銘柄選定の力で実績示した三菱UF投信とフィデリティ投信の株式投信

 モーニングスターが2014年3月15日に開催した「MORNINGSTAR AWARD受賞記念セミナー」で、三菱UFJ投信の株式運用部長、筋野裕二氏(写真:左)は日本株の見通しについて「日本株の上昇はまだ若い段階で、中長期にスケールの大きな相場が展開されるだろう」と見通した。また、フィデリティ投信の商品マーケティング部長、太田創氏(写真:右)は「欧州市場は景気のプラス成長への転換期を迎え、中小型株への成長期待が高まっている」と語った。  同セミナーは、モーニングスターがファンド オブ ザ イヤー 2013の最優秀ファンド賞を受賞したファンドの運用会社が集まり、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏をモデレーターに、受賞ファンドについて投資環境と運用戦略について語り合った。  三菱UFJ投信は国内株式型部門で最優秀ファンド賞を受賞した「優良日本株ファンド『愛称:ちから株』」の運用環境について、株式運用部長の筋野氏が日本株式市場の見通しを語った。筋野氏は、「幅広い業種で賃上げが実施され、設備投資も拡大する方向にあり、日本経済が景気拡大の好循環に入ってきたと考えられる。その中にあって、リーマンショック以来の6重苦への対応を通じた構造改革、円安による輸出競争力の回復、国内景気の改善、アジアでの個人消費の拡大など、日本企業の業績を引き上げる要素が揃ってきた。徐々に、この業績の拡大を評価する業績相場へと転換し、株価の上昇が期待される」と語り、2013年のような全面高から選別物色が強い日本株相場になっていくと見通した。  そのような中で、「優良日本株ファンド」は、「業界シェア」「財務の健全性」「株主還元」を切り口に優良銘柄を選別し、PERやPBRなどで割安な銘柄に厳選して投資していると、ファンドの特性を語った。また、朝倉氏からファンドのシャープレシオが優れた成績を残しているという指摘を受けると、「投資銘柄を厳選しつつ、組み入れ銘柄の業種分散を図るなど、バランスの良いポートフォリオを心がけ、基準価額のブレを抑えている」と解説した。  そして、「これからの業績相場においては、銘柄選択の力がファンドのリターンの差になってくる。“銘柄選択のちから”を特徴とする優良日本株ファンドの実力が発揮される局面」とファンドへの注目を促した。  フィデリティ投信は、最優秀ファンド賞(国際株式型部門)を受賞した「フィデリティ・欧州中小型株・オープン Bコース(為替ヘッジなし)」について、商品マーケティング部長の太田氏が「欧州中小型企業は、大型株を上回る利益成長を続けており、株価も大型株よりも中小型株がより上昇する傾向が強い」と語った。また、欧州の経済圏は、人口が5億人(米国:3.5億人、日本:1.2億人)、GDPが1800兆円(米:1600兆円、日:500兆円)など大きな市場であり、EU加盟国も拡大途上にあると、経済圏として成長余力が大きいことを強調した。そして、欧州企業は、今後3年間で年率22%程度のEPS成長が期待され、日本や米国の11%成長を上回ると、今後の見通しを述べた。  「フィデリティ・欧州中小型株・オープン」は、フィデリティの欧州の約200人の専門家による運用チームが、ボトムアップアプローチによって成長期待の大きな企業をピックアップして運用に活かしている。日本のファンドの中では、欧州の株式に投資するファンドそのものが少ない中で、1996年から18年にわたって運用を継続してきている実績に注目してほしいと語っていた。  モーニングスターの朝倉氏は、両ファンドの特徴について、「中小型株の選定において、インデックスとは異なるポートフォリオを作っている」と高く評価。「インデックスファンドと組み合わせても投資する価値があるアクティブファンド」と語っていた。(編集担当:徳永浩)
モーニングスターが2014年3月15日に開催した「MORNINGSTAR AWARD受賞記念セミナー」で、三菱UFJ投信の筋野裕二氏(写真:左)と、フィデリティ投信の太田創氏(写真:右)が、受賞ファンドについて投資環境と運用戦略について語り合った。(写真は、サーチナ撮影)
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2014-03-15 21:15