ドル/円は105円を高値にした下押し局面へ=外為どっとコム総研

外為どっとコム総研の調査部研究員の川畑琢也氏は、「ドル/円は今年1月の高値1ドル=105.440円を当面の高値に、横ばい、または、ドルの下落局面に入った可能性が高い」と分析する。「よほどのサプライズがない限り、1ドル=105円を抜けてドルが上昇する勢いは感じられず、過去2年間にわたって続いたドルの上昇相場が一巡した可能性がある」と語っている。(写真はサーチナ撮影)
――ドル/円が1ドル=101円台半ばでこう着しています。今後の動きは?
前回(2013年12月)にインタビューを受けた際には、ドル/円は1ドル=108.181円をめざすというドル高を予測していたのですが、結果的に1月に105.440円を付けて失速するかたちになりました。
1ドル=105.478円という水準は、2007年のドルの高値1ドル=124.120円から、2011年10月に付けた安値75.320円の下げに対する61.8%戻しの水準にあります。テクニカル的には、重要な水準だったので、多くのアナリストは、その後の値動きを注視していたのだと思うのですが、結果的に一段高へ進む力がなかったということになりました。
このような価格推移をテクニカル的に分析すると、今後の見通しは、ドル/円は横ばい、または、ドルが下落する可能性が強いといえます。
ドル/円を週足で見たサイクル面のポイントは、1971年以降のボトムを付ける期間は、31週-67週で、この平均は46週になります。現在は2013年6月安値を起点とするサイクルにあると考えられ、46週サイクルの応答週は4月28日の週です。過去の経緯から4月28日の週を挟む前後1カ月くらいの間に次のボトムを付けると考えられます。
仮に1月高値(105.440円)がサイクルのトップだとすると、サイクルのトップが中心点になってサイクルの始点に向けて下げてゆく「センタートランスレーション」という形をつくる動きに向かっていると見えます。そうなると、次はトレンドの転換の可能性から「ライトトランスレーション」は想定しづらく、「センタートランスレーション」あるいは、弱気型とされる「レフトトランスレーション」という形が考えられますが、いずれにしても、当面の値動きではドルに強気になれません。
一方、ドル/円の月足上での上昇・下落期間をカウントすると、上昇は11カ月-41カ月、下落は10カ月-61カ月となります。今回は2011年10月から始まった上昇トレンドが、今年1月までで28カ月を経過したことになるので、ライトトランスレーション以外で現在の46週サイクルを終えるようですと、この次は2年以上続いた上昇に対する下押し局面に入ることが予想されます。
――当面のドル/円の予想レンジは?
1ドル=93円-105円を予想します。105円を超えてドルが上がっていく局面は、よほどのサプライズがない限り想定しにくい状況です。
一方、下値については、1ドル=100円は大きなフシ目として意識され、200日移動平均線など重要な転換点も集中しているポイントでもあります。ここを割り込むことがあると、意外と大きな下押しにつながる可能性があります。
――底堅い動きを続けているポンド/円の見通しは?
現在、週足が一目均衡表で三役好転の中にあって、基準線が下値を支えた上昇局面にあります。ただ、今年1月2日高値の1ポンド=174.845円を起点とするレジスタンスラインが上値を抑えている状況にあります。このレジスタンスラインは日足でも確認できるので、これを突破できれば1月2日の高値を抜いて上昇する可能性があります。
ポンド/円の日足は、雲の上限に上値を抑え込まれたような形になっていて、上昇の勢いが感じられません。今後、雲のすぐ上にあるレジスタンスラインを超えれば、日足上も1月2日高値リトライが見えるばかりでなく、日足でも三役好転となって、月足を上に押し上げる原動力となる可能性もあります。当面は、日足の動きをウオッチしていきたいところです。
ポンド/円の予想レンジは、1ポンド=164円-180円で見ています。
――その他、注目している通貨ペアは?
ユーロ・ドルの保ち合いが煮詰まってきていることに注目しています。リーマンショック後は、1ユーロ=概ね1.20ドル-1.50ドルの間でもみ合ってきていますが、足下では2008年の1ユーロ=1.60370ドルを起点とするレジスタンスラインに迫っています。現在のレジスタンスラインは1.38ドル台に来ていますが、ここを抜けると1.50ドルへ向けた上昇の可能性が出てきそうです。
ただ、当面は昨年末に付けた1ユーロ=1.389ドルからの戻り高値1.377ドル後の調整局面で上昇力の弱い場面にあります。200日移動平均線の1.34ドル、また、2012年安値からのサポートラインである1.32ドルを割り込むことなく出直ってくれば、レジスタンスライン突破を試す動きが期待できます。(編集担当:徳永浩)
外為どっとコム総研の調査部研究員の川畑琢也氏は、「ドル/円は今年1月の高値1ドル=105.440円を当面の高値に、横ばい、または、ドルの下落局面に入った可能性が高い」と分析する。「よほどのサプライズがない限り、1ドル=105円を抜けてドルが上昇する勢いは感じられず、過去2年間にわたって続いたドルの上昇相場が一巡した可能性がある」と語っている。(写真はサーチナ撮影)
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2014-02-28 16:15