2014年の世界不動産は「買い」、市場個々のリスクで選別を=C&W

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W、米国・ニューヨーク)は、米国や西ヨーロッパが投資活動を牽引し、2014年の世界の不動産投資総額は前年比13%増加して1兆3300億米ドルに達し、2007年の投資総額を超えると予想している。2014年3月12日に世界の不動産投資に関する最新の年次レポート「International Investment Atlas 2014」を公表して明らかにした。(写真は、C&Wによる世界の地域別年間投資額の推移と見通し)  レポートによれば、2013年の世界の不動産投資総額は前年比22.6%増加して1兆1800億米ドルだった。  2013年の不動産投資は総じて上昇傾向だったが、内容は各地域により様々。アジア太平洋地域では、中国・日本・オーストラリアが地域の成長を牽引する一方、台湾・インド・韓国・香港・タイでは減少。ヨーロッパ中東アフリカ地域は、英国・ドイツ・イタリア・スペイン・オランダ・ベルギー・アラブ首長国連邦・イスラエル・南アフリカが力強い成長を見せた一方、フランス・スウェーデン・ポーランドは前年並み、ノルウェー・スイス・デンマークは下落した。  米州地域(南北アメリカ大陸)は2009年以来初めて世界の成長を牽引する役割を果たすことができなかった。それでも米国は極めて力強い増加を示し、メキシコも大幅に好転、カナダも安定していた。対照的にブラジルは減少し、アルゼンチンなど規模の小さい多くの米州地域市場でもマイナスだった。  クロスボーダー投資では、アジアの投資家は地域外への投資を前年比88%増加させ、中東の投資家はさらにそれを凌駕する96%の増加だった。一方、北米の投資家の米州地域外への投資は23%増にとどまり、ヨーロッパの投資家の域外投資は実質的に横ばいだった。  クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドは、2014年の見通しとして、アジア太平洋市場への投資は前年比7-8%増加、ヨーロッパは同12-13%増加、北米は20%増加すると予想している。  クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・ヨーロッパ中東アフリカ投資戦略責任者のデイビッド・ハッチングス氏は、「相対的なプライシング、リスク、そして将来的な成長に基づけば不動産は“買い”です。しかし、すべての不動産が等しいわけではありません。改革・革新を進め、生産性を高めている国もあれば、もともと競争力を備え、魅力的な都市もあります。市場は個々の強みによってより特徴付けられ、分岐し、真の勝者と敗者とに選別されるでしょう。  中東から南シナ海に至るまで地政学的な緊張が引き続き不確実性を生み出していくでしょう。最近のウクライナ情勢がこれに加わりました。これが市場に与える影響を測るのは尚早ですが、少なくとも一般的にクロスボーダー取引のリスク、とりわけ新興国市場への投資に内在するリスクを思い起こします。したがって、投資家は自らの投資先の範囲を広げていることから、市場ごとの実際の個々のリスクに焦点をあてて見極める必要があります」と語っている。  クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は1917年ニューヨークで創業した、非上場企業としては世界最大の総合不動産サービス会社。全世界約60カ国におよそ250の拠点、1万6000名以上のプロフェッショナルを配置している。(編集担当:八木大洋)
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は、米国や西ヨーロッパが投資活動を牽引し、2014年の世界の不動産投資総額は前年比13%増加して1兆3300億米ドルに達すると予想している。(写真は、C&Wによる世界の地域別年間投資額の推移と見通しのグラフ)
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2014-03-12 10:00