【為替本日の注目点】良好な雇用統計にもドル円上値が重い

ドル円は雇用統計発表直後に113円50銭まで上昇したものの、賃金などの指標が予想を下回ったことでドル売りが優勢に。112円31銭銭まで売られた後、ISM非製造業の指標に113円台に戻し、112円台半ばで越週。ユーロドルは1.07台で推移。ドルが売られ、1.08近辺までユーロ買いが進んだが、その後反落し1.07台半ばで取引を終える。
株価は大幅に上昇し、ダウは5日ぶりに2万ドルの大台を回復。トランプ大統領が金融規制緩和の大統領令に署名をしたことで、金融株が上昇を牽引。債権相場は小幅高。サンフランシスコ連銀総裁が3月利上げに言及したことで売られる場面も。長期金利は2.46%台に。金、原油は共に小幅に上昇。
1月非農業部門雇用者数 → 22.7万人
1月失業率 → 4.8%
1月平均時給 → 2.5%(前年比)
1月ISM非製造業景況指数 → 56.5
ドル/円112.31 ~ 113.50
ユーロ/ドル1.0711~ 1.0798
ユーロ/円121.13 ~ 121.67
NYダウ +186.55 → 20,071.46ドル
GOLD +1.40 →1,220.80ドル
WTI -0.29 → 53.83ドル
米10年国債 -0.007 → 2.465%
本日の注目イベント
豪 豪12月小売売上高
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
1月の雇用統計では、非農業部門雇用者が市場予想を大きく上回る22.7万人でした。ADP雇用者数の大幅増加と同様に、労働市場は極めて安定的に拡大していることが確認され、直後にドル円は113円台半ばまで上昇しましたが、続いて発表された平均賃金は前年比2.5%の上昇で、こちらは予想に届いていなかったことからドル円は反落。112円31銭までドル売りが進む場面もありました。
それでも株式市場の大幅上昇に、ドル円もやや息を吹き返す場面もありました。NYダウは前日比186ドル上昇し、5日ぶりに2万ドルの大台を回復しています。この日、トランプ大統領が金融規制緩和を行う2つの大統領令に署名したことで、金融株が大きく買われ、上昇を牽引しました。ダウは186ドル上昇しましたが、アメックス、ゴールドマン、JPモルガンの金融3銘柄だけで、この日のダウ指数を100ドル余り押し上げたようです。
先週のドル円は結局112-115円のレンジ内に収まりました。ある程度落ち着きを取り戻したとは言えますが、今週も週末には日米首脳会議があり、内容次第では大きく動く可能性もあります。特にトランンプ氏側から対日貿易赤字の原因が円安によるものだと言った発言がなされるようだと、円が急速に買われ、ドル円の底値を確認する動きにつながるかもしれません。引き続き、良くも悪くも「トランプ次第」という展開になりそうです。
米雇用は安定的に拡大していると見られますが、賃金の上昇ペースがやや鈍化しています。FRBもこのあたりに注目していると見られ、今後の上昇率の変化が利上げのタイミングにも影響を与えそうです。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁はブルームバーグとのインタビューで、「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」と述べ、慎重さは必要としながらも利上げに前向きな発言をしています。
本日はNYダウが再び2万ドルの大台を回復したことで、112円台では底堅い動きが予想されます。ただそれでも先週から続く上値の重さに、どこまでドルが買われるのかが焦点になろうかと思います。予想レンジは112円~113円30銭程度ですが、短期的な動きを示す「1時間足」では、まだ全体的に下落トレンドからは抜け出ていません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は雇用統計発表直後に113円50銭まで上昇したものの、賃金などの指標が予想を下回ったことでドル売りが優勢に。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-02-06 09:30