政策の方向性の違いに尽きます。FOMCメンバーである連銀総裁も、徐々に利上げを示唆する発言を繰り返してきました。昨日もメンバーの一人である、FRBのパウエル理事がCNBCのインタビューで「時は近づいている。6月のFOMC会合では大半のメンバーが、年内いずれかの時点で利上げする状況になったとの認識を持っていたと思う」と発言しています。(ブルームバーグ)  さらに「今後は極めて強くデータを意識して焦点を合わせていく」とも述べており、明日の雇用統計を含め、ここ1ヶ月ほどの経済指標に注目していることを説明しています。  ドル円がひとまず125円に達しましたが、米国の長期金利が反転したものの低水準であることに変わりはなく、ここからのドル支援材料にはまだ乏しいと考えられます。125円台を安定的に維持でき、その後に6月5日につけた125円86銭をテストすると見ていますが、時間はかかるかもしれません。  9月のFOMCで、「利上げは確実」といったセンチメントが醸成されるまで、あと2回の雇用統計を残しています。もっとも、そのような状況になった場合、利上げ決定の一報では当面の材料出尽くしでドルが売られることがあるかもしれません。本日の予想レンジは124円40銭~125円40銭程度と見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はADP雇用者数が予想に届かなかったことで、124円02銭まで下落したが、その後に発表されたISM非製造業景況指数が大きく上振れたことでドル買いが強まり、2ヵ月ぶりに125円台を記録。ユーロドルもドル買いに押され、1.08台半ばまで下落したが、その後はユーロ買い戻しが活発となり1.09台に戻す。
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2015-08-06 09:45