【為替本日の注目点】米株安で日経反落、ドル円上値は重いが不安心理は徐々に後退
NY市場
ドル円は昨日の東京時間に目先のドルの天井圏である102円74銭まで上昇したが、NY市場では株安、長期金利の低下にドルは下落。102円24銭辺りまで売られ上値テストは観られず。
ドル安が進んだことで、ユーロドルも続伸。一時は1.3770までユーロ高が進み、約1ヵ月半ぶりの高値を付ける。ユーロ円も141円台に乗せるなど、ユーロの堅調さが目立った。
株価は下落。NY連銀製造業景況指数が「4.48」と、前月の「12.51」から 大きく低下したことが響いた。それでもナスダックは28ポイント高と上昇したが、ダウは24ドル安。
債券相場は反発。経済指標の悪化に買い物を集め、10年債利回りは1週間ぶりの低水準となる2.710%まで低下。
金、原油は続伸。原油価格は約4ヵ月振りに102ドル台に、
2月NY連銀製造業景況指数 → 4・48
ドル/円 102.24 ~102.54
ユーロ/ドル 1.3728 ~ 1.3770
ユーロ/円 140.61 ~ 141.03
NYダウ -23.99 → 16,130.40ドル
GOLD +5.80 → 1,324.40ドル
WTI +2.13 → 102.43ドル
米10年国債 -0.030 → 2.710%
本日の注目イベント
英 BOE議事録
英 1月失業率
米 1月住宅着工件数
米 1月建設許可件数件数
米 1月生産者物価指数
米 FOMC議事録(1月28、29日分)
米 ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演
昨日の東京時間昼過ぎ。注目された日銀決定会合の結果がメディアに流された瞬間、ドル円は102円台前半から101円76銭まで一気に値を下げました。一部に、日銀による「追加緩和」期待があったせいか、「現状維持」との報道にドル売りが先行しましたが、内容が明らかになるに連れドルは急速に反発し、結局102円74銭までドル高が進行しました。
日銀は成長基盤融資強化策を拡充させました。金融機関の貸出増加を支援する制度をこれまでの3.5兆円から倍の7兆円に増やし、さらに今年3月末までとしていた期限を2015年3月末まで延長しました。黒田総裁は記者会見でこの決定を車とタイヤに例え、「エンジンの馬力を大幅に上げたので、その性能を十分に生かすためタイヤを強化した」と述べました。
このように非常に解り易い言葉で今回の決定内容を説明していましたが、一方でこれまでの異次元緩和は維持しながらも「追加緩和」に関しては温存した格好になりました。この決定に大きく反応したのは株式市場でした。日経平均株価は一時500円を超える上昇を見せ、引け値でも450円高と、今年最大の上げ幅を記録しています。「追加緩和」には至らなかったものの、「貸出増加支援策の拡充は、追加緩和にもつながるメッセージ」と、市場は受け止めたようです。
株価の上昇に引っ張られる格好で、ドル円も上昇基調を強めましたが、それでも102円74銭までで上昇は抑えられました。東京市場ではいい形で引けたため、海外市場での103円台乗せに期待も膨らみましたが、NY市場では日経平均株価の大幅上昇の影響を受けずに、NY連銀製造業景況指数の悪化に素直に反応し、むしろドルの下値を試す展開でした。NYダウが上下すれば、ほぼ日経平均株価は同方行へ反応しますが、日経平均株価が上下してもNY株式市場への影響は限定的です。やはりNY株式市場が世界最大であると同時に、東京株式市場には日本独自の投資家が少ないことと、外国投資家が先物主導でけん引しているという実体があるからでしょうか。
ドル円は102円74銭で上昇を抑えられ、結局これまでキャップされてきた102円後半が抜け切れなかったことになります。この水準を上抜けし、103円台まで上昇するには今回の材料だけでは力不足だったということになります。求められるのは、やはり米国の景気拡大が順調に続いているということを示す「エビデンス」が必要だということになります。足許では、米国からは弱い数字が増えつつあります。既に、「寒波の影響」という言葉だけでは説明しきれないような状況になりつつあります。ここは気が早い話ですが、3月7日に発表される「2月の雇用統計」に期待するしかありません。ここで雇用の拡大が確認できれば、重苦しい雰囲気が一気に払拭される可能性はあると考えます。
ドルの上値が重いことを確認させられた格好になりましたが、それでも今月初旬に覆っていた「不安心理」は徐々に解消に向かっているのも事実です。1万5300ドル台まで下落したNYダウは1万6100ドル台で推移しています。ナスダックに至っては連日上昇基調を強めています。新興国通貨の混乱も一時ほどではありません。欧州に目を向けても、イギリスではカーニー総裁のもと景気拡大が続き、ユーロ圏もイタリアの政局不安はあるものの、国債の利回りを見る限り落ち着いています。なによりも、直近のGDPが1%を超えるプラスを記録したことは、今後の期待を膨らませます。
このように見ると、鎮静化しつつある混乱が再び増幅されないかぎり、今後は「リスクオン」の流れがゆっくりと拡大して行くのではないかと予想しています。本日のレンジは101円90銭~102円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は昨日の東京時間に目先のドルの天井圏である102円74銭まで上昇したが、NY市場では株安、長期金利の低下にドルは下落。102円24銭辺りまで売られ上値テストは観られず。
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2014-02-19 09:45