<澤上篤人の長期投資学>いつも10年ぐらい先まで見すえて
猫が獲物を狙っている時など、ものすごい集中力で前方を見つめている。ところが、お尻やシッポ部分は無防備もいいところ。ちょっと蹴とばしてやると、もう獲物どころではない。あわれ猫は一目散に逃げていく。
多くの人々は、この猫とよく似た投資をしている。目先の相場を追いかけるに汲々するあまり、足元が大きく崩れる想定などまったくしていない。足元が大きく崩れたら、せっせと積み上げてきた目先追い投資の評価益も、どんなヘッジ手段も瞬時に吹っ飛ぶ。そして、うんざりするほどの評価損を抱え込むことになるというのに。そういった足元の崩れを、10年ぐらい先まで読み込んで、君子危うきに近寄らずを徹底させる。その上で、堂々たる長期投資に臨む。それが本物の財産づくりというもの。
たとえば、さわかみファンドの運用では当分の間、国債を保有することはないだろうね。なぜなら、国債は世界的にみても、大量発行されているのに価格は天井圏に張りついたままのバブル症状をきたしているからだ。いつか国債の値崩れがはじまるのだろう。債券相場は一度崩れると、一方通行的な下げを演じる。売るに売れない投資勘定を抱えて評価損に苦しむのは、まっぴらごめんである。それだけのこと。
同じ視点で、金利上昇局面での金融マーケットや経済現場の混乱にも巻き込まれたくはない。金利上昇で困る企業の株価は相当に売られるだろうが、いまのうちから保有を外しておけば済む話。そう、ここから10年ぐらいの間に起り得る投資リスクを徹底的に排除するのだ。逆に、よく「それは、10年やそこら先の夢物語よ」といわれる話には、思い切り前向きで乗っていこう。
ビジネスの世界では激しい競争で勝ち残っていくため、ものすごい創意工夫と積極果敢な挑戦が重ねられる。10年ぐらい先といわれているものの多くが、意外と前倒しで実用化されたりする。株価はもともと先行性が高いから、さらに早い段階から評価しはじめる。
すなわち、10年ぐらい先の夢物語は早め早めで投資対象に組み込んでいって、ちょうどピッタリと考えてよい。先の夢をどんどん買っていくのだ。多くの投資家が将来の夢物語といって笑っているぐらいだから、株価にはまったく織り込まれていない。安値でたっぷりと買い仕込みできる。(情報提供:さわかみ投信代表・澤上篤人 2014年2月20日記)
猫が獲物を狙っている時など、ものすごい集中力で前方を見つめている。ところが、お尻やシッポ部分は無防備もいいところ。ちょっと蹴とばしてやると、もう獲物どころではない。あわれ猫は一目散に逃げていく。
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2014-03-17 09:15