【為替本日の注目点】FRB緩和縮小決定でドル円急騰、円安と日米株高ドル買い継続
NY市場
FOMCで「緩和縮小」が決定されたことでドル円は急騰。長期金利の上昇と株高が好感され、ドル円は約5年振りに104円台まで上昇。この日の高値で引ける。
ユーロドルは1.38台までユーロが買われる場面があったが、FOMCの決定を受け1.36台後半までドル高ユーロ安が進む。
株式市場は急騰。「緩和縮小」が決定された直後は下落したものの、バーナンキ議長の会見に併せて反発。ダウはこの日の高値引けで、前日比292ドル高と3週間ぶりに史上最高値を更新。
債券相場は反落。それでも「緩和縮小」が決定された割には堅調に推移。長期金利は2.88%台まで上昇。金、原油はともに反発。
米 9月住宅着工件数 → 87.3万件
米 10月住宅着工件数 → 88.9万件
米 11月住宅着工件数 → 109.1万件
米 11月建設許可件数 → 100.7万件
ドル/円 102.75 ~104.03
ユーロ/ドル 1.3674 ~ 1.3812
ユーロ/円 141.30 ~ 142.90
NYダウ +292.71 → 16,167.97ドル
GOLD +4,90 → 1,235.00ドル
WTI +0.58 → 97.80ドル
米10年国債 +0.046 → 2.885%
本日の注目イベント
日 10月景気動向指数(改定値)
欧 EU首脳会議(ブリュッセル)
英 英11月小売売上高
米 新規失業保険申請件数
米 11月景気先行指標総合指数
米 12月フィラデルフィア連銀景況指数
米 11月中古住宅販売件数
今回のFOMCで「緩和縮小」の可能性ついて、市場の予想は「五分五分」でしたが、個人的には「今回は見送られる可能性が高い」と予想していただけに、私にとっては「ややサプライズ」でした。ただ、同時に「緩和縮小は時間の問題」との認識も持っていましたが、むしろNY株式市場の反応の方がサプライズでした。
朝方4時ちょうどに「資産購入縮小」が決定され、直後は株安ドル高が進み、ドル円は103円60-70銭あたりまで一気に上昇し、その後103円前半まで下落するなど神経質な展開でしたが、NYダウが上昇に転じると、合わせるようにドル高が進み、5時半過ぎには104円台に乗せ、年初来高値を軽々と更新しました。結局NYダウは引け際に一段と上昇し、前日比292ドル高の1万6167ドルで引け、こちらも11月27日に記録した史上最高値を約3週間ぶりに大きく更新しています。
「緩和縮小」が決定された場合には、「株安債券安」は既定路線と見られていましたが、その後のバーナンキ議長の会見では今後の金融政策の柔軟性が好感され、同時に縮小規模も「小ぶり」だったこともあり、株高が進んだと思われます。終わって見れば「株高」によるドル高円安と、債券安から米金利上昇によるドル高円安が、ドル円を一気に104円台まで押し上げた原動力になったようです。
今回決定された内容は、1月から債券購入額を現行の毎月850億ドル(国債450億ドル、MBS400億ドル)から750億ドルに減額するというものです。内訳は国債とMBSをそれぞれ50億ドル減額し、国債を400億ドル、MBSを350億ドル購入します。市場は、引き続き大量の資金が流入するという見立てで株を買い上げた模様です。
バーナンキ議長は4時半からの会見で、「景気が失望を誘うほど悪化すれば緩和縮小を取りやめ、経済指標がさらに力強くなれば、縮小ペースを速める可能性もある」との見解を示しました。また、2014年を通じて似たような小幅な措置を予想しており、イエレン副議長は「この日の決定事項を完全に支持」したことにも言及しています。全体的に見れば、議長会見は今後の景気次第で「緩和縮小」を加速することも、あるいは停止することもあり得るという、非常に柔軟な姿勢を見せることで、市場、特に債券市場に安心感を与えた格好になりました。
さてこれで約5年間にわたって行われてきた「量的緩和」が、いよいよ「出口」に向かって動き出したわけですが、根底には、FRBが米景気の持続的成長が予想できるほどリーマンショックからの回復に手ごたえを感じていることが挙げられます。一方で日本では今後も日銀による「追加緩和」の可能性が非常に高く、来年4月からの消費税増税後の景気悪化を回避するため、日銀がさらなる緩和策を講じるとの見方が一般的です。
そのため、「出口戦略を語ることは時期尚早」と、黒田日銀総裁自身が口にしています。米国債は緩やかに下落し、米長期金利が緩やかに上昇していく一方、日銀による大量の国債購入で、日本の長期金利は低位で安定しそうです。その結果日米金利差が拡大し、ドル高円安が進みやすい状況が続くと予想されます。
すでに早朝には104円37銭までドル高円安が進みました。ここまで来ると、目標は105円の節目です。テクニカル的には特段重要なレジスタンスではありませんが、「心理的な節目」にはなろうかと思われます。短期的な「1時間足」ではストキャスが「80」を大きく超えており、やや過熱感が見られますが、「日足」ではまだ「59」前後で過熱感は見られません。NY市場での円安と株高を受け、今日の日経平均株価も大幅な上昇が予想されます。株価の上昇に合わせて、ドル円がどこまで上昇するのかが焦点ですが、105円を超えることがあれば、それは短期的には買われ過ぎと考えています。予想レンジは103円~105円程度にセットしたいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
FOMCで「緩和縮小」が決定されたことでドル円は急騰。長期金利の上昇と株高が好感され、ドル円は約5年振りに104円台まで上昇。この日の高値で引ける。
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2013-12-19 09:30