みずほグループ、NISAで銀行と証券の連携が一段と進展

 みずほフィナンシャルグループは、NISA(少額投資非課税制度)の普及・拡大に向け、グループの中核であるみずほ銀行とみずほ証券が互いに連携を深め、金融サービスのワンストップサービスの提供で効果をあげている。共同でのセミナー開催や、共通商品「i-mizuhoインデックスシリーズ」の提供など、NISA向けにグループとしての取り組みを強化している。NISAについて、みずほ証券国内営業統括部システム・制度対応室ディレクターの大野雄一氏(写真:左)と、みずほ銀行コンサルティング営業開発部運用商品開発室調査役の安達星彦氏(写真:右)に聞いた。 ――NISA口座の取り扱い状況は? 大野 みずほグループとして約50万件の口座開設のお申し込みを受け付けています。うち、みずほ証券では、開設いただいた口座の10%程度が稼働している状況です。  NISA口座での注文は株式の買付が多くなっており、配当利回りの高い株式が人気です。NISA口座では、中長期に投資した銘柄を保有し、継続的に配当金を受け取ることを前提に、非課税メリットを有効活用しようという考え方で投資なさっている方が多いようです。  現在のお申し込みは、既存のお客さまが中心です。100万円の投資枠を一括でご利用なさるお客さまが多いので、NISA口座の平均利用金額は80万円程度になっています。これまでのところNISA口座での買付は株式が中心となっていますが、投資信託の買付も増えてきております。  みずほ証券では主な投資対象資産の代表的なファンドから、中長期の資産形成に適したもの、初心者にも分かり易いものを「おすすめファンド」としてラインアップし、本年12月まで購入時手数料を全額キャッシュバックしております(ノーロードファンドの購入を除く)。 ■インターネット専用で銀行・証券共通の「i-mizuho」 安達 みずほ銀行でも、投資経験のあるお客さまからのNISA口座開設のお申し込みがやや先行しているものの、4割弱は投資経験のないお客さまとなっており、投資初心者のお客さまからも多数お申し込み頂いております。現状では、みずほ証券と同様に、100万円を一括でご利用なさるお客さまが多いので、NISA口座の平均利用金額は80万円程度になっています。  投資商品については、従来から人気のある商品の他、「NISA向けファンドラインアップ」でご紹介した銘柄にも多くの注文を受けています。「非課税期間5年間」「非課税枠の再利用不可」「他の口座との損益通算不可」というNISA口座の特徴を考え、年1回・年2回などの「低頻度分配」、投資対象の資産配分を市場環境に応じてファンド内で見直す運用をする「アロケーションファンド」、安定的なリターンをめざす「低リスクファンド」などをご提案しています。「アロケーションファンド」「低リスクファンド」などは、一般口座と比較するとNISAでの利用頻度は高くなっています。  また、シンプルで分かりやすく、低コストの商品としてインターネット専用投信「i-mizuhoインデックスシリーズ」22ファンドを銀行・証券の共通商品として提供しています。「債券」「株式」「リート(不動産投資信託)」「コモディティ(商品)」など、幅広い資産クラスについて、国内、先進国、新興国といった地域別にも広く投資ができます。全て購入時手数料がゼロのノーロードファンドで、保有中にかかるコスト(信託報酬)も低く抑えた商品です。 ■銀行支店ロビー内に証券ブース「プラネットブース」が166カ所(2014年4月28日時点) ――みずほグループとしてNISAへの取り組みの特徴は? 大野 銀行と証券が一体となったサービスを展開しています。みずほ銀行の支店のロビー内に、みずほ証券が「プラネットブース」という営業所を開設し、銀行のお客さまでもNISAを通じて株式のお取引をしてみたいと考える方には、お客さまの同意をいただいた上で、「プラネットブース」に移動していただき、みずほ証券が株式の投資相談を受けさせていただいています。「プラネットブース」は、この4月28日に166カ所目がオープンする予定で、フルラインの証券サービスを提供しています。  また、プラネットブースがない銀行の支店には、みずほ証券の連携店が必ずあり、株式投資に関するご相談は、みずほ銀行のどの店舗でも、みずほ証券が連携してサービスできる体制にあります。このような銀行と証券の連携サービスは、2003年以来の歴史があり、NISAの開始によって、ワンストップであらゆる金融サービスをご提供できるという、みずほグループのサービス力を実感していただけると思います。 安達 みずほ銀行では、NISA口座で「NISA向けファンドラインアップ」から投信を購入されたお客さまに約定金額の1%相当額をキャッシュバックしています(ノーロードファンドの購入を除く)。また、NISA口座を開設していただいたお客さまには、「みずほマイレージクラブ」(入会金・年会費は無料)の特典として、みずほ銀行のATM時間外手数料が無料、コンビニATMの手数料が月4回まで無料などの特典が受けられます。また、申し込みに必要な住民票の取得が煩わしいと感じるお客さま向けに、委任状により住民票を代行取得するサービスを無料で提供しております。 ■NISA口座の開設で銀行の定期預金金利も優遇  さらに、投信のお申し込みと同時に円定期預金(3カ月もの)をお申込みいただくと、定期預金金利を優遇するという「みずほマネープランセット」についても、NISA口座をお申込み後は、さらに有利な金利(1.0%上乗せ、最大6.0%)を提供しております。また、「退職金定期預金特別金利プラン」についても金利を優遇するなど、NISA口座のお申込みによって、預金金利を優遇するプランも提供しております。 ――NISAの制度に関する改善要望は? 大野 お客さまから強いのは、制度の恒久化を求める声です。また、売却した枠が再利用できるようにしてほしいという点、そして、住民票を提出するなど面倒な手続きを簡素化してほしいという声もよく耳にします。 安達 銀行のお客さまの要望も似ています。制度の恒久化、そして、口座開設手続きの簡素化。また、口座を一度開設してしまうと、4年間は移動ができないということについての不満の声もありましたが、口座の移転については1年ごとに変更が可能になるようですので、その点は良かったと思っています。 ――今後のNISAへの取り組みは? 大野 NISAについては、セミナー等を通じて非常に関心が高いと感じています。今後、この関心の高さを証券投資への興味へとつなげていく取り組みをすすめたいと思います。証券会社のお客さまは、60歳以上の資産運用層が中心なのですが、NISAは世代を超えて関心が高いので、これまで証券会社との取引機会が少なかった資産形成層(現役の就労世代)にも証券投資を呼びかけていきたいと思います。 安達 銀行には働いている世代との接点も多く、例えば、職域でのセミナーもNISAに関して800回ほど実施してきています。その他、支店で開催するセミナーと合わせて1000回を超えるNISA関連セミナーを開催してきましたが、その多くがみずほ証券との共同開催となっています。  NISAで新たに投資信託口座を開設して頂いたお客さまの4分の3が60歳未満となっており、NISAは現役世代が「投資を考えるきっかけ」になっています。NISAを通じて新しく投資を始めようと考えるお客さまに、「投資とは?」ということについて、わかりやすく伝えていく努力を継続していきたいと思っています。  NISAが始まった1月以降には、NISA口座を使って新規に投資を始めるというお客さまも着実に増えています。それほどインパクトがある制度だと思いますので、これが当たり前にある制度として根付くよう、地道な取り組みを続けていきます。(編集担当:徳永浩)
みずほフィナンシャルグループは、NISAの普及・拡大に向け、グループの中核であるみずほ銀行とみずほ証券が互いに連携を深め、金融サービスのワンストップサービスの提供で効果をあげている。(写真は、みずほ証券の大野雄一氏<左>と、みずほ銀行の安達星彦氏。サーチナ撮影)
japan,economic
2014-03-14 09:15