【為替本日の注目点】ドル円117円台半ばへ上昇後反落

ドル円は欧州で117円台半ばまで上昇したものの、その後反落。原油価格が下落し、長期金利が低下したことでリスクオンが後退。115円95銭まで売られる。ユーロドルは反発。1.0518までユーロが買い戻される。株式市場は先週末の勢いはなく反落。ダウは76ドル下げたものの、ナスダックは10ポイント上昇。債券相場は反発。英国のEU離脱を巡る懸念が再燃し、全ての年限で相場は上昇。10年債利回りは2.365%台へ低下。金は反発し1184ドル台に。原油はイラクの減産順守に対する不安が高まり大幅安。
ドル/円115.95 ~ 116.70
ユーロ/ドル1.0512 ~ 1.0582
ユーロ/円122.41 ~ 123.07
NYダウ -76.42 → 19,887.38ドル
GOLD +11.50 →1,184.90ドル
WTI -2.03→ 51.96ドル
米10年国債 -0.055 → 2.365%
本日の注目イベント
豪 豪11月小売売上高
中 中国 12月消費者物価指数
中 中国 12月生産者物価指数
米 オバマ大統領、お別れ演説(シカゴ)
加 カナダ11月建設許可件数
先週末の雇用統計では、賃金の上昇が引き金となり、ドル円は115円台から反発し117円台を回復し、昨日は117円台半ばまで上昇したものの、再び元の115円台まで押し戻されています。昨年末まで続いたトランプ効果が明らかにその威力を失いつつあるものの、一方でトランプラリーが終わったとは判断できない、難しい状況が続いています。
昨日の117円台半ばからの下落はやや想定外でした。先週末に発表された12月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は予想を下回ったものの、賃金上昇が今後の利上げにプラスに働くとの見方からドルが買われ、さらに米景気の好調さを裏付けるとして株価も上昇しました。昨日の展開は、その流れを断ち切る動きでした。確かに原油価格の急落から、リスクオンが後退する動きではありましたが、ドル円の下落幅はやや大きかったと思われます。ブルームバーグによると、ロンドンフィキシング直前にマクロ系がドル売りを行ったとの説明がありましたが、やや不透明です。
明日はNYでトランプ次期大統領の記者会見が行われます。すでにツイッターで「アメリカファースト」を地で行くような発言を繰りかえしていますが、この会見でどのような発言を行うのか、極めて注目されます。トランプ氏の批判を受けて米空調大手だけではなく、フォードやフィアット・クライスラーも米国内への投資を決めています。昨日はメキシコ工場への投資を批判されたトヨタ自動車も、豊田社長自ら今後5年間で100億ドル(約1兆5000億円)の投資を米国で行うことをアピールしました。このような大規模の投資は、企業戦略に基づいて慎重に行われるものですが、メキシコからの輸入車には高関税をかけると脅したことに対応したものと受け止められそうです。
このように歯に衣着せぬ言動は、今後も大きな影響を持つものと思われます。明日の記者会見では新政権での具体的な政策について述べるのではないかと考えますが、為替問題に関する発言を行ったら、相場はかなり動くものと思われます。昨日のNYでドルが売られたのも、その前にロングのポジションを一部手仕舞ったと考えることも出きそうです。本日は再び上値の重い展開を想定しています。先週末は115円前半までドル売りが進みましたが、結局115円台は維持されて反発しました。現時点では115円は底堅い水準かと思いますが、トランプラリーの巻き戻しが、為替だけではなく、株式や債券市場でも大規模に起こるようなら、底堅いとはいえ注意が必要です。
予想レンジは115円30銭~116円50銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は欧州で117円台半ばまで上昇したものの、その後反落。原油価格が下落し、長期金利が低下したことでリスクオンが後退。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-01-10 12:00