広がるNISAの課題は投資未経験者への活用提案=野村アセットの4万人調査

野村アセットマネジメントが2014年2月に実施した「少額投資非課税制度(NISA)に関する意識調査」で、NISAには「投資未経験者にもNISA活用を提案する必要がある」と提言している。同調査は、野村アセットマネジメントが2013年1月から継続調査し、今回が4回目の調査で、前回2013年10月以来の調査になる。(写真は、野村アセットマネジメントが2014年2月に実施した「NISAに関する意識調査」結果の一部)
今回の調査は、調査会社マクロミルに登録しているモニターから20歳以上の男女4万サンプルを対象に実施。国勢調査の性別年代別構成比に合わせ、ウエイトバックというサンプル数補正を行った上で、集計処理をしている。調査時期は、2014年2月3日-2月13日。
NISAに関する認知(グラフ掲示)は、内容認知および名前のみ認知を合わせ78%となり、10月調査時の65%からさらに増加した。特に、内容認知の比率は28%から35%に増加し、理解も深まっている。調査開始当時の2013年3月には、「名前も内容も知っている」が6%、「名前は聞いたことがあるが、内容までは知らない」が16%、「知らない」が78%だったことと比較すると、「知らない」と「認知」の比率が逆転している。野村アセットは、「1年間で認知が急速に広がった」と評価している。
また、認知状況の内訳をみると、年代別では30代-50代の認知率が70%超となり、投信保有者では99%が認知していることがわかった。投信に無関心である投信非保有者でも73%が認知しているという結果で、NISAの認知が広がっている。
一方、NISAの利用意向率は、今回26%に高まった。2013年3月調査で9%、同7月が15%、同10月が18%と徐々に向上しており、内容認知が広がるとともに、利用を検討していた層が利用に前向きに転じたことがわかる。半面、非意向者については、調査開始以来60%前後で横ばいの状況が続いている。この点に関して野村アセットでは、「英国のISAでも世帯利用率は40%程度という状況にあり、NISAにおいても利用検討者も含めて4割程度を占める利用意向・検討層について利用を促すことが現実的な対応」と分析していた。
実際の口座開設状況を調べると、口座開設申請者は全回答者の18%、未申請者は8%で、口座開設意向があっても申請に至らない層が相当数存在する。さらに、投資実行にまで至っているのは全体の7%と口座開設申請者の約4割に過ぎず、口座の稼働そのものが、緒についたばかり。投資実行者の内訳は、60-70代が中心で、投信・株式いずれか、もしくは、両方の保有者が9割を占め、現段階では既存の投資家がNISAを通じて投資しているという実態がわかった。
未申請者・検討者における投信・株式の非保有者の比率が増加する傾向が出てきており、「投資未経験者のNISA利用が見込まれる状況になっている」ということも、今回の調査で読み取れた。NISA利用意向のある未申請者・検討者における20代-50代の現役層の比率が徐々に増え、今回はそれぞれ7割前後にまで高まっている。
さらに、NISA口座における投資意向額は、口座開設申請者の平均で初年度73万円、5年累計で315万円という結果だった。また、NISA利用意向者の4割程度が「毎月積み立て投資」を意向し、毎月の積立額の平均は3.3万円程度になった。
また、野村アセットでは、今回の調査に合わせて、投資未経験者層グループ・インタビュー調査も2014年1月に実施している。NISAに対して興味関心があるものの、株式・投資信託の非保有者を20代-30代、40代-50代で男女別に6名の4グループを作って、それぞれに意見聴取を行った。
グループインタビューの結果、投資未経験の背景は「投資は富裕層のもの、自分とは縁遠い」という意識が強くあったことがわかった。そのため、NISAの「少額から利用できる制度」という点にメリットを感じ、「自分にも利用できる制度」として関心を持っていることが分かった。野村アセットでは、このような聞き取り調査を踏まえ、「NISAが投資へのハードルを下げた」と評価している。
投資未経験者には、投資についての自己責任意識が強い傾向もみられ、「投資や商品についての理解は浅く、金融機関から積極的に勧誘されることに対する不安感がある一方で、対面での説明を求める声や、セミナー等への参加意欲もあることから、正しい金融知識に触れる機会や判断材料の提供が、投資家のすそ野拡大にとって重要である」と提言している。また、NISAをきっかけに、投資経験のある夫や父親から、関心のある妻や子供に利用が広がるという動きも出始めており、家族を通じたNISAの拡大も期待できるとしている。(編集担当:徳永浩)
野村アセットマネジメントが2014年2月に実施した「少額投資非課税制度(NISA)に関する意識調査」で、NISAの課題は「投資未経験者にもNISA活用を提案する必要があること」と提言している。(写真は、野村アセットマネジメントが2014年2月に実施した「NISAに関する意識調査」結果の一部)
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2014-03-18 10:45