ゼリア新薬工業は売られ過ぎ感、好業績に変化なし
医薬品メーカーのゼリア新薬工業 <4559> の株価は1月高値から利益確定売りで反落し、自己株式処分・売出も嫌気されて水準を切り下げたが、売られ過ぎ感も強めている。好業績に変化はなく、足元の調整局面は押し目買いの好機だろう。
消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品などのコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、13年6月には自社オリジナル新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売した。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力として、コンビニエンスストア向け「ヘパリーゼW」(清涼飲料水)の売上が急拡大している。
M&Aやアライアンス戦略を活用してグローバル展開にも取り組んでいる。08年10月に基礎化粧品のイオナ、09年9月に「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月にコンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結するとともに、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。
2月5日発表の今期(14年3月期)第3四半期累計(4月~12月)連結業績は前年同期比16.1%増収、同71.3%営業増益、同65.2%経常増益、同39.5%最終増益だった。増収効果で研究開発費や広告宣伝費の増加などを吸収して大幅増益だった。セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は「アサコール」の国内外での好調などで同16.4%増収、コンシューマーヘルスケア事業は「ヘパリーゼ群」の好調などで同15.9%増収だった。
通期見通しについては2月5日に増額修正(11月8日に次いで3回目の増額修正)した。売上高は5億円増額して前期比14.4%増の610億円、営業利益は1億円増額して同41.0%増の65億円、経常利益は1億円増額して同39.0%増の65億円、純利益は1億円増額して同20.5%増の48億円とした。配当予想も前回予想に対して1円増額の年間29円(第2四半期末14円済み、期末15円)とした。前期との比較では株式分割を考慮すると実質的に3円50銭増配となる。
医療用医薬品事業では「アサコール」が国内外で好調に推移し、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」はアステラス製薬 <4503> との共同販促を強化している。コンシューマーヘルスケア事業ではテレビCM効果などで「ヘパリーゼ群」の好調が続き、植物性便秘薬「ウィズワン群」も売上が拡大している。研究開発費や広告宣伝費は増加するが、増収効果に加えて原価率改善や経費効率的運用も寄与する。
第3四半期累計の進捗率は売上高が76.7%、営業利益が91.8%、経常利益が93.4%、純利益が95.2%と高水準であり、通期4回目の増額修正の可能性がありそうだ。
2月21日に自己株式の処分および株式売出を発表した。公募による自己株式処分666万株、オーバーアロットメントによる自己株式売出99万株で、処分・売出価格は3月3日から3月6日の間のいずれかの日に決定するとしている。調達資金(手取概算額合計の上限約186億84百万円)は設備投資資金と研究開発資金に充当する。
株価の動き(13年10月1日付で1株を1.1株に分割)を見ると、1月21日の上場来高値3170円から利益確定売りで反落し、2月上旬の全般地合い悪化も影響して2月6日の2310円まで調整した。その後2月14日には2700円台まで戻す場面があったが、2月21日発表の自己株式処分・売出を嫌気して水準を切り下げ、2月28日には2219円まで調整した。目先的に需給悪化懸念を強めた形だ。
2月28日の終値2220円を指標面(自己株式処分・売出前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS105円57銭で算出)は21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間29円で算出)は1.3%近辺、実績PBR(前期実績に株式分割を考慮した連結BPS807円64銭で算出)は2.7倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感も強めている。好業績に変化はなく反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医薬品メーカーのゼリア新薬工業<4559>(東1)の株価は1月高値から利益確定売りで反落し、自己株式処分・売出も嫌気されて水準を切り下げたが、売られ過ぎ感も強めている。
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2014-03-03 09:15