【鈴木雅光の投信Now】騰落率のランキングはあてにならない
雑誌や専門サイトなどでよく見かける、投資信託の運用成績ランキング。過去1年、あるいは3年など、一定期間中における基準価額の騰落率が高かったものからランキングしているのが一般的だ。投資信託を選ぶ際、この手のデータを参考にしている人も少なくないだろう。
確かに、投資信託は預貯金と違い、元本はもちろんのこと、リターンも保証されていない。運用成績は、あくまでも投資先であるマーケットの状況次第だ。そして、運用されているファンドの本数は4000本を優に越えている。
その中から1本のファンドを選ぶ場合、何を判断基準にしたら良いのか迷う人も少なくない。そういう人にとって過去の運用成績は、ファンドを選ぶ際の判断基準として、極めて有効な投資情報のように思えるのも無理はないだろう。
ただし、それは投資信託の運用成績が、再現性のあるものであればという前提の話だ。
1月末時点における過去1年間騰落率ランキングを調べると、最も高い運用実績を上げたのは、シンプレクス・アセット・マネジメントが設定・運用している「JASDAQ-TOP20上場投信」で、年間の上昇率は193.88%にも達した。1年間で投資元本が約3倍になったということだ。
しかし、このファンドが、来年の1月末まで、また同じリターンを出せる保証はどこにもない。もし、ここから株価が大きく下落するようなことになれば、新興企業の株価はボラティリティが高いだけに、更に大きく下落するリスクも考えられる。今年1月末はトップの運用成績でも、来年1月末には最下位のランキングになっているかも知れない。投資信託の運用成績とはそういうものなのだ。したがって、現時点のランキングは、ファンド選びに何の役にも立たないと認識するべきだろう。
ただ、過去の基準価額は見た方が良い。それは運用成績の良し悪しを知るというよりも、リスク度を把握するためだ。基準価額が高値をつけた後、安値に落ちるまでの価格差が、そのファンドの持つリスク度と考えられる。「最大、それだけの損が出るかも知れないファンドを買うのはどうなのか」という観点で用いるのだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
雑誌や専門サイトなどでよく見かける、投資信託の運用成績ランキング。過去1年、あるいは3年など、一定期間中における基準価額の騰落率が高かったものからランキングしているのが一般的だ。投資信託を選ぶ際、この手のデータを参考にしている人も少なくないだろう。
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2014-03-06 10:30