SMBC日興、NISAで銀行と連携強化、金額・株数指定取引「キンカブ」も

 SMBC日興証券では、NISA(少額投資非課税制度)の取り扱いに際し、三井住友銀行との連携を強化する一方、同社独自の金額・株数指定取引「キンカブ」の店頭取扱を開始するなど独自サービスの利用も呼びかけている。「預貯金から初めて投資に進まれる方には、1万円から金額を指定して株式に投資できるキンカブは、きっかけとして入りやすいと思います。キンカブの買付手数料をゼロにし、NISA口座でのご利用を提案しています」というSMBC日興証券リテール事業推進部長の中田太治氏(写真)に、NISAサービスの現状と展望を聞いた。 ――NISA口座の取り扱い状況は?  約33万口座の申し込みをいただいています。口座開設についてはNISA事務センターを設置して、必要書類を税務署に速やかに送付する体制を作っているため、お申し込みを受け付けてから4-6週間で、取引開始ができる状態になっています。  これまで、お申込みいただいた方は、既存のお客さまが中心です。NISA口座で投資していただいている商品は、おおむね株式60%、投資信託40%という状況です。100万円の投資枠は、まとめて使ってしまわれるお客さまも多くいます。  株式は、国際優良銘柄が多くなっています。NISA口座での人気銘柄というと、配当利回りが高い銘柄が目立っているようですが、当社に開設していただいたNISA口座では、配当の水準だけでなく、国際的に活躍しているという「ブランド力」に優れた企業の株式が好まれています。中長期で安心して保有していられるという観点から選ばれていると思います。  一方、投資信託については、NISA用のファンドをあえてお勧めしないという方針で臨んでいます。NISA口座で人気が高いのは「日興UBS日本株式リスク・コントロール・ファンド」など、株式への投資比率を市場の環境に応じて変更させるタイプのファンドです。また、外国債券やリートに投資しているファンドも人気があります。 ■NISA口座では「キンカブ」と投信の購入時手数料ゼロ ――NISAサービスの特徴は?  NISAの開始に合わせて金額・株数指定取引「キンカブ」の申し込み受け付けを営業店でも開始しました。「キンカブ」は金額を指定して株式の購入が可能ですので、NISA口座投資枠の100万円ちょうどの株式を購入することができます。また、株式5銘柄を20万円ずつ買い付けるということも可能です。この「キンカブ」には、NISA口座での購入時には、手数料に相当するスプレッドをゼロ(無料)にしています。  また、NISA口座を通じた投資信託の購入時手数料も無料にしています。購入時手数料ゼロの投信は、当社で通常取り扱っている約600銘柄を適用対象としております。  2014年3月末までNISA口座開設にあたって2000円プレゼントも実施し、当社でNISA口座を利用していただくメリットを感じていただきやすくしました。 ■グループの三井住友銀行との連携を強化  さらに、グループの三井住友銀行との間で、お客さまを相互に紹介する連携を強化しています。銀行を利用されているお客さまが、NISA口座を通じて株式取引を希望される場合は、近隣のSMBC日興証券の支店を紹介させていただいています。また、SMBC日興証券を利用していただいているお客さまのローン相談については、三井住友銀行の支店を紹介します。これは、非対面チャネルである「バンク&トレード」というサービスでも連携を深めていますので、お客さまにはワンストップサービスの利便性を提供できると思います。 ――お客さまのNISA制度への改善要望は?  まず大きいのは、期間を恒久化してほしいという希望です。次に、株式と投資信託に限定されていることについて、債券を加えてほしいという希望も多くあります。個人向け国債など債券が加われば、投資のきっかけにしたいというお客さまのニーズはあります。さらに、1年間に100万円という投資枠の拡大を希望される声も聞きます。 ――今後の取り組みは?  NISAを通じて、投資の経験のない方々に投資のきっかけにしていただくよう働きかけるというのは、まさに緒についたばかりです。日本全体で、これからマラソンのような取り組みになっていくと思います。当社では、グループとして証券と銀行の支店がコラボレーションしていくことも、3年くらいをかけて連携効果が現れてくるようなことだと考えます。 ■コンサルティングのわかりやすさで一日の長  一方、対面サービスとネット窓口の役割について、それぞれの特性を生かして取り組みを強化していきます。対面サービスでは、アドバイスを求めるお客さまに、コンサルティングの力を発揮し、いかにわかりやすく商品を説明し、お客さまのニーズに適ったサービスを提供できるかが問われます。商品が多様化していますので、個々の商品をわかりやすく説明するスキルを高めていく必要があります。  コンサルティングについては証券業界では個々のスキルアップにまかせる傾向が強かったのですが、当社では10年近く前から“店頭サービス表彰”を開催するなど、全体的なコンサルティング能力の向上に努めてきています。  一方、ネット窓口では、コストを安くし、自己判断で投資を進めるというお客さまに必要な情報を揃えていきます。若い方々を中心に、初めての取引がネット窓口だったという方々も増えていくと思いますが、相続や退職金など、まとまった資金ができた時に、改めて資産全体の運用を考えた時に、アドバイスがほしいと感じられると思うのです。その時に、SMBC日興証券のコンサルタントに相談していただけるようにしていきたいと思っています。  NISAについては、株式の取り扱いで「キンカブ」という他社にはないサービスを提供しています。また、三井住友フィナンシャルグループとして銀行と連携したサービスに取り組むことでも、独自性を発揮することができると思います。NISAをきっかけに、より多くの方々にSMBC日興証券のサービスをご利用いただきたいと思います。(編集担当:徳永浩)
SMBC日興証券では、NISAの取り扱いに際し、三井住友銀行との連携を強化する一方、同社独自の金額・株数指定取引「キンカブ」の店頭取扱を開始するなど独自サービスの利用も呼びかけている。(写真は、SMBC日興証券の中田太治氏。サーチナ撮影)
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2014-03-06 09:45