FP山口京子さんに聞く、Visaデビットを使った家計管理術

消費税率の引き上げが目前に迫り、家計の負担増に頭を悩ませている人も多いだろう。ファイナンシャルプランナーの山口京子さん(写真)は、「4月からの消費増税に対する家計管理を見直す時、Visaデビッドカードの活用など、新しい決済手段を上手に取り入れた家計管理の方法を実践していただきたい」と語っている。(写真はサーチナ撮影)
――4月からの消費増税を前に、家計管理の相談で増えているのは?
消費増税を前に、家を買う、車を買うなどの大きな買い物についての相談は一段落し、今は、身の回りのものについての相談が増えています。その際に、私が申し上げているのは、「何を買わないでおくのか」ということを、よく考えましょうということです。
たとえば、オイルショックの記憶が鮮烈なのか、消費増税を前に、トイレットペーパーやティッシュの買いだめを考える方が意外と多いのですが、年間に必要なトイレットペーパーの金額は、3000円程度ですので、消費税が5%から8%に上がっても、増税分は90円程度に過ぎません。それに引き替え、トイレットペーパーの保管スペースを考えると、90円分の節税のために大量に買い置きするようなことは、努力のしがいのないことがわかっていただけると思います。
一方で、15年以上も前に買った家電製品を使い続けている場合は、買い替えのメリットはあるといえます。最近の家電は省エネ設計になっているので、電気料金の節約にもなるためです。ただ、「型落ち」で必要な機能がついた家電商品を買うという視点に立てば、3%程度割安な商品を見つけるのは難しいことではありませんので、比較的新しい製品を使っている場合は、わざわざ買い替える必要はありません。
このように、どちらかといえば、「家計の消費増税対策」というのは、心の問題なのではないかと感じます。むしろ、消費増税を前にして、家計の消費=支出に目が行くようになっているため、「そもそも無駄な支出をしていないか」など、家計管理について見直す機会にしていただきたいと思います。
――おすすめの家計管理術は?
ファイナンシャルプランナーがすすめる家計管理というと、「節約のススメ」というイメージがあるかもしれませんが、今、むしろオススメしたいのは、「投資家デビュー」です。節約によって、少しヘソクリを増やしても、そのヘソクリがインフレで目減りしてしまう時代になっています。今年から少額投資非課税制度「NISA」も始まっていますので、「投資」について考えていただきたいと思います。
人生が長くなって、現在、30代の人が退職する60代になっても、女性であれば2人に1人は、さらに30年間は人生が続くと考えられます。私は、今の女性には、お金を貯めて、増やすという、「ヘソクリ」と「投資」は“たしなみ”といってもいい時代だと思っています。
そして、昔ながらの家計簿を欠かさずに記入するということではなく、もっと手間ヒマをかけずに家計を管理し、投資について勉強するなどの時間を作ることも考えていただきたいと思います。たとえば、家計簿の代わりに、インターネットには銀行口座等の残高を、一元管理できる仕組みがあり、便利です。
また、日々のお金の管理は、クレジットカードやデビットカードの利用履歴が利用できます。カード決済の仕組みは、コンビニ等の小口決済にまで広がっていて便利です。さらに、クレジットカードやデビットカードの利用明細は、ネットを使えば、書き込まなくても利用履歴が参照できます。
――デビットカードを使った家計管理とは?
デビットカードには、銀行のキャッシュカードが、そのまま決済に使える「J-デビット」と、「Visaデビット」の2つの種類があります。「Visaデビット」は、Visaのクレジットカードが使えるお店で利用できるので、利用可能範囲が広いというメリットがあり、海外では銀行預金を現地通貨で引き出すこともできて便利です。
デビットカードは、使ったその場で銀行口座から決済され、銀行口座の預金残高が利用限度額になるため、クレジットカードにあるような「使い過ぎ」の心配がありません。
また、デビットカードを使うことによって、収入の中から生活費で使える金額を、あらかじめ取り分けて管理できるというメリットがあります。家計の支出は、住居費(家賃・住宅ローン)や保険料など、必ず支出しなければならない固定費、そして、水道光熱費、加えて、生活費などがあり、その残りが貯蓄に回せるお金になります。デビットカードを使うと、事前に生活費を振り分け、貯蓄に回せるお金が見えてきます。
私は、手取り収入の10%-20%を貯蓄に回し、投資することをすすめています。もし、貯蓄や投資に回す資金が残らないようであれば、固定費を見直し、将来に向けた貯蓄資金を確保することもできます。また、ちょっとした手仕事等を数千円から数万円の収入に換える“プチ稼ぎ”も、ネットで調べてみると意外に多くあります。
日々の生活を我慢して貯蓄や投資を増やそうというのではありません。投信を使えば、毎月500円ずつの積み立て投資も可能です。「投資」というと、100万円ないと始められないと感じてしまうかもしれませんが、コツコツと資産を増やす“プチ投資”は、すぐにでも始められると思います。
また、デビットカードにあらかじめ1カ月間の生活費を振り分ければ、デビットカードの残高が、その月に使える生活費として日常的に管理できて便利です。次の給料日までに口座の残高が少なくなれば、家庭にあるものを上手にやり繰りする工夫も生まれます。
このように、デビットカードを利用することによって、家計の収入と支出を上手に管理できるだけでなく、毎月、貯蓄に回せる資金が確保できるので、家計の赤字体質を脱却して、貯蓄が残せて投資に回せる好循環を作っていくことが可能になるのです。
――初めてのカードとして、おすすめのカードは?
Visaデビットカードが良いと思います。発行する銀行によって、それぞれサービス特典がありますので、お好みで選ぶこともできます。
たとえば、マイルをためることが好きな方は、りそな銀行のVisaデビットは利用金額に応じてマイルがたまります。また、三菱東京UFJ銀行やスルガ銀行、あおぞら銀行などが発行するVisaデビットは、利用金額に応じたキャッシュバックがあります。
楽天市場をよく利用していて、楽天スーパーポイントをためることが好きな方には、楽天銀行が発行するVisaデビットカードがおすすめです。今後も、Visaデビットを発行する銀行が増えていくと聞いていますので、ますます便利で身近なカードになっていくと思います。(編集担当:風間浩)
消費税率の引き上げが目前に迫り、家計の負担増に頭を悩ませている人も多いだろう。ファイナンシャルプランナーの山口京子さん(写真)は、「4月からの消費増税に対する家計管理を見直す時、Visaデビッドカードの活用など、新しい決済手段を上手に取り入れた家計管理の方法を実践していただきたい」と語っている。(写真はサーチナ撮影)
business,economic,people_life
2014-02-28 15:30