中国人旅行者には「三意」で接しよう――信頼関係を取り戻す絶好の機会

日本経営管理教育協会が見る中国 第296回--宮本邦夫(日本経営管理教育協会会長)                  春節の休暇を利用して訪日した中国人が増加したというニュースに接した。確かに以前に比べて来日する中国人が増えていることは間違いないようである。銀座を歩いていても、大きな買物袋を持ち歩く中国人を多く見かけるようになったからである。政治・外交的には、最悪の日中関係が続く中で、増え続ける訪日中国人にどう接したらよいのであろうか?   結論を先に言えば、訪日中国人の増加は、両国民の信頼関係を取り戻し確立するための絶好の機会であると捉えて、「三意(誠意・熱意・創意)」を持って接することである。より具体的には、以下の諸点に留意することである。 1.「誠意」……「親切丁寧」   「誠意」というのは「まごころ」である。具体的には、心の底から相手のことを思い、相手が喜ぶこと・相手に役立つことを積極的に行うことである。ところが、言葉が通じない中国人相手では、相手が何を考え、何を欲しているかを知ることが難しい。このような状況下で、われわれにできることは、とにかく「親切丁寧」に振舞うことである。   例えば、地図を片手に道に迷っている中国人を見かけたら、近づいて話しかけてみる。その際、中国語ができなければ、英語で話しかけてもよいし、英語が苦手な人は、日本語でもよい。とにかく、困っている人を助けるという誠実さ、親切心が相手の心を動かすわけであるから、相手が「親切丁寧」であると受け止めてくれるような行動、態度を示すことが大切である。 2.「熱意」……「一所懸命」   「熱意」とは「熱いこころ」である。何かをする場合、いやいやながら消極的にするのではなく、白けないで熱っぽく積極的にするということである。実際、何かをしてもらう場合、無表情で事務的にやってもらっても、感謝の気持ちは湧いてこない。逆に、表情豊かに熱心にやってくれると、好感を抱き感謝の気持ちが湧いてくるものである。つまり、相手の「一所懸命」な行動、態度に心打たれるのである。   この「一所懸命」であるが、これは文字どおり「一箇所に命を懸ける」ということである。例えば、中国人との出会いであれば、その出会いは、二度とないものであると意識して、熱心に相手をするということである。相手の「一所懸命」な行動、態度に感動するというのは、万国共通である。 3.「創意」……「状況対応」   「創意」とは「常に何かを創り出していく積極的なこころ」のことである。つまり「同じことを繰り返さないで、常にやり方を変えていく、新しいものにしていく」ということである。   このことは、人との付き合いでも言える。人付き合いでは「人はみな同じだから、同じ態度で接すればよい」と考えがちであるが、これは得策ではない。人間の能力、性格、欲求などが異なるのは当然であるから、その違いに応じた接し方をしなければならない。   中国人に接する場合でも、中国人という大きなくくり方で捉えないで、一人の人間として捉え、それぞれに合った接し方、付き合いを考えて相手をする。人付き合いにおける「創意=状況対応」の重要性をよく理解すべきである。(執筆者:宮本邦夫・日本経営管理教育協会会長 編集担当:水野陽子) 
春節の休暇を利用して訪日した中国人が増加したというニュースに接した。確かに以前に比べて来日する中国人が増えていることは間違いないようである。銀座を歩いていても、大きな買物袋を持ち歩く中国人を多く見かけるようになったからである。政治・外交的には、最悪の日中関係が続く中で、増え続ける訪日中国人にどう接したらよいのであろうか?
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2014-03-05 01:30