【為替本日の注目点】ドル全面安続く

 ドル円は約1カ月半ぶりに112円台まで下落。トランプ次期大統領がWSJ紙とのインタビューで、ドルは既に「強すぎる」と発言したことや、株安、金利低下に円を買い戻す動きが加速し112円60銭まで円高が進む。  ドルは主要通貨に対して全面安。ユーロドルも1.0720 まで買われ、1カ月ぶりの高値を付ける。メイ英国首相はEUからの完全撤退を表明したが、ドル安の流れと、既にポンドが大きく売られていたことからポンドドルは急反発。  株式市場は続落。日欧で株価が下落したことや、ドル急落にダウは58ドル安。債券相場は一段と上昇。株価の下落やトランプリスクを懸念し、安全資産の債券に資金が向った。長期金利は2.32%台まで低下。ドル安が一段と進んだことで金は大幅続伸。約2カ月ぶりに1200ドル台を回復。原油も小幅に続伸。 1月NY連銀製造業景気指数 → 6.50 ドル/円112.60 ~ 113.57 ユーロ/ドル1.0667 ~ 1.0720 ユーロ/円120.59 ~ 121.29 NYダウ -58.96 → 19,826.77ドル GOLD +16.70 →1,212.90ドル WTI  +0.11 → 52.48ドル 米10年国債 -0.073 → 2.325% 本日の注目イベント 独  独10月消費者物価指数(改定値) 欧  ユーロ圏12月消費者物価指数(改定値) 英  英12月雇用統計 米  12月消費者物価指数 米  12月鉱工業生産 米  1月NAHB住宅市場指数 米  ベージュブック(地区連銀経済報告) 米  イエレン・FRB議長がパネル討論会に出席 米  カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演 米  企業決算 → シティグループ、ネットフィリックス、ゴールドマン・サックス 加  カナダ中銀政策金利発表  ドル円は約1カ月半ぶりに112円台まで売られ、日経平均株価も1万9000円を割り込み、さらに安全資産の金も、約2カ月ぶりに1200ドルの大台を回復しました。欧米で政治リスクが急速に高まり、投資家は昨年11月からのポジションの解消にやっきになっている状況です。  トランプ次期大統領の過激な発言が相次ぎ、今週末に迫った大統領就任式で行われる就任演説をも不安視する声が高まってきた中、市場はリスクオフの姿勢を強めています。114円前後では底堅い動きが続いていたドル円は、WSJの報道もあり、113円を割り込み、一気に112円60銭までドル売り円買いが進み、今朝も112円台半ばを試す動きになっています。  まさに政治リスクが顕著になってきたという感じがします。トランプ氏に加え、英国のメイ首相は昨日の演説でEU単一市場からの完全撤退を表明しました。ただ、離脱を巡る最終案を議会の採決にかけることを表明したため、ポンドはドル高の流れもあり、前日に比べ大幅な反発を見せています。また、スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム(ダボス会議)では、習近平中国国家主席が「保護貿易」には反対の姿勢を示し、トランプ氏の政策を批判する格好になりました。  ダドリーNY連銀総裁は講演で、「インフレは全く問題になっていないことから、金融当局が近く景気拡大を終わらせるリスクは極めて低いと考えられる」と述べました。また、景気に関しては「景気拡大が向こう数年にわたって続くと楽観している」と語っています。  昨年12月には118円66銭まで一気に上昇したドル円は112円台半ばまで売られて来ました。フィボナッチ・リトリースメントで計算される38.2%に当たるレベルが111円99銭あたりになり、トランプラリーも正念場を迎えていると言えます。因みに半値戻しでは109円93銭という数字が導き出され、概ね110円という大台が極めて重要な値位置ということになります。  トランプ新政権に対する期待が徐々にはがれてきたという印象ですが、公約通り10年間で1兆ドル(約112兆円)のインフラ投資や大規模な減税ができるのかという懸念も出てきています。個人的には、これらの政策を実施することは間違いないと考えていますが、議会共和党幹部との考え方の違いなどから、同氏の言う財政規模がそのまま実施されるかどうかはこれからの課題です。  米国に向う資金が逆流するとすれば話は異なりますが、今後米国内に投資される新規の資金は少なくはありません。その観点に立てば、ドル円も現時点では110円を割り込む可能性は低いと予想しています。まさにこの辺りがドル円にとっても正念場です。本日の予想レンジは112円20銭~113円70銭程度を見ますが、株価の動きが重要です。昨日に引き続き300円ほど下げるようだと、日本株に対する期待も一気に後退し、円が買われる展開も想定されます。週末の大統領就任式が反転のきっかけになるような気もしますが、どうでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は約1カ月半ぶりに112円台まで下落。トランプ次期大統領がWSJ紙とのインタビューで、ドルは既に「強すぎる」と発言したことや、株安、金利低下に円を買い戻す動きが加速し112円60銭まで円高が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-01-18 09:30