三洋貿易は好業績や割安感を評価する流れに変化なし
ゴム・化学関連商品などの専門商社である三洋貿易 <3176> の株価は、全般地合い悪化の影響も受けて1月の上場来高値圏から一旦反落したが、12年10月新規上場からの上昇トレンドを維持している。好業績や指標面の割安感を評価する流れに変化はなく、足元の調整局面は押し目買いの好機だろう。3月期末に向けて3%台の配当利回りも注目点だ。
1947年設立で、12年10月東証2部市場に新規上場し、13年10月東証1部市場に指定替えとなった。ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に事業展開する専門商社で、メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面では実質無借金経営も特徴だ。海外は米国、タイ、中国(上海、香港)、インド、ベトナムなどに展開し、13年10月にはメキシコにも現地法人を設立した。
業界別売上構成比は自動車関連が約5割を占め、OA・家電関連、塗料・インキ関連、プラスチック関連などが続いている。自動車関連向けは各種合成ゴム・添加剤の他に、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品のレザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサーといった、高付加価値の特殊な部品を主力としていることが特徴だ。また飼料・エネルギー・リサイクル関連では、飼料や固定燃料などを製造するペレットミルが高シェアだ。
中期の目標数値として15年9月期売上高610億円、営業利益30億円を掲げ、成長戦略としては自動車関連商材を中心としたグローバル展開の強化に加えて、医薬・医療・バイオなどの生活関連分野、木質バイオマス発電や太陽光発電素材などの環境関連分野、地熱・海洋資源開発などの資源エネルギー関連分野への事業展開にも注力する方針だ。国内子会社のコスモス商事は地熱・海洋資源開発関連分野で掘削用機材の輸入販売・レンタルを手掛けている。
2月12日発表の今期(14年9月期)第1四半期(10月~12月)連結業績は前年同期比16.9%増収、同29.3%営業増益、同33.0%経常増益、同38.7%最終増益だった。前年同期は尖閣諸島問題の影響を受けたが、その反動増も寄与して自動車関連が国内外で好調に推移した。円安効果で海外売上高の円換算額も増加した。増収効果で大幅営業増益となり、営業外収益では受取配当金や為替差益の増加、営業外費用では株式公開関連費用の一巡も寄与した。
セグメント別売上高を見ると、ゴム・化学品は自動車関連向け合成ゴムや塗料・インキ関連向け添加剤などが好調で同6.0%増の62億11百万円、機械資材は飼料・環境用ペレットミルなどがやや低調だったが、自動車シート用各種部品や公的研究機関向け各種分析機器などが好調で同31.0%増の34億93百万円、海外現地法人は米国、上海、タイの自動車用シート部品の好調などで同86.1%増の34億08百万円、国内子会社はアロマンの半導体・電子部品関連が低調で同33.4%減の13億25百万円だったが、コスモス商事の掘削用機材は好調だった。
通期の見通しは前回予想(11月8日公表)を据え置いて、売上高が前期比8.7%増の555億円、営業利益が同10.6%増の27億円、経常利益が同2.8%増の28億50百万円、純利益が同5.7%増の15億60百万円としている。自動車関連各種合成ゴムやシート用部品の好調が牽引して増収増益見込みだ。セグメント別にはゴム・化学品が同7.4%増収、機械資材が同13.8%増収、海外現地法人が同28.7%増収、国内子会社が同26.5%減収の計画だ。
通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が26.1%、営業利益が27.9%、経常利益が31.9%、純利益が31.9%と高水準である。資材・機材セグメントの設備投資関連商材については上期(10月~3月)の構成比が高くなる傾向があることに加えて、4月からの消費増税の影響が不透明として通期見通しを据え置いているが、上振れの可能性があるだろう。
株価の動き(13年10月、東証2部市場から東証1部市場に指定替え)を見ると、新規上場の12年10月安値427円をボトムとして、適度な自律調整を挟みながら水準を切り上げる展開だ。年初の1月6日には上場来高値となる1000円まで上値を伸ばした。その後は利益確定売りや1月下旬~2月上旬の全般地合い悪化の影響で、2月4日に853円まで調整する場面があったが、素早く切り返して900円台を回復している。売り一巡して出直り態勢だろう。
2月28日の終値914円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS107円56銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は3.3%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS1027円32銭で算出)は0.9倍近辺である。週足チャートで見ると、13週移動平均線が目先の戻りを押さえているが、大勢としては26週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだろう。3%台の配当利回りなど指標面の割安感も強いだけに押し目買いの好機だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ゴム・化学関連商品などの専門商社である三洋貿易<3176>(東1)の株価は、全般地合い悪化の影響も受けて1月の上場来高値圏から一旦反落したが、12年10月新規上場からの上昇トレンドを維持している。
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2014-03-03 09:30