【為替本日の注目点】株価上昇の割にはドル円の上値が重い

ドル円は118円台が重く、FOMC議事録公表後は金利が低下したこともあり117円05銭までドル売りが進む。ユーロドルは12月のCPIが予想を上回ったことから買いが優勢となり1.0500まで上昇。株式市場は続伸。FOMC議事録がややハト派寄りと捉えられ、自動車や銀行株などが買われた。ダウは60ドル上昇し1万9900ドル台を回復。債券相場はほぼ変わらず。相場は上下したものの、結局前日比やや上昇して引ける。金と原油は共に上昇。
ドル/円117.05 ~ 117.74
ユーロ/ドル1.0428 ~ 1.0500
ユーロ/円122.50 ~ 123.12
NYダウ +60.40 → 19,942.16ドル
GOLD +3.30 →1,165.30ドル
WTI +0.93 → 53.26ドル
米10年国債 -0.005 → 2.439%
本日の注目イベント
日 12月マネタリーベース
欧 ユーロ圏11月生産者物価指数
米 新規失業保険申請件数
米 12月ADP雇用者数
米 12月ISM非製造業景況指数
昨日の東証「大発会」では、日経平均株価が480円ほど上昇して取引を終えています。米中で景気拡大が鮮明になったことを好感し、日本株にも先高を見越した海外からの買いが入ったとのコメントがありましたが、昨年の「大発会」とは大きく異なります。これもトランプ効果なのでしょうか。
NY市場でもダウは60ドル上昇し、2万ドルの大台達成はお預けですが続伸しています。全体的に見れば昨年11月からのトランプラリーがまだ継続していると見ていいと思いますが、そのトランプ氏は、来週11日にNYで記者会見を行うと発表しています。20日の就任式を前に、政策の大筋が見てくるかもしれません。大方の主要閣僚が決まり、昨日は新しい駐日大使も決まりました。これまではツイッターでしか持論を伝えていませんでしたが、今回の記者会見でどのような言葉を発するのか注目されます。
ドル円は東京と欧州市場で118円台には乗せましたが、上値は限定的でNY市場では終始117円台で取引され、米金利の低下を材料に117円近辺まで売られる場面もありました。株価の上昇の割には上昇が続かないとの印象が残ります。
昨年12月13-14に行われたFOMC議事録が公開されました。それによると、トランプ新大統領の大規模なインフラ投資を意識してか、「今後数年の財政政策が拡大方向に動くと見込まれることから、自身の経済成長予測に対する上振れリスクが高まった」とメンバーのほぼ全員が示唆したとあります。ただそれでも、今後数年は「緩やかな」ペースの利上げが適切との見方を維持していました。(ブルームバーグ)全体的に見れば、やや「ハト派」といった印象です。12月のFOMCでは1年ぶりとなる利上げを決めた会合でした。もう少し「タカ派的な」議論が交わされたと予想していましたが、トランプ氏の政策に対するリスクの部分も含まれている結果と思われます。
依然として118円台半ばから上が重い展開です。全ては11日あるいは20日の就任式がきっかけとなって、どちらかに跳ねるのではないかと予想されますが、120円方向に向う可能性が上回っていると見ています。今年は昨年同様、あるいは昨年以上に相場が乱高下するのではないかと予想しています。キーワードはもちろん「トランプ新大統領の言動」です。トランプ氏は就任したら直ちに中国を「為替操作国」に認定すると述べてきました。もしそうであれば、日本も該当する可能性があります。トランプ氏が為替に言及すればそれだけで相場は大きく動くことになります。ボラティリティが高止まりしているのも、そのあたりを想定してのことです。
本日はADP雇用者数が発表されます。その他失業保険申請件数もでますが、これら経済指標の結果でドルが売られる可能性は低いと思われます。予想レンジは116円80銭~118円程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は118円台が重く、FOMC議事録公表後は金利が低下したこともあり117円05銭までドル売りが進む。ユーロドルは12月のCPIが予想を上回ったことから買いが優勢となり1.0500まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-01-05 09:15