サムコは今期配当予想の増額修正を評価して1月高値試す
半導体製造装置のサムコ <6387> の株価は、過熱感が解消して短期調整一巡感を強めている。3月11日に発表した今期配当予想の増額修正も評価して1月高値を試す展開だろう。
1979年設立(サムコインターナショナル研究所、2004年に現社名に変更)で、半導体・電子部品製造業界向けに、薄膜を形成するCVD(化学気相成長)装置、薄膜を微細加工するドライエッチング装置、基板表面をクリーニングするドライ洗浄装置などの製造・販売事業を展開している。特に、次世代半導体材料である窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)など化合物半導体製造用を主力製品としている。
研究開発については当社研究開発センター(京都本社)、オプトフィルムス研究所(米国シリコンバレー)、サムコケンブリッジラボラトリー(英国ケンブリッジ大学内)の日米欧3極体制を構築しており、コアテクノロジーである「薄膜技術」をベースとしてCVD装置、エッチング装置、洗浄装置に次いで第4の柱となる新製品の開発を進めている。
2月14日には、半導体精密洗浄装置を製造・販売するリヒテンシュタイン公国UCP社の株式90%取得に合意した(14年4月末に株式譲渡契約締結予定)と発表している。当社のプラズマ洗浄装置などとのシナジー効果が期待でき、当社のCVD装置・エッチング装置などの欧州市場での販売網・サービス拠点とする方針だ。
3月11日発表の今期(14年7月期)第2四半期累計(8月~1月)業績(非連結)は前年同期比12.6%増収、同3.3倍営業増益、同20.0%経常減益、同14.8%最終減益だった。経常利益と純利益は、営業外収益での為替差益の減少、営業外費用での株式上場費用の計上などが影響して減益だったが、増収効果で営業損益が大幅に改善した。
国内売上高は15億11百万円で同24.2%増収だった。オプトエレクトロニクス分野の高輝度LED用途の大型機、電子部品分野のパワーデバイスやMEMS(微小電気機械素子)用途が好調だった。輸出は生産機の需要回復が鈍く、売上高が5億20百万円で同11.4%減収だった。
通期の見通しは前回予想(9月10日公表)を据え置いて、売上高が前期比20.2%増の50億50百万円、営業利益が同82.6%増の6億25百万円、経常利益が同9.0%増の6億15百万円、純利益が同7.2%増の3億80百万円としている。オプトエレクトロニクス分野で国内の高輝度LED用途や海外の照明用LED用途など、CVD装置やエッチング装置の大型案件が寄与して増収増益見込みだ。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率はやや低水準だが、第2四半期末(14年1月末)時点の受注残高は前期末(13年7月末)比24.8%増の12億59百万円と高水準である。また中国LED市場の復調などで受注環境が好転しているようだ。営業強化の効果も寄与して通期計画の達成は可能だろう。
なお3月11日には今期配当予想の増額修正も発表した。東証1部上場記念配当3円を増額して、年間18円(期末一括)の予定とした。東証2部上場記念配当3円を含めて年間18円だった前期と同額となる。
株価の動き(13年7月24日付でJASDAQ市場から東証2部市場に市場変更、14年1月9日付で東証2部市場から東証1部市場に指定替え)を見ると、900円台のフシを突破して1月高値1525円まで急伸し、2月上旬の全般地合い悪化の影響による短期調整から切り返して2月27日に1520円まで上伸した。足元は目先的な過熱感を強めて上げ一服の形となり1200円台で推移しているが、今期好業績を評価する流れに変化はないだろう。
3月11日の終値1256円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS54円02銭で算出)は23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.4%近辺、実績PBR(前期実績のBPS972円02銭で算出)は1.3倍近辺である。週足チャートで見ると1500円台の高値圏で上ヒゲを付けたが、強基調を維持している。サポートラインの13週移動平均線が接近して過熱感が解消し、動意のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
半導体製造装置のサムコ<6387>(東1)の株価は、過熱感が解消して短期調整一巡感を強めている。3月11日に発表した今期配当予想の増額修正も評価して1月高値を試す展開だろう。
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2014-03-12 09:15