カンデオホテルズ、日本旅行の宿泊先として海外からの利用が急拡大

 ワンランク上のビジネスホテルとしての利用が中心だった宿泊特化型ホテルの「カンデオホテルズ」に、海外から日本旅行の宿泊先として指名されることが急拡大しているという。2020年の東京オリンピックを控え、日本の観光資源が改めて脚光を浴びていることも追い風に、通常のビジネスユースに加えて観光利用も増えた結果、ホテル稼働率が急上昇している。国内11のカンデオホテルズを展開するカンデオ・ホスピタリティ・マネジメント取締役の中村彰徳氏に聞いた。(写真撮影:サーチナ) ――カンデオホテルズでは、海外からの旅行者の利用が増えているということですが?  アジア圏からの訪日利用者数は前年比150%、ヨーロッパからのお客さまは500%を超えるほど利用者数が拡大しています。 現在、日本のホテル稼働率は高まり、2020年の東京オリンピックに向けて高い稼働が期待されているのですが、日本の人口が将来的に減少していくことを考えると、将来にわたる企業成長のため、海外でのブランド力の向上が必要であると考えています。このため、当社では4年ほど前から海外の旅行エージェントに対して、日本旅行の際の宿泊先として、カンデオホテルズを利用していただくように働きかけを続けてきました。その結果が、近年の利用者増に結びついています。  海外に営業を始めた当初は、団体パッケージ旅行の取り込みに注力していたのですが、一昨年あたりから個人旅行での利用が目立って増えてきています。現在では、アジア圏も「FIT(海外個人旅行)」といわれる、パッケージツアーに頼らない自由な個人旅行が増えてきています。アジアから日本に旅行されるお客さまは、1回目の日本旅行をパッケージツアーで経験され、2度目はFITを選択されるようです。ヨーロッパからのお客さまは、ほとんどがFITによるものです。 ――カンデオホテルズは、ワンランク上のビジネスホテルというか、宴会や婚礼などの利用も多いシティホテルに対して宿泊特化型ホテルといわれる業態ですが、旅行の宿泊先として利用が伸びている理由は?  宿泊特化型ホテルを旅行で利用するというのは、海外からのお客さまだけではなく、国内旅行のお客さまにも広がっています。 FITに代表されるような最近の旅行の傾向は、旅館に宿泊することの他に、地域の観光スポット、ショッピングや食事なども含め、多様な楽しみを求められ、ホテルに宿泊することは、その楽しみのうちの1つという位置づけになっています。昔ながらの有名旅館に宿泊されていても、夕食はホテルとは別のレストランで食べるという方も珍しくなくなっています。  旅行については、充実した情報サイトなどもあり、交通チケットや宿泊するホテルの手配、観光ルートの設定まで、ご自身で簡単にできるようになっています。そこでは、ホテルは旅行の拠点となり、くつろげる空間としての機能が求められます。カンデオホテルズでは「3B」(ベッド、お風呂、朝食)の充実を掲げて経営してきましたので、旅行で利用されるようになるのは自然な流れでした。 ――海外の旅行者向けの取り組みで目立った成功事例は?  カンデオホテルズ千葉で、成田空港からレンタカーを使って千葉県内を観光し、カンデオホテルズ千葉(千葉市中央区)に宿泊していただき、翌日もレンタカーで観光することを提案しています。 カンデオホテルズ千葉は、6F部分にグループ最大規模の展望露天風呂があり、朝食は最上階のスカイビューラウンジで召し上がっていただくので、景色が良いと評判のホテルでしたが、2013年8月にレンタカーとの組み合わせプランの提案を始めたところ、半年程度で海外から十数人の方からお申し込みがあり、手応えを感じています。  千葉県は、沿岸部には鉄道で移動できますが、内陸部にも観光スポットが多く、レンタカー旅行の需要が強い地域です。また、レンタカーを使えば、東京までのアクセスも楽になります。レンタカーを利用した海外旅行は、若い世代を中心に増えていますので、東京という大きな観光スポットに隣接しているという千葉のメリットを最大限に引き出せると考えました。  また、ホテルの公式ホームページにも地域の観光スポットやイベントの情報を大きく取り上げるような取り組みを進めています。従来は、客室やスパの写真などホテルの設備や、朝食の充実した内容など、ホテルそのものの魅力を伝える内容が中心でしたが、旅行で利用いただく方々にも参考になる周辺情報の充実を進めています。 ――海外への提案は、どのような手段で行っているのですか?  アジア圏では各国の主要な旅行会社に対して訪問営業を進めてきました。すでに各国でトップ3の旅行エージェントには常設窓口を設けて情報交換し、その他20社程度の旅行会社とお付き合いができています。アジアの旅行会社からは、ホテルの内容だけではなく、ホテルを拠点とした具体的な観光プランの提案を求められることが増えています。  日本へ個人旅行を考える海外のお客さまは、「東京」「京都」などの名所はわかっていても、「千葉」や「福岡」などになると知識がありません。このため、旅行会社が日本への個人旅行を提案する上で、参考になる情報の提供が求められています。そのような中で、レンタカーを使った千葉県観光というアイデアも提案しました。  また、訪日外国人の旅行情報SNSとして話題の「Japankuru」を使って、アジアやヨーロッパの現地の方々と直接コミュニケーションする方法も活用しています。旅行会社から現地の方々への情報提供に加え、個人向けに直接情報提供を行うという両面で情報を提供していくことが大事だと思っています。 ――これからの展開は?  日本国内では、福岡・天神や愛媛・松山などへの新規オープンも控え、海外でも開業に携わったベトナム・ハノイの案件に続くホテルの開発を検討しています。海外から日本、日本から海外へと相互に連携を進めることで、ホテル全体のブランド力を高めたいと思っています。  すでにカンデオホテルズ上野公園に宿泊のお客さまの半分は海外のお客さまという状況です。中には、海外のお客さまの宿泊を控え、日本人だけで落ち着いて泊まりたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、多種多様なお客さまに、等しく寛いでいただける心地よいサービスを提供する力を得ることが、ホテルとしての実力になると考えます。実際に、カンデオホテルズ上野公園では、国内のビジネスユースのお客さまからも、また、旅行の宿泊先としてご利用いただいたお客さまからも、高い評価をいただいています。  「カンデオ」とは、ラテン語で「光」を意味する言葉で、お客さまに「活き活きと、より光り輝いていただくために」ということを、サービスの基本姿勢にしています。ホテルを利用していただく全ての方に、心からリラックスしていただけるよう、「3B」を磨き、ホテルに泊まる楽しみを提案していきたいと思います。(編集担当:徳永浩)
ワンランク上のビジネスホテルとしての利用が中心だった宿泊特化型ホテルの「カンデオホテルズ」に、海外から日本旅行の宿泊先として指名されることが急拡大しているという。国内11のカンデオホテルズを展開するカンデオ・ホスピタリティ・マネジメント取締役の中村彰徳氏に聞いた。(写真撮影:サーチナ)
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2014-03-12 15:45