訪日外国人1000万人突破の後、これから何をすべきか

日本経営管理教育協会が見る中国 第294回--有元舜治(日本経営管理教育協会監査役)
● 台湾、香港、タイなどで過去最高
日本政府観光局の発表によると2013年の訪日外客数は前年比24%増で1036万4千人、初めて1000万人を突破した。
台湾(221万人、前年比50.8%増)、香港(74万人、54.8%増)、タイ(45万人、74%増)、シンガポール(19万人、33%増)などで過去最高を記録した。韓国(245万人、20%増)は原発汚染水問題に係る報道などで夏以降失速したが、2007年の260万人に次いで過去2番目となった。
中国(131万人、7.8%減)も尖閣諸島国有化等の影響で冷え込んでいたが9月~12月の4カ月では過去最高を記録した。東南アジア諸国の査証緩和措置、ヴィジットジャパン事業の訪日プロモーション活動などの努力が実を結んできたようで、新聞、テレビなどの報道でも明るい話題がふえており、喜ばしい限りである。
しかし1000万人を超えたといってもフランスの8分の1程度、日本の出国者数(2012年1849万人)の半数をやっと超えたところで、旅行収支は大幅な赤字が続いており、観光立国は緒に就いたばかりというところだ。
● 人口が半分になったときどうする
国土交通省の有識者懇談会の議論で、2050年の日本の人口は1億人程度に減り、全国の居住地域の3分の2は人口が半分以下になる見通しだそうだ。三大都市圏を除けばおおむね「人口半減社会」になるという。半減した人口の半分近くが高齢者という地域がかなり出てくるのだろう。その時地域の雇用や高齢者の介護費、医療費は何で稼ぐのだろう。
高度成長期のような製造業が雇用を支えるようなことはもうないだろう。工場はコストが高く需要が縮小する日本を捨てて需要の拡大するところへ脱出を続けるだろう。輸出は減少を続け、貿易赤字は拡大し、経常収支も赤字になりつつある。
● 観光を核にしてシステムを作り替えよう
訪日外客数が1000万人を超えたことは本気でやればなんとかなりそうだという手がかりをつかんだということだろう。しかし、今のままの継続では「人口半減社会」は乗り越えられない。人口半減の時の明確な目標をもって痛みをともなう変革を実行する覚悟が必要だろう。
例えば2億人を超えるインドネシアのイスラムを顧客にするには、礼拝施設やHALAL認証などの対応が必要だろう。HALAL認証を得た農業や食品工業、さらに食品を製造するための機械産業は、相当な雇用と収入を産み出すだろう。安全・安心と評価の高い日本製品は、インドネシアのHALAL認証を得れば中東・アフリカにも需要が広がるそうだ。目先のビジネスとともに2050年、2100年を見据えた取り組みが必要だろう。(執筆者:有元舜治・日本経営管理教育協会監査役 編集担当:水野陽子)
日本政府観光局の発表によると2013年の訪日外客数は前年比24%増で1036万4千人、初めて1000万人を突破した。
台湾(221万人、前年比50.8%増)、香港(74万人、54.8%増)、タイ(45万人、74%増)、シンガポール(19万人、33%増)などで過去最高を記録した。韓国(245万人、20%増)は原発汚染水問題に係る報道などで夏以降失速したが、2007年の260万人に次いで過去2番目となった。
chaina,column
2014-02-19 10:15